みやビズ

2018年10月23日(火)
Biz-女(ビジョ)ナビ

カルビー・松本晃会長兼CEO講演要旨

2017/11/17
 多様な人材を積極的に活用し、生産性を高めるダイバーシティ(多様性)の考え方を採り入れた経営を進めるカルビー(東京)の松本晃会長兼CEOは8日、宮崎市の宮日会館であった「みやざき女性の活躍推進会議」で講演した。

ダイバーシティーは企業成長のエンジン


ダイバーシティ委員会の設立や積極的な女性登用など自社の取り組みを紹介し、女性活躍のヒントについて語ったカルビーの松本晃会長兼CEO

ダイバーシティ委員会の設立や積極的な女性登用など自社の取り組みを紹介し、女性活躍のヒントについて語ったカルビーの松本晃会長兼CEO

 多様な人材を積極的に活用し、生産性を高めるダイバーシティ(多様性)の考え方を採り入れた経営を進めるカルビー(東京)の松本晃会長兼CEOは8日、宮崎市の宮日会館であった「みやざき女性の活躍推進会議」で講演した。松本会長は「女性の働き方を変えることでダイバーシティは成功し、企業は成長する」と語った。講演要旨を紹介する。

 海外では政治や経済の場で女性がトップに立つことが増えてきた。それに比べて、我が国は本当に遅れている。グローバル企業の日本法人の社長を務めていた2001年、ある会議の場で外国人役員に「日本はなぜダイバーシティを進めていないのか」と問われた。当時はダイバーシティという考え方を知らなかった。しかし、女性をうまく活用できていなかったと反省し、すぐに実行に移した。以来、ダイバーシティは私のライフワークとなった。

 09年にカルビーの会長に就任。00年以降成長が鈍化していた同社には変革が必要だった。権限をすべて社長らに移譲した。権限は人を成長させるための最大のツール。私は責任を取り、結果が出なければ会社を去るつもりでいた。社員が成長し、幸せになるために会社は変わらねばならない。そのひとつの方向性がダイバーシティの推進だった。

 ダイバーシティの対象は「女性だけにとどまらない」と指摘する人がいる。しかし、今の日本では女性すらうまく活用できていないことが問題だ。女性に活躍してもらわないと会社はもはや生き残っていけない。ダイバーシティは会社が成長のためのエンジン。時間はかかるが、コツコツやるしかない。

 経営者はダイバーシティを採り入れた経営をやり遂げる覚悟も必要だ。女性を登用しない言い訳する経営者は多い。一つは「候補者がいない」ことらしいが、そう思うのなら会社の中で最もふさわしい人にやらせてみるべきだ。勝手に「できない」「能力がない」と判断するのは早計。いないのならば外部から登用する手もある。「女性は偉くなりたがらない」という意見もある。男性は報酬よりも権力や責任、肩書などを欲するが、自身の経験からも断言できるが、女性は責任と報酬のバランスが合うことが大前提。女性はバランスが取れた提案を断ることはない。
 
松本会長の話に耳を傾け、メモを取る参加者たち

松本会長の話に耳を傾け、メモを取る参加者たち

 今でこそカルビーはダイバーシティ経営において先頭を走っているが、09年当時はダイバーシティの考え方自体が知られていなかった。そこで、社員でつくる「ダイバーシティ委員会」を設置し、2年ごとに委員を入れ替えて全社的にダイバーシティの考え方を浸透させた。当時は女性管理職は何人かいたが少数派だった。しかし、現在は取締役執行役員、部長級などに女性を多数登用している。今年4月現在の管理職比率は24.3%で、毎年2%ずつ増えれば20年には30%に達する見込みだ。

 その中でも「彼女の例がうまくいけば、カルビーのダイバーシティはうまくいく」と未来を託した女性社員がいる。3年前に2府11県の支店や工場を束ねる中日本事業本部長に就任した40代の女性執行役員だ。子育て中の彼女に「必ず午後4時に退社しなさい」と命令した。責任が重い立場だからといって、「ワーク」を重視して「ライフ」をないがしろにする必要はまったくない。実際に午後4時に会社や取引先を出て、午後5時には帰宅しているが何の問題もなく、業績は良くなっている。

 彼女の例にもあるように、女性の働き方を変えないとダイバーシティは成功しない。働き方改革とダイバーシティは密接している。かつては、長時間労働の対価が給与に反映され、成果が時間に比例していた。しかし、労働人口の減少やIT技術の発展で効率化が求められる今は、時間よりも成果の出る働き方が重視されている。カルビーでは2年前に在宅勤務制度を導入し、現在は制度利用期間や働く場所も限定していない。それで成果が出るのであればそれで十分だ。

 長時間にわたり会議をしたり、自席を温めたりしてもお金は一銭も落ちてこない。そのような時間があるのなら、取引先にどんどん足を運ぶべきだ。そして、仕事を早く終えたら家族との時間を楽しんだり、学びを深めたりして魅力的な人間になってほしい。魅力ある人間は良い仕事をするので、会社はもうかる。もうかれば社員に還元もできる。会社はそんな魅力的な人をつくる場所なのだ。

アクセスランキング

ピックアップ