みやビズ

2018年4月22日(日)
テクノリポート~県工業技術センター・県食品開発センターの取り組み~

県産スギ普及の鍵は

2017/07/11
 本県は26年連続でスギ素材の生産量が日本一であるが、皆さんは、この豊富な森林資源から生み出された木材を目にする機会がどのくらいあるだろうか。一般住宅は木材を多く使用する代表的な例ではあるが、市街地化が広がるにつれてコンクリートやアスファルトによって塗り固められ、今やオフィスビルや病院など目にする多くの建物が鉄筋コンクリート造りや鉄骨造りである。

金具の一体化で室内の木質化! ~県木材利用技術センター木材加工部


 本県は26年連続でスギ素材の生産量が日本一であるが、皆さんは、この豊富な森林資源から生み出された木材を目にする機会がどのくらいあるだろうか。一般住宅は木材を多く使用する代表的な例ではあるが、市街地化が広がるにつれてコンクリートやアスファルトによって塗り固められ、今やオフィスビルや病院など目にする多くの建物が鉄筋コンクリート造りや鉄骨造りである。

 木材には温かみを感じる質感、衝撃吸収や紫外線吸収、調湿機能など多くのメリットがあり、使い手との距離が近い室内に利用するのには最適の素材である。そこで当センターでは、室内でのスギ利用の可能性を広げる取り組みを進めている。

カギは接合部


 木材を組み合わせて製品化するためには、木材同士の接合が欠かせない。また、運搬の利便性から、近年は組み立て式の製品が一般的であるため、より簡単に組み立てられる形状が求められている。

 スギは軽軟な素材であるがゆえに、既存の金具やボルトを使用すると、時間の経過とともに、金具などがスギにめり込み、ガタが生じる。初期の性能を維持できないと、安全性を担保できないため、スギを室内に普及させるためのカギは接合金具であることが明確になった。

地元企業との共同開発

 
 県産スギの性能評価や用途開発に長年取り組んできた当センターに蓄積された知見や知識を基に、スギの特長を生かしながら安全性を確保するスギ専用金具の開発が始まった。開発に当たっては、地場産業の振興も意識し、技術開発力のあるメタル・テクノ(都城市)と共同研究を行った。

 新たな金具は、スギの内部で強固に接合する形とし、見た目はほぼ木組みに見えるのが大きな特徴である。また、接合後の初期ガタ(力を加えたときの小さながたつき)をほぼゼロにし、スギと金具の一体化を実現している。
新たな金具と接合方法の特徴

新たな金具と接合方法の特徴


 スギと金具による接合部は予測通りの性能が得られているかを強度試験により確認した。このように、金具接合部の性能を明確にしていくことで、金具に汎用(はんよう)性を持たせることができる。すなわち、利用する側が実現しようとする製品形状を想定してパソコンでフレーム解析し、金具を使用できるかどうか、使用する場合に製品としてどの程度の耐荷重を保証できるかについて、事前に把握することができる。つまり、どのような製品であれ、スギ利用が前提であれば用途を限定せず使え、安全性の高い製品が実現できる。

金具接合部の強度試験

金具接合部の強度試験


新たな提案によってスギ利用拡大へ


 開発した接合金具は、内田洋行(東京都)が大型木製遊具の接合部に使用し、また、サンセラ(都城市)も物品棚の接合部に使用しており、新たな商品開発にもつながっている。現在も、製品開発を進める他の企業によって金具の使用が検討されており、スギ専用金具であることと、接合性能を明確に示すことにより、さまざまな製品の実用化に貢献できている。

 当センターでは県産スギの室内への利用をさらに広げるために、これ以外にもスギの持つ調湿機能やスギに含まれる抽出成分(精油)の効果を実証する試験などを行っている。金具による構造的な安全性にスギの持つさまざまな機能が加わることで、高付加価値な製品開発につながることから、引き続き産官連携による実用的な研究開発を進めていきたいと考えている。
金具を用いた製品化事例(左:大型木製遊具、右:物品棚)

金具を用いた製品化事例(左:大型木製遊具、右:物品棚)

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