みやビズ

2018年4月24日(火)
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女性のソーシャルビジネス最前線

2017/05/19

感性や生き方を強みに起業


 地域の課題をビジネスの手法で解決する「ソーシャルビジネス」。介護や障害者の自立支援など社会ニーズが多様化する中、本県では女性ならではの感性や強みを生かして障害者の描く絵を商材として売り込んだり、高齢者向けネイルサービスを提供したりする企業が注目を集めている。

◇「かわいい」が原点


障害者の描いた絵を使った商品の企画に携わる高峰由美さん(右から2人目)

障害者の描いた絵を使った商品の企画に携わる高峰由美さん(右から2人目)

 みやざきフードビジネス相談ステーションの高峰由美コーディネーターは今年1月、障害者が描く絵などを企業に商材として使ってもらうよう橋渡しする「ブルーバニーカンパニー」(宮崎市)を立ち上げた。

 高峰さんは、就労継続支援B型施設向け工賃向上計画支援チームのコンサルタントとして、県内の障害者施設を9年前から訪問。商品開発などを支援してきた。施設を訪れると仲のいい利用者から似顔絵をプレゼントされたことも。「独特の色使いやポップさなど、彼らの描く作品はかわいらしく、心が引かれていた」と振り返る。

 障害者の個性を生かした芸術活動「エイブルアート」が広まる中、「日常的に使う物にエイブルアートの作品が使われれば、障害者と健常者の垣根は低くなる」と考えて事業化。県内の女性デザイナーらと連携し、イラストやデザイン画を企業にパッケージや商品ロゴなどとして幅広く使ってもらう。

 4月上旬にあったNPO法人チームさどわら(宮崎市佐土原町)との打ち合わせでは、パパイアを使った台所用洗剤とせっけんのパッケージデザインを検討した。使うのは、チームさどわらを利用する障害者が描いた人や植物などの絵。打ち合わせには女性が多く、出来上がったパッケージを見て一様に「かわいい」と笑顔。サイズや素材を確かめ、「売り上げの一部は障害者の工賃になると明記したほうがいい」といった提案が生まれた。

 これらの意見を踏まえた商品は5月中に発売予定。同法人の佐藤君代理事長は「かわいらしさが手伝って多くの人が手に取りやすくなり、販路が広がればうれしい」。高峰さんは「袋詰めなど今まで企業から依頼されていたことも大事だが、障害者が持つ豊かな表現力を生かした取り組みで工賃やモチベーション向上につなげたい」と語る。

◇子育てと両立


利用者と会話を楽しみながら美しいネイルを施していく福祉ネイリストの黒木友香梨さん

利用者と会話を楽しみながら美しいネイルを施していく福祉ネイリストの黒木友香梨さん

 都城市山之口町の黒木友香梨さん(32)は昨年12月、高齢者や障害者向けの出張ネイルサービス「爪の美容院むじもむじっ」を創業した。2人の子どもを育てながら「福祉ネイリスト」の資格を取得。爪の手入れやハンドマッサージによるスキンシップや会話を通して、介護予防につなげる活動を県内で始めた。

 5月上旬、宮崎市のサービス付高齢者住宅であった体験会。女性利用者6人が参加し、市内で活動する福祉ネイリスト仲間も手伝った。「こんな形の悪い手には似合わんよ」と照れる利用者。「そんなことはないですよ。かわいく仕上げますね」と笑顔で話しかける黒木さん。30分程度で手元が華やぎ、ピンク色のマニキュアを選んだ利用者(85)は「久しぶりに爪をきれいにしてもらい、うれしい」と満足そうだった。

 もともとネイルアートが好きで、友人が福祉ネイリストをしていることをSNSで知り、高齢者を笑顔する仕事へ興味が湧いた。子どもが体調を崩しがちだったため「勤めるより、手に職をつけて時間の融通が利く働き方をしたい」と一念発起。昨年10月から福岡県にある福祉ネイリストの資格認定校に4カ月通った。

 福祉ネイリストの知名度は低く、県内には黒木さんを含む3人だけ。しかし、黒木さんのブログを読んだ女子中学生が、福祉ネイリストを目指していることを知って励まされたという。「職業として確立して裾野を広げるため、宮崎でも資格を取れるような環境を整えたい」と前向きだ。

(西村公美)

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