みやビズ

2018年8月19日(日)
タニダの法務ルーム

リスクだらけの事業承継(3)~遺言残して確実に!(1)~

2018/02/08
 前回は「事業を子どもに継がせる場合、遺産分割をめぐる争いが起こらないようにする必要がある」というお話をしました。では、社長の死後に、こういった「争族」が起こらないようにするにはどうしたらいいのでしょうか?

谷田経営法律事務所のホームページはこちら

たにだ・よしと 1979年、兵庫県伊丹市生まれ。京都大卒。宮崎地方裁判所で司法修習を受け、本県で弁護士登録。債権回収や事業再建、労務問題などに企業側の弁護士として対応する。中小企業診断士の資格も持ち、2015年7月、宮崎市橘通東1丁目に谷田経営法律事務所を設立。

たにだ・よしと 1979年、兵庫県伊丹市生まれ。京都大卒。宮崎地方裁判所で司法修習を受け、本県で弁護士登録。債権回収や事業再建、労務問題などに企業側の弁護士として対応する。中小企業診断士の資格も持ち、2015年7月、宮崎市橘通東1丁目に谷田経営法律事務所を設立。

 これはもう、「遺言をちゃんと残す」ことに尽きます。「遺言」と「遺書」は全く違うので、単に自分で考えたことをそのまま紙に書き残すのではいけません。

 必要なことは、(1)弁護士関与の下で遺言の内容を設計し、それを公証役場に持ち込んで、公正証書遺言という形で仕上げる(2)遺言の中で、遺言設計に関わった弁護士を遺言執行者(=遺産の配分を仕切る役)に指名しておくこと-、です。こうすることで、自社株式はもちろん、その他の財産(預貯金や不動産など)も狙い通りに家族へ配分することが可能になるのです。

 さて、どうして「弁護士に関与」「弁護士を遺言執行者に指定する」などとくどくど書いたかについてですが、別に弁護士の仕事にしたいからではありません。(正直言うと、ちょっとありますが)

 弁護士に関与させることで、遺言内容の実現の精度がグンと上がるためです。というか、弁護士が全く関与せずに、遺言で事業を承継させるのは至難の業です。

 まず、方式面ですが、遺言は方式上の制約が大変厳しく、民法上の知識のない方がやろうとすると方式違反で無効になる可能性が高いです。ちなみに、最近流行している「エンディングノート」は法務面以外の点では役に立つツールではあるのですが、遺言としての法的効力は全くないので注意が必要です。

 死後、家庭裁判所での「検認」という面倒な手続きを避けるためにも、弁護士関与の下、公証役場で遺言をしたいところです。

 また、方式をきっちり守った公正証書遺言を作成できたとしても油断したらいけません。遺言の内容があまりに不公平ですと(例えば、会社を継いでくれる長男に全ての財産を相続させるなど)、損をする相続人が遺留分を主張してきてトラブルになることがあります。要するに、「遺言のせいで、自分の最低保障分が削られているので納得いかない」「得をした相続人の取り分の一部をよこしなさい」というわけです。こうなると、遺産分割トラブルが起こるのと似たような事態になってしまいます。

 こういった遺留分の主張を避けるには、後継者相続人に全ての財産を相続させるのではなく、事業に不要な財産を他の相続人に回してバランスをとる、といった配慮が必要になってきます。

 さらに、「弁護士を遺言執行者に指定した方がいい理由」については、次回に詳しくご説明します。

この記事へのご意見・ご質問はこちら

アクセスランキング

ピックアップ