みやビズ

2018年10月21日(日)
タニダの法務ルーム

知って得する債権回収(7)~終わりに~

2017/10/26
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 前回は「債権回収は、実際にやるとなると莫大(ばくだい)な時間と費用がかかる」ということを説明しました。債権回収シリーズの最終回となる今回は、割に合わない債権回収を避ける方法についてお話しします。

谷田経営法律事務所のホームページはこちら

 読んでいただければ「そんなの当たり前じゃないか」「法律の解説になってないぞ」とやじられそうな内容ですが、10年間弁護士をやってきた上での実感ですので、お付き合いいただけますと幸いです。
※前回の「1、債権回収の負担」の続きとなります。

たにだ・よしと 1979年、兵庫県伊丹市生まれ。京都大卒。宮崎地方裁判所で司法修習を受け、本県で弁護士登録。債権回収や事業再建、労務問題などに企業側の弁護士として対応する。中小企業診断士の資格も持ち、2015年7月、宮崎市橘通東1丁目に谷田経営法律事務所を設立。

2、最善の予防策は?

 債権回収にかかる「費用」「時間」を見ても分かるように、裁判から差し押さえまでこなして無理やり債権を回収する、というのは本当に大変なことなのです。

 費用や時間をかけて回収できればまだマシな方で、「相手方が倒産してしまった」「差し押さえる財産が結局見つからなかった」という場合は全額焦げ付いてしまいます。

 このように、債権回収がこじれることは多大なリスクですので、一番大事なのは「信用できない」「支払い能力に不安がある」ところとは、最初から付き合わないのが一番、ということになります。

 ある意味当たり前のことなのですが、事業をやっていると、どうしても売上高を伸ばすことばかりに目を奪われて、取引先の選別が二の次になっている企業をしばしば見かけます。新しい取引先と付き合いを始めたときから「なんだかこの取引先はだらしないな」「大丈夫かな…?」と思ったら、早いところフェードアウトした方がいいでしょう。

 長年の取引先にしても、支払いが滞りがちになってきたら、心情的には心苦しいですが、取引規模を少しずつ縮小するなどして、いざというときの被害を抑えたいところです。

3、予防の本当の効果

 2をお読みになった方は、「債権の証拠化とか、差押財産の調査とかいろいろ言っているけれど、あまり役に立たないのでは?」「結局、危なそうな相手とは付き合うな、というだけのことでしょ?」と思われたかも知れません。

 しかし、「債権の証拠化」「差押財産の調査」も決して無駄にはなりません。良好な取引先を選別したつもりでも、焦げ付く取引先はいずれ出てきます。相手方が信用できるかどうかすぐに見抜けませんし、経営状況も時間がたつにつれて変動しますので、これは避けようがないことなのです。

 いざ焦げ付いたとき、「契約書等の証拠をきっちり残していて、相手方にどういう財産があるかも把握している」と、交渉の段階で素直に分割払いに応じてくれることも多いものです。裁判を起こされるのが好きな会社なんていませんし、勝ち目がないとなればなおさらです。

 また、仮に交渉に応じてくれず、裁判を起こすことになっても、証拠を事前に固めておけば、裁判の中で早期に降参してくることも多いです。むちゃな言い分で悪あがきする取引先は、取引開始の時点で注意していれば判別できるでしょう。

 逆説的ですが、差し押さえに役立つ「債権の証拠化」「差し押さえられる相手の財産の調査」は、差し押さえまでもつれることなく、済ませられるという効果もあるわけです。

 割に合わない債権回収につき合わされないためにも、日ごろから取引相手を慎重に選びつつ、「債権の証拠化」「相手方の財産調査」も心がけていただきたく思います。

 さて、合計7回にわたった債権回収の講座は、今回で終了です。長らくお付き合いいただき、ありがとうございました。

 次回からは事業承継や株式管理、不動産紛争など中小企業がハマりがちなテーマについて解説していこうかと思います。一般の書籍では読めないようなリアルな現場の描写も交えつつ、分かりやすい説明をしたいと思いますので今後ともよろしくお願いいたします。

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