みやビズ

2018年6月19日(火)
テクノリポート~県工業技術センター・県食品開発センターの取り組み~

フード・オープンラボものがたり

2017/08/08
 2014年10月にフード・オープンラボ(以下FOL)が誕生した。以降、いろいろな食品が製造され商品化された。FOLには、そうざい・ソース等製造室、製菓・製パン室、清涼飲料水製造室の3製造室があるが、それぞれの部屋でどのような商品が誕生したか、部屋の特色も交えながらご紹介したい。

つれづれなるままに・・・フード・オープンラボものがたり
県食品開発センター食品開発部


キャラいも

キャラいも

 2014年10月にフード・オープンラボ(以下FOL)が誕生した。以降、いろいろな食品が製造され商品化された。FOLには、そうざい・ソース等製造室、製菓・製パン室、清涼飲料水製造室の3製造室があるが、それぞれの部屋でどのような商品が誕生したか、部屋の特色も交えながらご紹介したい。

製菓・製パン室


 まず、製菓・製パン室。ここでFOL誕生第1号商品「キャラいも」(宮崎市・イート)が生まれた。キャラいもは、誕生後わずか2年で本県を代表するお土産の一つとなった。素材の素朴なおいしさにこだわったお菓子で、県産カンショにキャラメルをコーティングし、カリッとした食感と上品なバターキャラメルの香りが特徴である。センター職員と共に試作を重ねて、蓄積したノウハウを生かし同社は今もおいしさの追求に余念がない。

しいたけ塩

しいたけ塩

 続いて、体の中から整えることを目的に、食物繊維が多くミネラルを豊富に含んだ県産の香り豊かなシイタケを粉砕し、北海道産の塩と絶妙なバランスで配合した「しいたけ塩」(日向市・本吉)が生まれたのも実はこの部屋である。

 製菓・製パン室は、面積38平方メートルの中にデッキオーブン、ミキサー、ホイロ、カップシーラーなどの製菓機械のほかに、磨砕機、遠心分離機などの特殊な機械がそろっており、このような使い方もできるのはあまり知られていない。

そうざい・ソース類製造室


 二つ目は、FOLで一番大きな部屋、そうざい・ソース類製造室(面積60平方メートル)。この部屋は、最も多くの事業者が利用している部屋であり、最も汎用(はんよう)性の高い部屋である。ここではさまざまな種類の商品が生まれた。「原産原種 日向夏マーマレード」(宮崎市清武町・太田原果樹園)は、自社栽培している在来系の原産原種の木から収穫した果実のみを使用して作られたマーマレード。果実本来の香りと爽やかな風味を生かすために低糖度に仕上げた商品で、こちらも開発当初より手伝わせていただいた。

赤熱の雫

赤熱の雫

 品質を落とさずに食品を保存する方法の一つに急速冷凍がある。通常の凍結は緩慢冷凍で、ゆっくりと食品の細胞内の水分を凍結させる。しかし、この方法だと水分の結晶が大きくなり細胞を破壊してしまうのでどうしても品質が落ちてしまう。これに対して急速冷凍は速いスピードで冷却し、水の結晶が小さいうちに凍結させるので品質の劣化を抑えることができる。冷凍のカットマンゴー「赤熱(あか)の雫」(宮崎市・NSファーム)は、この方法を利用したもので、香り高い高糖度のマンゴーそのままに加工したものである。

チョウザメカレー&チョウザメの親煮込み

チョウザメカレー&チョウザメの親煮込み

 また、本県はキャビアの製造に力を入れているが、採卵後の魚肉の利用を目的に製造されたのが、「チョウザメの旨煮込み(現:チョウザメの親煮込み)」と「チョウザメカレー」(いずれも宮崎市・器)である。チョウザメの身と皮、軟骨をじっくり甘辛く煮込んだ缶詰とチョウザメのミートボールを入れたカレーはコラーゲンたっぷりと好評である。

果汁入りスライスゆずピール

果汁入りスライスゆずピール

 さらに、県産の作物を利用して加工した商品が誕生した。宮崎を代表する柑橘類の一つ柚子(ユズ)を利用した商品「果汁入りスライス柚子ピール(大缶)」(西都市・かぐらの里)だ。銀鏡産の柚子の皮を柚子果汁たっぷりのシロップに漬け込み、甘酸っぱく仕上げた。ピールは菓子作りの材料に、シロップは薄めてジュースにもなり、カクテルの材料としても利用できる。

デリスマンゴー

デリスマンゴー

 プロと協力して商品を作り上げた事業者もいる。自社栽培するこだわりの高糖度のマンゴー「時の雫」を惜しみなく使用し、世界的パティシエと作り上げたのが「デリスマンゴー」(川南町・アグリストリームきむら農園)だ。マンゴージェラート、ココナツジェラートの2層でそれぞれの味と香り、絶妙なハーモニーを楽しむ一品である。

太陽の赤

太陽の赤

 直近では、異業種参入も見られる。試作を繰り返し、レシピをかため、原材料を供給する協力会社を得て、満を持して製造を行った。いわゆる農商工連携である。運送業の宮崎センコーアポロ(延岡市)は、トマトを栽培する興農宮崎(日向市)と組んでトマトジュースの製造を行った。「太陽の赤」と呼ばれるブランドは、同社がインターネットで通販しているトマトのブランド名でもある。「太陽の赤」には、高糖度トマトを使用し、特にプレミアムは、全体のトマト収穫量の2%しかとれない希少なトマトを使用している。こちらもインターネットで試験販売されている。

トマトケチャップ

トマトケチャップ

 また、農場自慢のトマトを使った大建農場(宮崎市)の「トマトケチャップ」も今年、試験販売を行う予定である。厳選された完熟トマトを用い、ブラックペッパーが効いた大人の味に仕上がっており、ソースとしても使用できる。市場の反応を見ながら、育てて行く商品の一つである。

 そうざい・ソース等製造室には、スプレー式高温高圧調理殺菌機(レトルト殺菌装置)を始めとする機械から、スチームコンベクションオーブン、急速冷凍庫、脱気箱、地元企業から提供された乾燥機など製造に必要な汎用機器が整備されている。

清涼飲料水製造室


 三つ目は、清涼飲料水製造室(30平方メートル)である。ここでは、前述のトマトジュースとかぐらの里の「搾りました」(ユズ、グレープフルーツ&ポンカン)が製造された。県産果汁にこだわって作った飲料で、日南産グレープフルーツ、西都産ポンカン、銀鏡産柚子にハチミツをブレンドし、素材の持つ味・香りを生かした濃厚なドリンクだ。

 同室は、その名の通り、飲料水製造に必要な機器がそろっている。調合混合を行うパステライザー、充填(じゅうてん)機、殺菌槽がそろい、特筆すべきは炭酸飲料水の製造ができる、炭酸を吹き込むカーボネーター、炭酸飲料専用充填機、ふたをするキャッパーの3点セットがそろっていることである。炭酸飲料水は、試作等は実績があるが、製造はまだ行ってないので、ぜひとも挑戦してほしい。

 FOLは、新商品の開発、試作、また農業の6次化推進を目的にオープンした施設であり、高度な衛生管理を体験できる施設である。年間を通して、試作、製造される事業者も多いが、実は見学者も多い。県内の事業者が工場整備の際に参考に見学されるのはもとより、県外の自治体も視察に訪れている。事業者の方には、FOLでの試作、製造、あるいは見学など、効率的にご利用いただきたい。

新たな試み


 さて、食品開発センターでは、新たな試みを始めている。官能評価棟(仮称)の建設だ。食品の機能は、(1)栄養(2)おいしさ(3)安心安全と機能性、と言われており、科学が発達した現在でもヒトの五感が総合的な判断基準になっている。そこで、国際的基準に合致した設備の設置と人材の育成を行い、的確な食品の官能評価が可能となるようなシステムを目指す。
 
 このシステムが確立すれば、(1)県内食品企業が消費者の嗜好に合致した商品開発を行うことが可能となる(2)自社以外の客観的評価を参考に自社の商品を見直す(3)FOLでの試作品の評価を行い、その評価をもとに再試作を行う、などのメリットがある。官能評価棟は、現在のFOLに隣接して建設され、来年の4月にオープン予定である。FOLとともに、県内事業者の新商品開発の一助となればと考えている。

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