みやビズ

2018年7月20日(金)
オシネタ

チョウザメ魚肉を有効活用

2017/10/11
20171010-1admin-image-1507622995.jpgキャビアフィッシュジャーキー(日南市・日南チョウザメ養殖場) 国内唯一の本格熟成キャビア「宮崎キャビア1983」。そのキャビアの親魚であるチョウザメを養殖する日南チョウザメ養殖場(日南市、濱中章輔社長)は、採卵後の雌や雄の魚肉を活用した薫製商品「キャビアフィッシュジャーキー」の製造、販売に力を入れる。魚肉を商品化し、キャビア以外の収益の柱をつくることで、経営を安定化させる狙いがある。

キャビアフィッシュジャーキー(日南市・日南チョウザメ養殖場)


日南チョウザメ養殖場で飼育されているチョウザメ。体長は1メートルを優に超す

日南チョウザメ養殖場で飼育されているチョウザメ。体長は1メートルを優に超す

 

経営安定へ収益化


 国内唯一の本格熟成キャビア「宮崎キャビア1983」。そのキャビアの親魚であるチョウザメを養殖する日南チョウザメ養殖場(日南市、濱中章輔社長)は、採卵後の雌や雄の魚肉を活用した薫製商品「キャビアフィッシュジャーキー」の製造、販売に力を入れる。魚肉を商品化し、キャビア以外の収益の柱をつくることで、経営を安定化させる狙いがある。

保存性良い薫製に着目


 チョウザメは海外で「エンペラーフィッシュ」「ロイヤルフィッシュ」と呼ばれ、魚肉も高級食材として人気が高い。臭みのない白身で、淡泊かつ上品な味わいが特徴。同社は、フライ、ソーセージなどさまざまな加工品を検討した結果、常温で保存できる薫製は在庫リスクが低く、幅広い販路の確保が可能になるなどメリットが多いと判断した。

 もともと建設会社を経営していた濱中社長。食品加工に関するノウハウはなく、すべてゼロからのスタートだった。切り身の水分の飛ばし方、理想のたれの味など試行錯誤を重ねながら研究を進め、完成までに約3年を費やした。

 製造は同社敷地内に設けた加工場で行う。三枚に下ろした身をスライサーで約15センチの薄い短冊状にする。乾燥させた後、地元の甘いしょうゆをベースにニンニクなどを加えた特製たれに漬け込む。再び乾燥させ、サクラのチップでスモークすると、かむほどに味が出る、あめ色のジャーキーが完成する。

 2016年2月に「皇帝くんジャーキー」として売り出したが、味の評価の高さに反して売れ行きは低調だった。そこで、バイヤーなどからの助言を受け、ネーミングと包装を今年3月に一新。チョウザメでなく造語の「キャビアフィッシュ」を採用、包装にはさわやかな青色の袋にポップに描かれたチョウザメをあしらった。

 新パッケージの商品を県内の百貨店や宮崎空港ビルなどで販売したところ、1袋(27グラム)500円で月300~400袋を売り上げる人気商品の一つに成長した。手軽に買える土産品として、特に空港での観光客の反応が良いという。

魚肉600キロが現金に


キャビアフィッシュジャーキー

キャビアフィッシュジャーキー

 濱中社長は08年からチョウザメの養殖を始め、16年に法人化。現在、約5000匹を養殖しており、県内では大規模養殖会社の一つとなっている。それだけに抱える課題も大きい。チョウザメはキャビアを採卵できるまでの時間が長く餌代などのコストがかさむ。

 一般的に雌雄判別には3年かかり、これまで雄は判別された時点で、一部は魚肉として出荷されていたが、残りはイベントの振る舞いに利用するなど、魚肉の採算性は低い状態にあった。これに加えて、雌はキャビアを抱卵するまで最低でも6年以上。病気や死滅というリスクも同時に抱えることになる。同社では、年間600キロ以上の魚肉が生じており、収益を支えるためにも、魚肉の活用は、重要な経営課題となっていた。

 同社はジャーキーのほかにすり身を麺にした「皇帝魚うどん」も商品化している。ジャーキーの生産工程のほとんどが手作業。濱中社長の親族4人で実務をこなしており、加工は養殖場の仕事の合間を縫って行うことから、現状の生産量が手いっぱいだという。

 濱中社長は「食品加工はチョウザメを現金化できる貴重な手段。収益を上げる道筋を示せれば、養殖業界の底上げにもつながる。今後も積極的に活用法を提案していきたい」と業界のモデルケースとなることを期す。キャビアフィッシュジャーキーの問い合わせは同社電話0987(29)1800。
            
(佐藤友彦)

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