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2018年12月12日(水)
西日本新聞経済電子版(qBiz)

「ラジオ離れ」の逆風かわし…歴代アナ集結 「FM福岡」50周年の自主企画、ファンと交流

2018/03/13
自主企画イベントで、音楽番組を担当していた当時のエピソードを紹介する久田大作さん(左)と、幻想的な自作の短編物語を朗読する塚本博通さん=昨年12月、福岡市・天神のアクロス福岡円形ホール

自主企画イベントで、音楽番組を担当していた当時のエピソードを紹介する久田大作さん(左)と、幻想的な自作の短編物語を朗読する塚本博通さん=昨年12月、福岡市・天神のアクロス福岡円形ホール

 福岡のFM放送局「エフエム福岡」(略称・FM福岡、福岡市)を退職した歴代アナウンサーたちが、FMラジオの魅力を発信するイベントの自主企画に取り組んでいる。2020年の開局50周年に向けて、自慢の声を生かしたトークや朗読などでファンと交流し、全盛期を振り返る内容。「ラジオ離れ」の逆風をかわし、長年培った技術と“FM愛”で存在感をアピールする。

 「JODU-FM 80・7メガサイクル エフエム福岡 九州で初めて商業放送によるFM電波を発射します」

 昨年末、福岡市・天神のアクロス福岡円形ホールに、若い男性のアナウンスとファンファーレの音が流れた。1970年6月1日、FM福岡開局時の第一声の録音。スクリーンは1枚のモノクロ写真を映す。当時の様子を報じた西日本新聞の夕刊記事の写真だった。

アナ1期生も登場

1970年6月1日、エフエム福岡の社屋内で放送開始のスイッチを入れる森俊雄社長(当時、手前)=当時の西日本新聞夕刊から

1970年6月1日、エフエム福岡の社屋内で放送開始のスイッチを入れる森俊雄社長(当時、手前)=当時の西日本新聞夕刊から

 ステージに、アナ1期生だった塚本博通(ひろみち)さん(70)と久田大作さん(70)が登場し、当時を語った。

 「マスター(主調整室)で森俊雄社長(当時)がスイッチを押すと機器がパッとともり、私が読んだ第一声が。みんな分娩(ぶんべん)室にいるような気分で固唾(かたず)をのんで見守った」(塚本さん)

 開局前後は、多忙を極める日々を過ごした。「先発エリアの東京などで研修したり、職場に布団を持ち込んで番組編成に奮闘したり。今なら『ブラック企業』と呼ばれてもおかしくないほど『モーレツ』な働きぶりだった」(久田さん)

70~80年代入社の15人集結

 イベントは塚本さんを発起人に、70~80年代入社の15人が集まった。現在、塚本さんはナレーション講師、久田さんは朗読ボランティアとして活動。「現役を退いてもFM愛は薄れず、スキル(技術)もある。トークと朗読はFMアナの原点。歯が抜けて話せなくなる前に一肌脱ぎたい」。塚本さんは企画理由を語る。

 ステージでは5分間の番組風に構成されたトークや朗読の出し物が続いた。

 現役時、音楽番組を担当した久田さんがエピソードを紹介。「マイルス・デイビスなど『ジャズの巨人』の福岡公演を夢中で取材した」「大物ゲストとのトークは大興奮。中島みゆきは『時代』など数曲を目の前で歌ってくれ、緊張して死にそうになった」と声を弾ませ語り掛ける。

8人によるリレー朗読も

歴代アナウンサーの現役当時の写真を映し「男性はそれなりに、女性は美魔女になった」と語る竹内出さん(左)ら=昨年12月、福岡市・天神のアクロス福岡円形ホール

歴代アナウンサーの現役当時の写真を映し「男性はそれなりに、女性は美魔女になった」と語る竹内出さん(左)ら=昨年12月、福岡市・天神のアクロス福岡円形ホール

 塚本さんは朗読。「オルゴールには妖精が宿る」。都市伝説のようなうわさ話を基に作った物語を読み上げる。「人が夜に集まるのではなく、夜が人を呼び寄せるのです。漆黒の闇の世界にこそ命を永らえることのできる物の怪(け)たちが、ほら、あなたのそばに」-。

 この後、「ベーちゃん」の愛称で親しまれた72年入社の竹内出(いづる)さん(70)を中心にしたトーク、装い華やかな女性ら計8人によるリレー朗読も。笑いを誘う軽妙な「語り」や、発音が美しく情感のこもった「読み」が会場を魅了した。

 60代の女性ファンは「私たちはラジオから流れる音楽やトークに励まされ、大人になった。すてきな心の交流を若い人たちにも知ってほしい」と話した。 塚本さんは朗読。「オルゴールには妖精が宿る」。都市伝説のようなうわさ話を基に作った物語を読み上げる。「人が夜に集まるのではなく、夜が人を呼び寄せるのです。漆黒の闇の世界にこそ命を永らえることのできる物の怪(け)たちが、ほら、あなたのそばに」-。

 この後、「ベーちゃん」の愛称で親しまれた72年入社の竹内出(いづる)さん(70)を中心にしたトーク、装い華やかな女性ら計8人によるリレー朗読も。笑いを誘う軽妙な「語り」や、発音が美しく情感のこもった「読み」が会場を魅了した。

 60代の女性ファンは「私たちはラジオから流れる音楽やトークに励まされ、大人になった。すてきな心の交流を若い人たちにも知ってほしい」と話した。

FM福岡は全国で4局目の民放

 日本ラジオ博物館(長野県松本市)によると、ラジオは1920年、米国で世界初の中波(AM)放送が始まり、日本では25年にスタート。超短波のFM本放送は69年のNHKが皮切りで、FM福岡は全国で4局目の民放となった。

 音楽や演劇、スポーツなどを放送するラジオは娯楽の主役だったが、60年代に登場したテレビに取って代わられた。90年代以降はインターネットの普及、都市部で相次ぐビル建設による電波障害などでラジオ離れが加速した。しかし2010年、ラジオは「復権」へ反転攻勢に出た。ネットで番組を配信する「radiko(ラジコ)」がサービスを開始。加盟局や利用者は順調に増えている。

 FM福岡の佐々木克(かつみ)社長は「厳しい情勢は続くが、新しい時代にも対応できるメディアとして今後も挑んでいく」と話す。

 塚本さんらは「ラジオは『個』に語り掛け、音楽リクエストの電話やはがき、ファクスを通じてリスナーと絆を強めた。あの時代の活気を取り戻したい」。2年後の開局50周年まで、交流イベントを毎年1回ずつ開く予定で、現役アナにも参加を呼び掛ける。フェイスブックなどを通じて情報発信も行うという。

西日本新聞社

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