みやビズ

2018年7月16日(月)
タニダの法務ルーム

知って得する債権回収(2)証拠をきちんと残す

2017/06/22
 前回よりお話をしている債権回収ですが、気を付ける点は大きく分けて(1)シラを切られても大丈夫なように、きちんと証拠を残す(2)差し押さえる(あるいは担保に取る)財産をきっちり調査する-の2点です。今回は(1)の「債権の証拠化」についてお話をしようと思います。

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たにだ・よしと 1979年、兵庫県伊丹市生まれ。京都大卒。宮崎地方裁判所で司法修習を受け、本県で弁護士登録。債権回収や事業再建、労務問題などに企業側の弁護士として対応する。中小企業診断士の資格も持ち、2015年7月、宮崎市橘通東1丁目に谷田経営法律事務所を設立。

たにだ・よしと 1979年、兵庫県伊丹市生まれ。京都大卒。宮崎地方裁判所で司法修習を受け、本県で弁護士登録。債権回収や事業再建、労務問題などに企業側の弁護士として対応する。中小企業診断士の資格も持ち、2015年7月、宮崎市橘通東1丁目に谷田経営法律事務所を設立。

 1、契約書を作る!
 
 一般の方がまず思いつくのは、「取引するときに、きちんと契約書を作ること」でしょう。そして、それは決して間違いではありません。取引の条件(売買する物、代金額、支払い時期など)が正確に記載されている契約書に、相手方の座版と押印をもらえれば、よほど変な事情がない限り証拠として機能します。

 仮に取引相手が「そんなの買った覚えはない」などとシラを切ってきても、契約書を証拠にして裁判を起こせば勝てるでしょう。相手方から見れば、「契約書に印鑑を押してしまったし、裁判をされたら負けるに決まっている」とあきらめて素直に支払ってくれることも多いので、無駄な裁判を避ける効果もあります。

 以上のように、契約書は債権回収の基本となりますが、契約書であれば何でもいいというわけではありません。自社にとって不利な条項が契約書に入っていると、その内容がそのまま降りかかってくるためです。

 例えば、「本件取引に関連する裁判は、東京地裁でしかできない」という意味の条項が入っていると、いざ裁判を起こす際に弁護士費用がかさんでしまいます。相手方もそれを分かった上で「費用倒れになるから裁判は起こしてこないだろう。踏み倒してやろう」という態度に出ることもあるのです。

 他にも、不利益な条項がさりげなく契約書に埋め込まれているケースは多く、まさに地雷といえるでしょう。

 このように、契約書は諸刃の剣ですので、取り交わすのであれば自社側で作成したいところです。取引相手との力関係も絡むので難しいかも知れませんが、取引相手が提示してきた契約書をベースにするにしても、きちんと条項を弁護士にチェックさせて、譲れないところはきちんと指摘して訂正または削除させましょう。
 
 間違っても、取引相手が示してきた契約書の内容を確認もせずにホイホイ押印する、ということだけは控えていただきたいと思います。

 2、足跡を残させる?

 1でお話ししたように、理想は「自社側の弁護士が作成またはチェックした契約書をその都度取り交わすこと」です。とはいえ、単発・小口の取引でいちいち契約書を作成なんてしていられない、という事情もあるかと思います。

 そういった場合は、せめて「取引相手が注文したこと」を形にして残すよう工夫をしてみましょう。

 例えば、自社の取扱商品に合った注文書書式をPDFで配布し、取引相手にはその書式に記入・押印してファクスで送信してもらう(あるいは、押印済注文書をPDF化してもらい、メールに添付して送信してもらう)といった方法が考えられます。これなら、スピーディーに受注できますし、「取引相手が注文したこと」がきっちり証拠として残ります。
 
 また、メール本文に注文内容を書いて送信してもらうのもスピーディーで良いでしょう。とはいえ、このやり方ですと取引相手の押印を省略することになるため、証拠としての信用性は少し下がってしまう点は注意が必要です。

 いろいろアイデアを書きましたが、要するに取引相手にシラを切られないようにすればいいわけです。逆に言えば、取引相手がシラを切れてしまうようなものですと、証拠としては使えません。
 
 例えば、自社が取引相手に渡す請求書・見積書の控え等は、自社の座版・押印しか出てこないため、取引相手に「うちはこんな請求書とか見積書知らないよ?あなたの会社が勝手に作っただけでしょ?」と言われて終わってしまいます。

 「証拠を残したければ、取引相手に足跡を残させる」、この鉄則をくれぐれも意識して頂きたいと思います。

 他にも、取引態様に応じた「債権の証拠化」のコツはいろいろあるのですが、一般的な手法としては以上のような感じになります。
特に、2で紹介した「相手方にメールやFAXをさせる」というのはとても手軽なやり方ですので、債権回収に不安を感じておられる経営者の方がおられましたら実践していただきたいと思います。

 さて、次回は、(2)差し押さえる(あるいは担保に取る)財産をきっちり調査すこと-、について解説します。取引相手の属性によって狙うべき財産が異なってきたりと、なかなか一筋縄ではいかないテーマですが、それだけにコツをつかめば他社に差をつけることができるところです。

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