みやビズ

2018年7月20日(金)
テクノリポート~県工業技術センター・県食品開発センターの取り組み~

葯培養技術を利用したピーマン土壌病害対策

2017/09/22
20170921-1-1.jpg 本県は全国有数の野菜の生産県であり、中でもピーマンは栽培面積305万平方メートル、生産量2万6800トン、生産額127億円(2015年農林水産省調べ)を誇り、全国2位の産地として県内外に供給している。近年、生産現場では土壌伝染性の病害である青枯病(あおがれびょう)やウイルス病による被害が発生している。県総合農業試験場の試算では、青枯病だけでも県内の被害額は約5億円に上る見込みで、早急な対応が求められている。

「みやざき台木5号」の育成 ~県総合農業試験場


 本県は全国有数の野菜の生産県であり、中でもピーマンは栽培面積305万平方メートル、生産量2万6800トン、生産額127億円(2015年農林水産省調べ)を誇り、全国2位の産地として県内外に供給している。近年、生産現場では土壌伝染性の病害である青枯病(あおがれびょう)やウイルス病による被害が発生している。県総合農業試験場の試算では、青枯病だけでも県内の被害額は約5億円に上る見込みで、早急な対応が求められている。

▽研究業績


 総合農試では、土壌伝染性の病害を回避する手法として接ぎ木栽培(図-1)に着目し、1996年度から病害抵抗性の台木品種育成に取り組んできた。この結果、2007年度には青枯病、疫病およびピーマン微斑モザイクウイルス(PMMoV)に抵抗性を示す「みやざき台木1号」を育成。その後、いくつかの系統育成を経て、これまでにない極めて強い病害抵抗性を示す「みやざき台木5号」を育成したところである。
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▽開発のポイント


 総合農試では、1991年度から全国に先駆けて品種育成期間を飛躍的に短縮できる葯培養(やくばいよう)技術(※)の研究開発に取り組み、研究手法を確立している。葯培養技術の実用化に成功したのは本県が国内初で、その後は国内の試験研究機関や大学において品種育成や研究に利用されている。

 総合農試では、ピーマンと同じ仲間に属するトウガラシを遺伝資源とし、トウガラシが有する青枯病や疫病、PMMoVの抵抗性の形質を交配で取り込み、葯培養することで、抵抗性を有する系統を育成した。さらにそれぞれの系統を交配することで、複数の病害に抵抗性を有する台木の育成に取り組んだ。

 この研究で育成した「みやざき台木5号」の母親は青枯病抵抗性とPMMoV抵抗性を持たせた系統であり、父親も疫病抵抗性に加えて青枯病抵抗性を持たせた系統である。両親に青枯病抵抗性を持たせたことで、生産現場で最も問題となる青枯病に極めて強い抵抗性を有する「みやざき台木5号」を育成することができた(表-1、図-2)。
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 親に複数の病害抵抗性を持たせるためには、通常の品種改良では非常に長い期間を要する。しかし、本県が先行する葯培養技術により短期間での品種育成が可能となった。

 
葯培養によって花粉から発生した植物体

葯培養によって花粉から発生した植物体

本県のピーマン栽培で「みやざき台木5号」を活用することにより、青枯病やウイルス病等による被害は大幅に軽減されると期待している。今後は土壌センチュウや他の病害にも抵抗性を持つ品種の開発を進め、ピーマン産地の生産力の強化に一層貢献していきたいと考えている。

 ※葯培養技術 雄しべの先端にある葯(花粉の詰まった袋)を培養して植物体を得る技術。遺伝形質の固定(種子をまいて、すべて親と同じ株ができること)まで通常6~8世代を必要とするが、葯培養経由では遺伝子が1組しかない花粉の遺伝子を単純に2倍にして植物体を作るため、短期間に遺伝子を固定した系統が得られる。

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