みやビズ

2018年4月22日(日)
タニダの法務ルーム

リスクだらけの事業承継(1)~弁護士って必要なの?~

2018/01/11
 前回まで3回にわたり「自社株式の管理・集約」について解説しました。今回からは、自社株式をきちんと集約できた経営者の皆さんに向けて、数回にわたり「中小企業の事業承継」をテーマにお話をしたいと思います。

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たにだ・よしと 1979年、兵庫県伊丹市生まれ。京都大卒。宮崎地方裁判所で司法修習を受け、本県で弁護士登録。債権回収や事業再建、労務問題などに企業側の弁護士として対応する。中小企業診断士の資格も持ち、2015年7月、宮崎市橘通東1丁目に谷田経営法律事務所を設立。

たにだ・よしと 1979年、兵庫県伊丹市生まれ。京都大卒。宮崎地方裁判所で司法修習を受け、本県で弁護士登録。債権回収や事業再建、労務問題などに企業側の弁護士として対応する。中小企業診断士の資格も持ち、2015年7月、宮崎市橘通東1丁目に谷田経営法律事務所を設立。

 この数年、金融機関や公的機関主催のセミナーで、「団塊の世代が70代に突入し、中小企業の世代交代も一気に進む」「事業承継は喫緊の課題」といったフレーズを添えて、事業承継対策の必要性がしばしば説かれるようになりました。こうしたセミナーを受講された方にとっては「また事業承継か・・・」とウンザリされるかもしれません。

 しかし、弁護士が事業承継にどういう形で関わるのか、お役に立てるのかについては、まだまだ経営者の皆さんには浸透していないように思われます。例えばインターネット通販大手「アマゾン」で事業承継の本と検索すると、弁護士以外による著書の方が圧倒的に多くヒットします。公認会計士・税理士の先生による税務対策を意識した書籍が大半を占める一方、弁護士単独で執筆された実務書はまだまだ少数です。

 では、事業承継について弁護士のサポートは不要なのかというと、もちろんそんなことはありません。お金や不動産を後継者に継がせる方法は一般の方にも分かりやすいでしょう。お金は渡すだけ、不動産なら登記手続きをするだけです。しかし、事業というのは目に見えない抽象的・法律的な概念ですから、これを後継者に引き継がせるとなると法務面での専門家のフォローは不可欠です。下手をすると、「事業を引き継がせたつもりが、全然引き継げていなかった」ということもありうるわけですから。

 また、事業にはさまざまな法務リスクが含まれています。「得意先との契約関係」「従業員との労務関係」「事業用不動産の利用権」「負債の状況」など、すぐに思いつくだけでもたくさんあります。こういった法務リスクの分析をせずに「えいやっ」と事業承継をしてしまうと、事業を引き受けた側は「もっとちゃんとした事業だと思って買い取ったのに・・・。まさかこんなにトラブルが埋まっていたなんて」と後悔することもあり得ます。

 このように、弁護士による法務チェックなしに事業を子どもへ引き継がせたり、他社の事業を買い取ったりするのは大変危険なのです。

 こういった危険を可能な限り避けるべく、今回からは、「事業承継に弁護士がどういう形で関与するか」にスポットライトを当てて解説をしていきたいと思います。「贈与税」「相続税」等の税務対策については、税理士の先生方の専門分野ということであえて解説の対象からは外させていただきますので、ご了承願います。

 事業承継を法務面から解説することで、会社が直面する法務リスク全般を洗い出せるような流れにしたいと思いますので、事業承継を意識されている社長はもちろん、そうでない起業したばかりの若社長もぜひお読みいただければと思います。

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