みやビズ

2019年10月17日(木)
食・農 共感(県内農協シリーズ)

JA都城 【地域に生きる】

2012/08/11

肉質向上に取り組む 和牛


長男將道さん(右)と牛をブラッシングする久留雅博さん=都城市蓑原町

長男將道さん(右)と牛をブラッシングする久留雅博さん=都城市蓑原町

 全国有数の畜産基地として知られる都城市を語る上で、和牛の存在は欠かせない。2006年農林水産統計をめくると、肉用牛(ほとんどが和牛)の産出額は151億円で全国の市町村では断トツ。地域経済の重要な歯車となっているが、近年は景気低迷による枝肉価格の下落、飼料の高騰、農家の高齢化などに苦しむ。隣接する三股町を加えたJA都城の管内では、農家と関係者が厳しい中でも前を向き、経営の効率化や肉質向上に懸命に取り組む。

 管内の子牛出荷は長年、2万2千頭台を維持してきたが、11年度は口蹄疫による種付け自粛の影響で1万8818頭(74億5400万円)。一方、農家戸数は01年度からの10年間で45%も減少して1894戸。存続する農家が経営規模を拡大し、何とか出荷頭数を保ってきた。

 しかし、農家の半数近くが70歳以上で、担い手確保は喫緊の課題。同JA和牛生産課の古川哲郎課長補佐は「担い手が少ないのは、もうからないから」と語り、農家に年1産の実現やコスト削減などによる収益性の確保を強く訴える。

 子牛を生産する繁殖農家の久留雅博さん(48)=同市蓑原町=は市肉用牛担い手農家連絡協議会(162人)の会長。高額な初期投資や、就農後の無収入期間が長いことを挙げ、「牛は新規就農しにくい」と説明する。それだけに今いる後継者の育成を重視。先輩から教わった技術を仲間と共に若手へ伝えるなど産地の維持・発展を下支えする。

 同協議会は4日、市内の大型イベント「盆地まつり」で牛串を原価販売した。その理由について「他県の『畜産の町』では、地元の肉が積極的に消費されているが、都城では…。食べてもらえば、きっと良さが分かる」と久留さん。「日本一、地元消費の多い町を目指そうよ」と声を上げる。

 子牛を育てた肥育牛の出荷頭数は年間8千頭前後で推移し、11年度も7899頭(54億8200万円)。しかし、枝肉価格は低空飛行が続く。同JA肥育牛課の中村健次課長は「良質な脂、豊富なうまみ成分を科学的に追求し、他の産地との差別化を図る必要がある」と考える。

 120頭を飼育する肥育牛部会長の清水裕一郎さん(50)=同市高城町石山=は「経営はぎりぎりだが、将来に悲観的ではない。むしろ楽しみ」と話す。「肉のうまみをどう高めるかが今後のブランドづくり。血統や餌などを研究して、今までにない肉にたどり着けば輸出もできる。世界中の人が『うまい』と思う牛をつくりたい。仲間と意識を高めて取り組めば可能だと思う」と力を込める。

JA都城
【JA都城メモ】
設立年月日 1975年2月1日
本店所在地 都城市上川東3の4の1
管轄エリア 都城市、三股町
正組合員数 1万28人
准組合員数 1万447人
農畜産物販売額 約240億円
主な品目 和牛、豚、生乳、キュウリ、水稲
※データは2011年度
新森 雄吾組合長
新森 雄吾組合長プロフィル
 都城市出身。都城高専卒。1975(昭和50)年、都城農協入り。2005年から現職。「地域農業の振興に全力を尽くしたい」と語る。60歳。(しんもり・ゆうご)

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