みやビズ

2018年7月16日(月)
オシネタ

えびのの焼酎から宮崎の焼酎へ

2017/12/13
 明石酒造(えびの市、明石秀人社長)が、ちょうど1年前に発売した本格芋焼酎「明月プレミアムホワイト」が好調だ。同社の看板商品である「明月」とはコンセプトの異なる飲みやすさが新たなファン層を開拓している。

明石酒造(えびの市)の市場拡大戦略


「明月プレミアムホワイト」を手にする明石秀暢専務

「明月プレミアムホワイト」を手にする明石秀暢専務

 明石酒造(えびの市、明石秀人社長)が、ちょうど1年前に発売した本格芋焼酎「明月プレミアムホワイト」が好調だ。同社の看板商品である「明月」とはコンセプトの異なる飲みやすさが新たなファン層を開拓している。同社の“地盤”であるえびの市は、高齢化や人口減少で焼酎市場が縮小。これに対し、同社は県内最大の市場である宮崎市をメインターゲットに、県内でシェアを伸ばそうとプレミアムホワイトを市場投入したというのが一連の背景と戦略だ。

人口減少で“地盤”が縮小


 決断の過程には、いくつかの環境変化や“気づき”があった。まずは2003年ごろに始まった本格焼酎ブーム。消費者に「いろんな焼酎を飲んでみたい」という欲求が生まれた結果、金城湯池であるはずのえびの市でシェアを落とした。知名度のある霧島酒造(都城市)と大口酒造(鹿児島県)が地理的に近いことも影響した。

 次に、えびの市でも発生した10年の口蹄疫。市民が外出を控え、飲食店は軒並み客足が減った。「頑張りましょう」という思いを込め、市内すべての飲食店に明月を1ケース(5合瓶12本)ずつ贈った。喜んでくれる店がある一方で、反応が薄い店もあり、「皆さんにとっての明月とは何だろうか」と考えさせられた。

 これが市外に目を向ける一つの転機になった。明月と言えば、「強い、重い、『どしん』とくる」というイメージ。その個性ゆえに、市民からは「お土産に使いにくい」という声もあった。「明月とは何だろうか」という自問に対し、明石秀暢専務は「市民や飲食店の皆さんが対外的に自慢できる焼酎を造らないといけないと考えた」と振り返る。

 そこで、口当たり、のどごしが軟らかく、それでいて明月らしさを備えた「明月プレミアム」(アルコール度数25%)を14年に同市限定で発売。「これなら、いろんなところにお土産として持って行ける」と反応は上々だった。

メインターゲットは宮崎市


えびの市に県内売り上げの7、8割が集中する明石酒造だが、同市では人口減少や高齢化で需要の減少が続く

えびの市に県内売り上げの7、8割が集中する明石酒造だが、同市では人口減少や高齢化で需要の減少が続く

 手応えの一方で、市場の縮小を肌で感じていた。同市の人口は、直近の県推計(11月1日現在)で1万8791人。1985(昭和60)年と比べ、3分の1も減っている。

 同社の売り上げは県内、県外が半々。県内での売り上げの7、8割を同市が占めるだけに危機感は強まる一方だった。そこで、エリア的な市場拡大を決断。同市ではアルコール度数25%が一般的だが、他の地域では20%でないと訴求が難しいことから新商品の開発に着手した。

 宮崎市の繁華街「ニシタチ」で好まれている他社商品の傾向を分析し、「飲みやすさ」をコンセプトの中に入れた。芋焼酎の隠し味に米焼酎をブレンドする同社の特色を織り込み、明月プレミアムホワイトが誕生。白い希少サツマイモの「コナホマレ」や、えびの産ヒノヒカリを原料に使うことで差別化を図っている。

 2016年12月に西諸地区でボトル入り(900ミリリットル)を先行発売。17年1月に宮崎市を中心とした県内全域でも販売を開始した。想定を上回る売れ行きを見せたことから、今後は家庭での消費拡大がシェア獲得の鍵を握ると考え、11月に紙パック入り(1800ミリリットル)を投入した。

 17酒造年度(7月~18年6月)の出荷目標は一升瓶換算で2万2500本。これを18酒造年度に5万本、19酒造年度に10万本へと引き上げる考えだ。目標達成に向け、特に宮崎市での営業を強化する方針。売り上げを伸ばすだけでなく、「霧島、木挽、そして明月」というイメージを定着させることが、自社のブランド力を高めると考えるからだ。その切り札であるプレミアムホワイトについて「5年先には主力とすべき商材。社運を懸けている」と明石専務は力を込める。
(小川祐司)

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