みやビズ

2018年7月19日(木)
テクノリポート~県工業技術センター・県食品開発センターの取り組み~

県自給飼料分析指導センターにおける飼料分析の状況について

2018/03/13
 畜産農家が安定した経営を行う上で、良質な自給粗飼料の生産や適正な栄養管理を行うことは、非常に重要になります。県畜産試験場内に設置されている「県自給飼料分析指導センター」(以下、分析センター)では、年間約1000点もの自給粗飼料について、成分分析や栄養価の評価を行い、その結果を地域農業改良普及センター(サブセンター、以下、普及センター)を通じて生産者へフィードバックしています。今回は、県内における飼料分析の実施状況について紹介します。
■1、はじめに

 畜産農家が安定した経営を行う上で、良質な自給粗飼料の生産や適正な栄養管理を行うことは、非常に重要になります。

 県畜産試験場内に設置されている「県自給飼料分析指導センター」(以下、分析センター)では、年間約1000点もの自給粗飼料について、成分分析や栄養価の評価を行い、その結果を地域農業改良普及センター(サブセンター、以下、普及センター)を通じて生産者へフィードバックしています。今回は、県内における飼料分析の実施状況について紹介します。

■2、分析の流れと分析依頼点数

 県内各地で生産された自給粗飼料の分析用サンプルは、主に生産者からの依頼により、各地域の普及センターで乾燥・粉砕といった前処理を行い、飼料分析申請書と一緒に、分析センターへ届けられます。届けられた試料は、近赤外線分光分析計(写真)により、粗タンパク質、粗脂肪、粗繊維、粗灰分などの一般成分分析を実施するほか、依頼に応じてサイレージ※の品質評価や硝酸態窒素の分析も行っています。また、その分析結果は、普及センターを通じて、畜産農家等への適切な給与や飼料作物の肥培管理の指導等に活用しています。

 なお、近年、分析依頼点数は増加傾向となっており、2016年度は1072点のサンプルについて分析を行いました。※図1

 ※「サイレージ」とは、青刈りした飼料作物をサイロやラップで密閉し、嫌気状態で乳酸発酵させた牛のエサのこと。

近赤外線分光分析計

近赤外線分光分析計

図1.分析依頼点数の推移

図1.分析依頼点数の推移


■3、分析飼料の草種

 16年度の分析依頼サンプルのうち、最も割合が高かった草種は、牧草類のイタリアンライグラス(31%)でした。次いで飼料用イネ(16%)、飼料用トウモロコシ (10%)となりました。その他は、麦類(エン麦など)、ソルガム、稲ワラなどとなっています(図2)。さらに、近年では、自家配合の混合飼料や飼料用米の分析依頼も見られるなど、飼料の種類は多岐にわたっています。

図2.草種別の分析依頼割合

図2.草種別の分析依頼割合


■4、サイレージの水分含量および栄養成分(主要草種別)

 分析依頼割合が高い3草種について、概要を説明します。 グラフは、それぞれの草種のサイレージにおける水分含量を示したものです(図3)。

 トウモロコシでは、おおむね70%前後となっていますが、イタリアンライグラスや飼料用イネでは平均が約40%と低く、バラツキもトウモロコシより目立ちます。良質なサイレージ発酵を促進するためには水分が60〜70%となるよう、予乾期間を調整する必要があります。また、栄養成分については、特に、イタリアンライグラスで乾物中の粗タンパク質含量が標準値と比べて低い結果となっています(表1)。

 粗飼料中の栄養成分が低い場合は、給与する家畜の栄養充足率が不足し、繁殖成績への悪影響が懸念されるため、生産ほ場(畑・田)の肥培管理や飼料設計に十分留意する必要があります。逆に、栄養過多の給与設計となっている場合も家畜の健康状態に悪影響を及ぼすことが考えられ、さらには、飼料代に余分なコストがかかっていることになるため、粗飼料中の栄養成分を把握した上で、適正な給与設計を行うことが重要となります。

図3.サイレージの水分含量(主要草種別)

図3.サイレージの水分含量(主要草種別)


表1.サイレージの栄養成分(主要草種別)

表1.サイレージの栄養成分(主要草種別)

 
■5、おわりに

 今回は分析センターに分析依頼のあった飼料の傾向について紹介しましたが、同じ草種であっても、施肥量や刈り取り時期などによって栄養成分は変わります。

 生産者自身が生産した粗飼料の栄養成分を十分把握した上で、高品質な自給粗飼料の生産や家畜への給与を行っていくことで、より安定した畜産経営が期待できます。

 今後も、分析センターでは、県内畜産農家等の生産性向上や経営強化が図れるよう、 普及センターと連携して支援を行っていきたいと考えています。

問い合わせ先:県畜産試験場酪農飼料部電話0984(42)4837

県畜産試験場酪農飼料部 高橋奈津美

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