みやビズ

2018年5月22日(火)
タニダの法務ルーム

知って得する債権回収(4)何を差し押さえる?〜その2〜

2017/08/24
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 前回は支払いが焦げ付いたときに差し押さえる財産として「動産」「不動産」の二つについて解説しました。ただ、前回の記事をお読みいただければ分かりますように、これらは案外回収には使いづらいものです。今回以降は、債権回収に実際に役立つ財産を中心にご説明をしていきます。
(小見出しのナンバリングは前回の延長で振っています)

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たにだ・よしと 1979年、兵庫県伊丹市生まれ。京都大卒。宮崎地方裁判所で司法修習を受け、本県で弁護士登録。債権回収や事業再建、労務問題などに企業側の弁護士として対応する。中小企業診断士の資格も持ち、2015年7月、宮崎市橘通東1丁目に谷田経営法律事務所を設立。

たにだ・よしと 1979年、兵庫県伊丹市生まれ。京都大卒。宮崎地方裁判所で司法修習を受け、本県で弁護士登録。債権回収や事業再建、労務問題などに企業側の弁護士として対応する。中小企業診断士の資格も持ち、2015年7月、宮崎市橘通東1丁目に谷田経営法律事務所を設立。

3、相手方の銀行預金

 通常の取引相手であれば、どこかの銀行に預金口座を持っているはずです。この預金残高を差し押さえて取り上げてしまうわけです。

 まず、裁判所に相手方の預金の差し押さえを申請します。これが認められると、裁判所が銀行に対し、「あなたの銀行にあるAさんの預金口座は差し押さえられました。今後、Aさんが預金を下ろしに来ても、応じてはいけませんよ」と通知してくれます。

 銀行は裁判所の命令にきちんと従ってくれますので、相手方は差し押さえられた預金を下ろせなくなります。そして、一定の日数が経過すれば、銀行に頼んで差し押さえた預金残高を直接払ってもらうこともできます。「二束三文でしか売れない動産」「買い手がつくかどうか分からない不動産」と違い、銀行に直接お金を払ってもらえるわけですから、回収の安定度は段違いです。

 こういうこともあり、われわれ弁護士は真っ先に「さて、相手方はどこに預金口座を持っているかな?」と考えるわけです。

 ここまで書くと、「預金差し押さえってすごいなあ」となりそうですが、やはりそう都合よくはいかないものでして。いくつかデメリットはあります。

 まず、少なくとも「差し押さえたい預金口座のある銀行・支店を特定しないといけない」ということです。銀行名と支店を特定せずに裁判所へ申請しても、受け付けてもらえません。

 ただ、このデメリットは意外と何とかなります。普段の付き合いの中でそれとなく取引先金融機関のことは伝わってきますし、どうしても分からなければ当てずっぽうで差し押さえをすれば、案外当たるのです。(特に、宮崎の場合ですと、会社の取引銀行は2大地銀に集中していますので、かなりの確率でヒットします)

 いずれにしても、取引相手がどこの銀行・支店に預金口座を持っているのかは、平常時からきちんと情報を仕入れておきたいところです。

 もう一つのデメリットがちょっと厄介なのですが、相手方が同じ銀行から借金をしていた場合は差し押さえができないということです。

 この場合に差し押さえをしようとしても、銀行からは「今回裁判所から、Aさんの預金を差し押さえたという通知が来ました。ですが、当行はAさんにお金を貸しています。Aさんの預金は、当行の貸付金と相殺する予定ですので、あなたにお支払いするお金はありません」といった回答が返ってきます。(要するに、銀行は自行の貸付金回収を優先するというわけです)ですので、相手方のメインバンクを狙っても大抵失敗に終わります。

 狙うのは、あくまで「相手方が預金口座を持っているけれど、借金はしていない銀行」の口座となります。このへんの情報も、平常時から意識しておくと、債権回収の成功率はグンと上がります。

 預金の差し押さえについては以上です。相手方の業種・属性問わず共通して狙っていける財産ですので、何よりも優先して押さえていただきたいと思います。

 次回は、相手方の属性・業種が限定されるものの、とても有効な差し押さえ財産について説明します。


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