みやビズ

2018年4月23日(月)
テクノリポート~県工業技術センター・県食品開発センターの取り組み~

ニーズあり!常温の県産水産加工品

2017/06/13
 水産試験場が実施した水産加工品を取り扱う県内小売業者や卸問屋のニーズ調査で、お土産品として利用可能な常温で流通できる商品が欲しいとの意見が出された。確かに、旅行者が立ち寄る店舗に並んでいる水産加工品は、ちりめん、開き、丸干し、かつお生節、しょうゆ節、すり身天ぷらなど、要冷蔵または冷凍品ばかりである。

常温の県産水産加工品でマーケット拡大 ~県水産試験場 経営流通部


新規加工例「丸ごといけるレンコダイ」

新規加工例「丸ごといけるレンコダイ」

 水産試験場が実施した水産加工品を取り扱う県内小売業者や卸問屋のニーズ調査で、お土産品として利用可能な常温で流通できる商品が欲しいとの意見が出された。確かに、旅行者が立ち寄る店舗に並んでいる水産加工品は、ちりめん、開き、丸干し、かつお生節、しょうゆ節、すり身天ぷらなど、要冷蔵または冷凍品ばかりである。

 これらをお土産品として購入する場合、持ち運びに保冷剤や専用容器が必要になる上、旅の途中であればなおさら、その後の行程を考えて買い控えるだろう。また、冷蔵で宅配してもらう必要が生じるため、割高となってしまう。これが常温保管可能な商品となれば、旅の途中で立ち寄った旅行者も、二つ、三つと気軽に購入してくれそうだ。

 さらに、災害発生に備えた非常食として、県内外からの需要も想定できる。「常温の県産水産加工品」は、間違いなく必要とされるだろう。

常温流通に必要なこと


 袋や缶に密封包装した食品を、常温で流通させるためには、食品の性質(pHや水分活性)に応じた方法で殺菌しなければならない。先に記した水産加工品であれば、ほぼすべてが「中心温度120度で4分間加熱する方法またはそれと同等以上の効力を有する方法」で殺菌する必要がある。つまり、100度以下で殺菌しているものは常温流通できないということになる。

 120度で殺菌するためには、加圧加熱殺菌装置(レトルト殺菌装置)という特殊で高価な装置が必要となる。

水産試験場でお試しを


フード・オープンラボ利用の流れ

フード・オープンラボ利用の流れ

 自社の既存加工品の常温流通を可能にしたいのであれば、まずはそのままレトルト殺菌して、食感や味、香りが変わらないかを確認してみてはいかがだろう。

 試しに、水産試験場でいくつかの既存の加工食品を単純な条件でレトルト殺菌してみたところ、そのまま販売可能なレベルのものや、食感がむしろ改善されたものもあった。まずはやってみることである。しかし、特殊で高価なレトルト殺菌装置を、お試しで導入することは難しい。

 そこでご紹介したいのが、水産試験場の水産物加工指導センター(フード・オープンラボ)である。ここには常温流通品の試作に使用できるレトルト殺菌装置がある。試作して食感や味、香りなどに満足ができない場合や、新たな常温流通品を開発する場合には、殺菌処理のやり方を試行して改良する必要がある。水産試験場フード・オープンラボでは、製品ごとに適した殺菌条件を明らかにしていく取り組みを支援することができる。

 また、レトルト殺菌装置では、温度や時間条件によっては魚骨も軟らかくできることから、水産試験場では、この特長を生かした新たな加工品も開発中である。

試験販売用製品を製造できます!


レトルト商品開発のための殺菌作業

レトルト商品開発のための殺菌作業

 試作の次にやってみたいことは試験販売。フード・オープンラボでは、4月から試験販売に供する製品を製造できるようになった。本施設では(1)魚肉ねり製品製造業(2)そうざい製造業(3)缶詰または瓶詰食品製造業のいずれかの「臨時営業許可」の取得と、「食品衛生管理者」を設置すれば、施設や機器ごとに1時間20円~935円で利用でき、試験販売用製品の製造ができる。

 本格的な製造販売や設備導入の検討に当たり、試作品を少量生産し、市場でユーザーの声を聞くというプロセスを、少ない経費で実施できるので、活用してほしい。今後、常温流通品をはじめ、さまざまな県産水産物加工品が続々と発売されることを、小売業者や卸問屋とともに期待している。

アクセスランキング

ピックアップ