みやビズ

2019年10月16日(水)
食・農 共感(県内農協シリーズ)

JA串間市大束 【地域に生きる】

2012/07/14

ブランド国内外発信 ヤマダイ甘藷


機械で次々と掘り起こされる超早掘り甘藷=串間市大平

機械で次々と掘り起こされる超早掘り甘藷=串間市大平

 梅雨明け間近のこの時期、JA串間市大束の出荷場は、箱詰めされた甘藷(かんしょ)が次々と運び込まれ混み合う。1~3月に植え付けられ、「超早掘り」と呼ばれる赤紫に輝く芋は、主に関西方面にトラックで送り出される。

 食用甘藷は、串間市北部の山あいに広がる大束地区で200戸余りが約600ヘクタールで生産しており、全国有数の産地を形成。「ヤマダイ甘藷」としてブランドが確立され、とりわけ関西の市場ではメジャーな存在になっている。年間を通じて出荷される安定性に加え、質の高さ、規格の統一性などから、市場の信頼は厚い。

 管内で甘藷栽培が始まったのは1965(昭和40)年。それまでのデンプン芋が輸入物に押され、新しい作物への転換を模索した時期だった。最初に栽培し「ヤマダイ」と名付けた内田邦雄さん(83)=同市奈留=はその年の9月、仲間5人とともにオート三輪で北九州市に3トンを運ぶ。するとこれが大当たり。「デンプン芋の6倍くらいの値段で売れた」

 収益性に優れているだけでなく「台風など風水害に強い」「日持ちするので遠い消費地にも送ることができる」などの利点から、多くの農家が追随。水はけのいい火山灰土壌も栽培に適していた。芋を低温状態で長期保存できる「横穴式貯蔵庫」が早くから広まり、年中出荷が可能な態勢が整った。

 内田さんは「生産者自らが日々技術を高めてきた」と自負する。生産者が出荷場に持ち込んだ際、品評会のようにほかの生産者のものと比べるのもしばしば。年に数回、同JA園芸部会が独自の座談会を開き、病気予防や貯蔵管理をテーマに熱い議論を戦わせる―。そうしてヤマダイのブランド力は磨かれてきた。

 病気や土の栄養不足という危機も、知恵と工夫を出し合い乗り越えることで、結果として産地のレベルアップにつなげてきた。20年ほど前から無菌状態で育てたウイルスフリーの苗を導入。地力増強のための堆肥センターも整備した。農家の高齢化に対応する農家支援センターを本年度中に設立。作業委託や人材派遣を進める一方、機械化で一生産者当たりの面積拡大を促す。

 消費者のニーズに応えるため、一箱の個数が統一された定数詰めを取り入れる一方、JA宮崎経済連を通じて香港やマカオへの輸出も始めた。同JA園芸部会長の木村久男さん(50)=同市大平=は「先人たちの知恵や経験を受け継いでここまできた。ブランドを確固たるものにして、次の世代に残していきたい」と力を込める。

JA串間市大束管轄エリア
【JA串間市大束メモ】
設立年月日 1948年4月26日
本店所在地 串間市奈留5237の1
管轄エリア 串間市大束地区
正組合員 696人
准組合員 142人
農畜産物販売額 約29億円
主な品目 食用甘藷、キンカン、マンゴー
※データは2011年度
野辺  守組合長
野辺  守組合長プロフィル
 串間市出身。1974(昭和49)年、大束農協入り。2011年8月から現職。「農業に意欲を燃やす若手後継者の意見に耳を傾けたい」と語る。59歳。(のべ・まもる)

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