みやビズ

2018年7月20日(金)
タニダの法務ルーム

知って得する債権回収(6)~かかる費用や時間~

2017/10/12
 前回まで5回かけて、債権回収のノウハウを解説してきました。今回と次回では、その仕上げとして「債権回収のためにかかる負担」についてお話をしつつ、企業が債権回収とどのように付き合っていくべきかについてご説明して、一連のシリーズの締めくくりとさせていただきます。

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たにだ・よしと 1979年、兵庫県伊丹市生まれ。京都大卒。宮崎地方裁判所で司法修習を受け、本県で弁護士登録。債権回収や事業再建、労務問題などに企業側の弁護士として対応する。中小企業診断士の資格も持ち、2015年7月、宮崎市橘通東1丁目に谷田経営法律事務所を設立。

1、債権回収の負担

 前回まで、「(1)債権の証拠化」と「(2)差し押さえるべき相手方の財産」について説明しました。しかし、これらを活用して、支払いを渋る相手方から無理やりお金を取り立てようと思ったら、大変な労力、費用、時間がかかります。

 というのは、相手方の財産を差し押さえて債権回収をするには、原則として裁判を起こして、勝訴判決をもらわなければなりません。普通の契約書だけでは、いきなり差し押さえることはできないのです。

 例外として「抵当権等の担保をつけた場合」「契約書を公正証書で作った場合」には、裁判をせずに差し押さえができます。ただ、公正証書については、債権額が変動する継続的取引では差し押さえに使えないという致命的な弱点があり、あまり実務的ではありません。

 そして、いざ裁判となると、まず真っ先に皆さんが心配されるのが費用面でしょう。このあたりについては弁護士や事案ごとにまちまちです。

 あえてざっくり言うと、(1)最初に弁護士に依頼するときに、債権額の1割(下限15万円ほど)、(2)回収できたときは、成功報酬として回収額の1割、(3)その他、裁判所に納める印紙代など1万円以上(請求額次第で増えます)といった感じです。

 (1)(2)の弁護士費用は、基本的に自腹になります。そのため、少額の債権だと逆に赤字になる可能性もあります。

 次に、「かかる時間」が気になりますが、相手方が観念して特に抵抗しないのであれば、弁護士に依頼して3カ月程度で勝訴判決がもらえます。しかし、相手方が抵抗してくると、たとえそれが荒唐無稽な言い分であっても、長期化する可能性があります。これまでの経験では、契約書に相手方の実印が押されていて、印鑑証明書も取り付けていたのに「何もかも偽造だ!何かの陰謀だ!」というむちゃくちゃな反論に遭って、2年くらい引き延ばされたことがあります。

 以上で述べたことからも分かりますように、債権回収を実際にやるとなると、膨大な時間と費用がかかってしまいます。そして、膨大な時間、費用をかけて勝ち取れるのは、「もらえて当たり前の代金」に過ぎません。良好な取引先であれば、請求書1通ですんなり払ってもらえるはずのものです。

 では、こんな割に合わない債権回収に付き合わされずに済ませるには、どういったことに気を付ければ良いのでしょうか?
 
 これについては、次回詳しくお話しいたします。

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