みやビズ

2018年7月21日(土)
タニダの法務ルーム

株式管理の鉄則(2) ~比較的新しい会社の場合~

2017/11/30
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 前回は自社株式管理シリーズの1回目として「自社株式が散らばっていると、いろいろな介入やトラブルを招くので、少しでも社長に自社株式を集めましょう」というお話をしました。

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たにだ・よしと 1979年、兵庫県伊丹市生まれ。京都大卒。宮崎地方裁判所で司法修習を受け、本県で弁護士登録。債権回収や事業再建、労務問題などに企業側の弁護士として対応する。中小企業診断士の資格も持ち、2015年7月、宮崎市橘通東1丁目に谷田経営法律事務所を設立。

たにだ・よしと 1979年、兵庫県伊丹市生まれ。京都大卒。宮崎地方裁判所で司法修習を受け、本県で弁護士登録。債権回収や事業再建、労務問題などに企業側の弁護士として対応する。中小企業診断士の資格も持ち、2015年7月、宮崎市橘通東1丁目に谷田経営法律事務所を設立。

 会社の重要な意思決定をする際は、その都度株主総会決議にかけないといけません。社長以外に株式が散らばっていると、たとえ友好的な株主ばかりであっても、この意思決定が鈍ります。他方で、100%社長が握っていれば、一瞬で意思決定できることになります。迅速な意思決定こそが中小企業の強みですので、この差は大きいですね。

 なお、自社株式の集約について、「発行済み株式総数の3分の2をかき集めて後継者に引き継げば、特別決議もできるし何とかなる」「まずは3分の2を目標に株式を回収しよう」という意見もあります。しかし、ほんの少しでも株式を保有されていると、会社法上さまざまな権利を行使されてしまいます。そういった介入に対処するだけでも、会社経営上のロスになります。

 自社株式は、100%代表者が確保しておくのが鉄則です。

 さて、以上を前提に、会社の設立時期ごとに分けて、自社株式集約の注意点を説明します。

■パターン(1)2006年5月1日の会社法改正以降に設立された株式会社


 このパターンの会社の社長はまだ若く、事業承継を意識されるような年代ではないと思います。とはいえ、いつかは何らかの形で自社株式の集約が必要になりますので、これを機会に会社株式を少しでも社長自身に集約していただきたいです。

 この会社法改正により、昔よく耳にした「株券」というものが廃止されました。同日以降に設立された会社は、株券のことを気にせず株式の管理・移転を行えます。そのため、これらの会社の場合、株式の集約は(税務面はともかく、法務的には)それほど難しくありません。

 自社に備え付けてある株主名簿を見て、代表者以外の株主・保有株式数を確認し、その株式を買い取るだけです。買い取るのは、社長個人名義でも会社名義でも構いません。(どの名義で買い取るかによって課税対象・税額が変わってきますので、この点は事前に税理士の先生に確認してもらいましょう)

 もちろん、株式がちゃんと移転したことを証拠化するため、株式譲渡契約書を取り交わします。株主名簿を備え付けていないのであれば、今からでもいいので株主名簿を整備しましょう。株券が廃止された現在では、「誰が株主か」を確定する上で株主名簿が最も重要となるためです。

 設立時の資料(原始定款や発起人間の合意書)や、確定申告書の別表二(同族会社の判定に関する明細書)を付き合わせて株主構成を確定し、株主名簿を作成しましょう。なお、ネット上に落ちている株主名簿のひな形は、会社法上要求されている記載事項が漏れていることもありますので、注意が必要です。先の株式譲渡契約書もそうですが、こういった株主名簿の整備についても弁護士のチェックを経たいところです。

 そして、株主名簿上の株主との間で、株式譲渡契約書を取り交わせばいいわけです。

 以上のように、06年5月以降に設立された会社の場合、株式移転の設立時の資料が残っていることや、まだ株式が目まぐるしく移動していないことも合わさって、会社株式の集約は比較的容易です。

 逆に、時間が経過すると、後年株主が死亡したときに相続人へと会社株式が移ってしまい、集約が一気に難しくなります。株主が簡単に把握できる今のうちに、会社株式の集約を進めてしまいましょう。

 次回は、もう少し以前に設立された会社について解説します。おそらく、事業承継にお悩みの会社の大半は、06年以前に設立された会社でしょうから、次回の解説はとても重要です。

 よろしくお付き合いの程お願い致します。

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