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2019年3月19日(火)
西日本新聞経済電子版(qBiz)

今こそ原発経済性の議論を 元原子力委員長代理の鈴木達治郎氏に聞く

2018/03/23
すずき・たつじろう 1951年、大阪府生まれ。東大で博士号取得(原子力工学)。原子力政策や核軍縮・不拡散が専門。現在、長崎大学核兵器廃絶研究センター長、教授。

すずき・たつじろう 1951年、大阪府生まれ。東大で博士号取得(原子力工学)。原子力政策や核軍縮・不拡散が専門。現在、長崎大学核兵器廃絶研究センター長、教授。

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の3号機が23日、再稼働する。一方で、核のごみの処理など課題は解決していない。福島第1原発事故の発生当時、内閣府の原子力委員会委員長代理を務めていた鈴木達治郎・長崎大教授に、原子力政策の在り方について聞いた。

 日本の法律上、原発の運転に伴い増え続ける使用済み核燃料は「核のごみ」ではなく、「資源」と位置づけられ、電力会社は再処理しなければならない。

 一方、電力会社が中心に出資する青森県六ケ所村の再処理工場は稼働の先送りが続く。なぜか。

 そもそも再処理の理由は核燃料の再利用によるエネルギー源の確保だった。しかし、希少と思われていたウラン資源が自然界から豊富に採れることが分かった。経済性に疑問が出てきたにもかかわらず、代替案が真剣に議論された気配がない。電力会社も当面は再処理は必要ないと思っているのだろうが、国も電力会社もやめたいと言えば、工場停止の損害を引き受けなければならないと考えているのだろう。だからやめられないのだ。

 私は、再処理せず地下に埋める直接処分が、より望ましいと考える。処分地が決まるまでは中間貯蔵が必要だ。早く住民の合意が得られる場所を見つけることが最優先課題となる。

 政府はこれまで使用済み核燃料について、透明性を持って十分に議論することを避けてきた。原発を再稼働する今こそ、利害に関係ない第三者機関も交え、論点を整理すべきだ。

 再稼働については、推進か反対かという二極対立より、必要性とコスト、リスクのバランスを議論することが大切だ。そのために電力会社が個々の原発の発電コストを明らかにし、議論の材料にする必要がある。

 英国は温暖化対策として原発は必要だと決めた。ただ、電力会社が自由化市場では採算が取れないとして、政府が一定価格での買い取りを保証する固定価格制度が導入された。政府と電力会社との価格交渉の結果、とても高い値段になった。原発は経済的な電源ではないとよく分かる。

 日本で、今後も透明性を持って議論しないまま、隠れた原発のコストが電気料金や税金に跳ね返り、国民負担となることは避けなければならない。国も電力会社も、原発が安い電源と主張するなら政府の支援なしに自立させるといい。逆に高コストなら、原発の必要性の根拠を示した上で、国民の合意を得るべきだ。

西日本新聞社

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