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2018年10月21日(日)
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増えない“ドボジョ”

2017/10/25
 人手不足が深刻化する中、県内の土木建設業界も女性の登用、活躍の後押しに本腰を入れ始めた。女性技術者の育成や支援を目的とした団体が設立されるなど新たな取り組みが始まっている。

■現場に深いジレンマ


本県で土木建設業に従事する女性技術者は全体のわずか2.3%。都城地区建設業協会女性部を中心に設立した「都城ドボジョ・アローズ」では技術者の育成に力を入れたい考えだが、活動できる人材に限りがありジレンマを感じている

本県で土木建設業に従事する女性技術者は全体のわずか2.3%。都城地区建設業協会女性部を中心に設立した「都城ドボジョ・アローズ」では技術者の育成に力を入れたい考えだが、活動できる人材に限りがありジレンマを感じている

 人手不足が深刻化する中、県内の土木建設業界も女性の登用、活躍の後押しに本腰を入れ始めた。女性技術者の育成や支援を目的とした団体が設立されるなど新たな取り組みが始まっている。一方で、技術者の育成には時間がかかることや、啓発活動に充てる人材すら不足している状況もあり、現場のジレンマは深まっている。

■女性技術者2.3%


 県建設業協会によると、加盟社に勤務する土木施工管理技士、建築施工管理技士など女性の技術者数は114人。男性を合わせた全技術者4931人に占める割合はわずか2.3%にとどまる。

 女性技術者が増加しない理由には、サービス、製造業など他業種と比べて男性の比率が高く、近年まで女性が働くことをあまり想定してこなかったことがある。更衣室やトイレなどの専用の設備が未整備で、妊娠や子育て、介護などのライフイベントに直面しても、仕事と家庭を両立できるようなノウハウの蓄積や制度整備が不十分だという課題が依然として大きい。

 また、資格取得までの期間の長さも一因。大型施設の建設など大規模工事の施工管理に従事できる1級建築施工管理技士の試験の受験資格を得るには、高校卒業で11年6カ月、専門学科の大学を卒業していても最低3年の実務経験が必要となる。

 同協会の大谷幸一郎総務課長は「本人のやる気の問題だけでなく、資格が得られるまで長い期間働いてくれるのかという雇用主側の不安もあるようだ。このため受験を促しづらいという側面もある」と分析する。

■人手不足で啓発活動ゼロ


都城地区建設業協会女性部が中心となって立ち上げた「都城ドボジョ・アローズ」。土木建設業界で女性活用への意識改革が求められる中、アローズの女性技術者の成長に期待が集まる=5月、都城市

都城地区建設業協会女性部が中心となって立ち上げた「都城ドボジョ・アローズ」。土木建設業界で女性活用への意識改革が求められる中、アローズの女性技術者の成長に期待が集まる=5月、都城市

 そんな中、女性技術者の育成や支援を目指そうと今年5月、都城地区建設業協会女性部が中心となり「都城ドボジョ・アローズ」(宮島百合子会長、約140人)を設立した。同協会の女性部員に加え、加盟企業で働く女性技術者や行政機関の女性技術者計8人が加入する。

 県内初の取り組みともあり、宮島会長は「都城で女性を支援するモデルをしっかり作り、県全体で女性技術者を育成できるような環境をつくる」と意気込む。しかし、「思ったように情報発信ができていない」と厳しい実情を吐露する。

 技術者は事務職と比べて現場に出る頻度が高い。このため主な活動に位置付けていた小中学校や高校への出前教室への参加も難しくなっている。アローズ発足から約半年となるが、まだ一度も出前教室を開催できていないのは参加できる女性技術者を確保できないからだという。「もっとPRしていかないと女性技術者の裾野は広がらないことは分かっているが、現実は仕事との兼ね合いがあってなかなか難しい」と漏らす。

■拘束時間長く両立困難


 施工管理者は工期中、基本的に現場に常駐。当日の工程が終了すると会社に戻り、1~2時間は事務処理に当たらなければならない。宮島会長は「これに家事や子育てが加わると、アローズの活動に充てる時間は確保できなくなる」と説明する。

 自身も1級土木施工管理技士である宮島会長は「帰宅が遅くなりがちで、子育てや介護をしていると家族の協力が得られない限り、仕事だけでも続けるのは難しい」と話す。こうした実態もあり、子育てや介護に直面した技術者が事務職に配置転換するケースが目立つという。

 加盟企業に対してはアローズの活動に参加しやすいよう呼び掛けている。一方、加盟企業の来春の新卒採用予定者に現時点で女性はいないという。宮島会長は「女性が活躍してこなかった業界に風穴をあける難しさは感じている。女性の技術者を育て、支援していかない限り、土木建設業の未来はない」と危機感を強める。
(西村公美)

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