みやビズ

2018年6月24日(日)
タニダの法務ルーム

株式管理の鉄則(1)〜あなたの会社の株式、大丈夫?〜

2017/11/09
 経営者の方たちの大きな課題となっている事業承継についてお話を今回から始めようと思ったのですが、その前に事業承継にとって不可欠な「自社株式の管理・集約」についてお話をしたいと思います。

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たにだ・よしと 1979年、兵庫県伊丹市生まれ。京都大卒。宮崎地方裁判所で司法修習を受け、本県で弁護士登録。債権回収や事業再建、労務問題などに企業側の弁護士として対応する。中小企業診断士の資格も持ち、2015年7月、宮崎市橘通東1丁目に谷田経営法律事務所を設立。

たにだ・よしと 1979年、兵庫県伊丹市生まれ。京都大卒。宮崎地方裁判所で司法修習を受け、本県で弁護士登録。債権回収や事業再建、労務問題などに企業側の弁護士として対応する。中小企業診断士の資格も持ち、2015年7月、宮崎市橘通東1丁目に谷田経営法律事務所を設立。

 内容は地味ですし、多くの中小企業は後手に回っているため、耳の痛い話になると思います。しかし、全ての中小企業にとって大事なテーマとなります。「もうかる、もうからない」というレベルではなく「会社の存続に関わる」重大な問題となるので、ぜひお読みいただきたいと思います。

 社長の皆さんにとっては「何を今更、株式の話なんて」と思われるかもしれませんが、株式はいわば「会社の所有権」です。取締役を選ぶ、定款を変更することから、会社の解散まで、すべて株式数による多数決で決まるのです。

 そのため、株式を有効に保有していないと、会社を後継者に継がせようがありませんし、外部の第三者に会社を売却しようにも相手にされません。近い将来、事業承継を考えている経営者にとって、自社株式の管理は不可避のテーマとなるわけです。

 これらの事業承継の場面に限らず、自社株式が社長以外に分散しているとさまざまな不都合が生じます。例えば、ほんの1株、仲の悪い人に握られているだけで、以下のような不当なクレームを受けることもあります。

 -株主である自分に、株主総会招集通知が来なかった。だから、その株主総会で決まったことは無効だ。

 -取締役がやろうとしていることは会社に損害を与える恐れがあるから、差し止めを求める。

 -取締役のうかつな行動のせいで会社に損害が生じた。会社は取締役に損害賠償請求しろ。(いわゆる株主代表訴訟)

 「そんな変な人に株式を持たせていないから、大丈夫」とおっしゃる社長もいるようですが、果たしてそうでしょうか。奥さんに株式を持たせていたら、後日離婚することになり、奥さん名義の株式が足かせになるという例は実は非常に多いのです。離婚の協議で、自社の株式をまるで人質のように交渉の材料にされてしまい、大幅な譲歩を余儀なくされるわけです。仮に私が奥さん側の弁護人になった場合、そんなアキレス腱(けん)は徹底的にたたきます。それだけ大変な弱みとなるわけです。

 また、仲のいい親戚に株式を持たせていたところ、その親戚が亡くなり、厄介な性格をした息子に株式が渡り、執拗(しつよう)な嫌がらせや金銭請求を受けるということもあります。

 そして、その株式を巡る紛争の中で、長年の親戚付き合いのギクシャクが噴出して泥沼劇を演じるというのは、もはやお約束です。全くの余談ですが、会社の株式関係の紛争を専門的に扱う東京地裁民事8部は、家族間のドロドロとした争いがあまりに多いため「東京地裁家事部」とやゆされるほどです。

 また、親族関係以外に、見込み客から「これから大口の取引を続けるに当たって、信頼の証しとして貴社の株式を少し持たせてくれ」と気軽に頼まれることがありますが、これはもう論外です。おそらく、こんなことをいう見込み客に悪気はないのでしょう。ですが、自社株式を少しでも部外者に保有されることのリスクは、目先の売り上げと比較しても到底釣り合うものではありません。

 「裏切られたらどうしよう?」という人間不信に陥るような話が続いて不愉快な思いをされた読者もおられるかもしれません。しかし、自社株式を社長以外に握られることの危険性は十分伝わったのではないかと思います。

 では、自社株式は、どのようにして集約すればいいのでしょうか。これは、会社設立当時の法制度によって変わります。次回以降、会社設立時期ごとに分けて、自社株式の集約方法・注意点を解説していきます。

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