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2019年9月21日(土)
食・農 共感(県内農協シリーズ)

JA延岡【地域に生きる】

2013/02/12

空飛ぶ新玉ネギ 生産向上へ管理徹底


全国産地に先駆け出荷される「空飛ぶ新玉ネギ」を収穫する松田部会長。供給が需要に追い付かないほど売れる有望作物だ=延岡市出北

全国産地に先駆け出荷される「空飛ぶ新玉ネギ」を収穫する松田部会長。供給が需要に追い付かないほど売れる有望作物だ=延岡市出北

 煮てよし揚げてよし、生のままでもおいしい―。コメやミカンなど多彩な農作物が生産されているJA延岡管内。中でも都内の高級ホテルから注文が入るなど、供給が追い付かないほど引き合いが多いのが独自ブランド「空飛ぶ新玉ネギ」だ。豊富な日照時間を生かし、市場の流通量が少ない1月末から出荷。県外の有数産地が4月ごろから本格的に出荷を始めるのに対し、全国でもトップレベルの早さを誇る。

 市場への早期供給を実現させたのが、甘みが特長の極わせ品種「トップゴールド」。1996年に農家数戸が試験栽培を始め、98年に農家約50人でJA延岡玉ネギ部会を発足させた。現在は栽培面積は約26ヘクタールに拡大し、部会員は発足時の倍以上の130人になった。5月末まで安定出荷できるよう、作付け時期や食味が異なる「高錦」「濱の宝」「浜笑」など複数品種を導入している。

 他産地に先駆けるための栽培ノウハウの確立・習得は容易ではない。旭化成を退職し農家に転身した松田勇部会長(70)は「今でこそ利益を出せているが、初めは不作で辞めようと考えたこともあった」。深く植え過ぎれば玉太りは悪くなり、浅ければ大雨などで玉がむき出しになってしまう。2012年産は作付け時期に長雨に見舞われ、部会全体の販売額が前年比で2千万円以上少ない6千万円に落ち込んだ。

 生産現場の苦労が報われるよう、JAは徹底したデータ管理で農家をバックアップ。生産量や生育状況など各農家の情報を収集して翌年以降に生かすとともに、種まき講習、出荷説明会、実績検討会などを開催し技術・情報を共有している。ブランド価値を高めるため、市内約30アールの試験畑で肥料の種類や量を変えての土壌診断、減農薬栽培の実証なども進める。

 価格が下落する4月以降の出荷分について、ドレッシングやレトルトカレーなど加工品原料として供給する体制も整えた。

 13年産は天候に恵まれ、1月の初競りは過去最高値に並ぶ1玉600円の値がつくなど上々の滑り出しを見せた。生産量は前年より240トン多い800トンとなる見通しで、遠くは岩手県の市場まで出荷される。それでも同JA農産園芸振興課の甲斐久晴課長(54)は「販路はいくらでもある。生産量はまだまだ足りない」と話す。

 一方で、部会員の7割が60歳以上と高齢化が顕著。「さらに生産性を高め、若手に空飛ぶ新玉ネギ栽培の魅力を伝えたい」と松田部会長。目標としている年間売上高1億円の早期達成を見据える。

JA延岡
【JA延岡メモ】
設立年月日 1990年4月1日
本店所在地 延岡市川原崎町281の1
管轄エリア 延岡市
正組合員数 5365人
准組合員数 2万5751人
農畜産物販売額 約31億円
主な品目 空飛ぶ新玉ネギ、シキミ、タケノコ
※データは2011年度

白坂幸則組合長
白坂幸則組合長
プロフィル

 プロフィル 理事、副組合長を経て2005年4月から現職。3期目。母牛12頭、子牛8頭を肥育。毎朝、牛の世話をして出勤する。延岡市北川町長井。69歳。(しらさか・ゆきのり)

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