みやビズ

2018年8月15日(水)
テクノリポート~県工業技術センター・県食品開発センターの取り組み~

ふるさとの木の良さを知ろう

2018/02/14
 本県はスギを中心とした森林資源が充実し、本格的な伐採時期を迎えており、スギの素材生産量は、26年連続日本一となっている。こうした中、県産材の需要拡大を図るためには、建築物の木造化の推進に加え、家庭やオフィス、公共・商業施設などでの内装や家具などの木質化を進めることが重要である。

-県産スギの調湿性能を数値化-(県木材利用技術センター材料開発部)


 本県はスギを中心とした森林資源が充実し、本格的な伐採時期を迎えており、スギの素材生産量は、26年連続日本一となっている。

 こうした中、県産材の需要拡大を図るためには、建築物の木造化の推進に加え、家庭やオフィス、公共・商業施設などでの内装や家具などの木質化を進めることが重要である。このためには、県産スギの魅力を施主や建築士などに伝える材料として、木材の良さを数値化することが求められる。

 木材には吸放湿性があり、空気中の湿度が高くなると水分を吸収して湿度を低下させ、逆に湿度が低くなると、水分を放出して湿度を高め、室内の湿度変動を緩和する「調湿作用」の働きがある。

 このような特性を目に見える形で数値化すれば、スギの魅力が向上し、利用促進につながることから、スギの調湿性能を明らかにする研究に取り組んだ。

吸放湿性試験


 県産スギの吸放湿量を把握するために、温度23度、相対湿度50%で調整した試験体(人工乾燥材・板目面・木表側・10ミリメートル厚)を用いて、相対湿度を75%に上げて12時間保持したときの吸湿量と、再び50%に下げて12時間保持した時の放湿量を測定した。


 試験の結果、スギ(人工乾燥材・板目面・木表側・10ミリメートル厚)の1日周期(12時間吸湿・12時間放湿)における1平方メートル当たりの吸放湿量は、吸湿量が心材で約15グラム、辺材で約22グラム、放湿量が心材で約8グラム、辺材で約14グラムであり、吸放湿量は心材より辺材が多かった。心材・辺材を合わせると、大ざっぱではあるが1平方メートル当たり、おおよそ大さじ1杯(15グラム)前後の水分の吸放出を行っていることが分かった。

 これを、6畳間に腰板を2面設置した場合で換算すると、約100グラムの水分の出し入れを行っていることになる。

※心材、辺材とは?
 スギ丸太の横断面で、内側の色の濃い部分を心材、外側の薄い部分を辺材と言う。心材は、活動を停止している細胞で構成され、枯死を防ぐために水分を通さず、細菌や微生物に強い成分を含み、耐久性に優れている。また、辺材は、活動している細胞で、成長に必要な水分の通導機能を有している。

ミニスケールの室内空間におけるスギの調湿性能試験


 県産スギを内装材として用いた場合の調湿性能を把握するために、アクリルボックスで24時間換気が行える仮想居室(6畳間の30%モデル)を製作し、ボックス外の相対湿度を1日周期(12時間吸湿・12時間放湿)で50%から75%に変化させた時に、スギ内装材の有無でボックス内の相対湿度が健康的な居住水準とされる40%~70%のうち70%以下を保てる時間を測定した。


 試験の結果、70%以下の相対湿度を保つことができる時間は、スギ板が無い場合は3時間ほどだった。これに対し、スギ辺材の腰板を2面設置すると10~12時間ほどとなり、スギの調湿作用により、室内の湿度変動が緩和され、非木質に比べて、快適な室内環境が7~9時間ほど長くなることが明らかとなった。

 今回の試験結果から、県産スギを内装材等として2面設置するだけでも、快適な時間が長くなり、居心地がよくなることが分かった。

 今後は、研究成果を広くPRするとともに、引き続き、木材の良さの数値化を図っていきたいと考えている。

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