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2018年6月22日(金)
オシネタ

水素社会支える画期的な技術

2017/09/13
 福岡市のTOKiエンジニアリング(小柳悟社長)は、液体水素の貯蔵や輸送に関わる機器(配管、圧力計、ポンプなど)向けのメタルパッキン「ハイドロブロッカー」を開発・販売している。

液体水素用メタルパッキン(福岡市・TOKiエンジニアリング)


ベリリュウム銅を使用した殺菌する配管継手システム

ベリリュウム銅を使用した殺菌する配管継手システム

 福岡市のTOKiエンジニアリング(小柳悟社長)は、液体水素の貯蔵や輸送に関わる機器(配管、圧力計、ポンプなど)向けのメタルパッキン「ハイドロブロッカー」を開発・販売している。100メガパスカルという高圧で液体水素を通しても漏れることがなく、繰り返し使えるのが特長。水素で走る燃料電池自動車や水素ステーションでの活用が期待されている。

金属の持つ弾性を利用


 ハイドロブロッカーはステンレス(SUS316L)製。ゴム製の漏れ止め部品(シール)は液体水素を高圧で通すと気泡によって破損してしまうため、繰り返し使える金属製パッキンを産業技術総合研究所九州センター(佐賀県鳥栖市)と連携して開発した。

 一般的なシールは、配管内部の流体の圧力に負けない力で締め付ける必要がある。ハイドロブロッカーは流体の圧力が高くなるほど、その内部に設けた弾性のある凸状の突起物が作用し、配管接続面に強く圧着する仕組みとなっている。

 マイナス253度の超低温でもシール性能を維持。耐震性にも優れることも産総研との共同研究で確認している。配管を接続する際に強い力で締め付ける必要がないため、作業負担の軽減につながる。小型化にも対応できるため、今後は宇宙産業分野での活用も期待されているという。

 水素はこれからの社会を支える新しいエネルギーとして注目されている。その普及の成否は安定的な供給体制の構築にかかっていて、全国で水素ステーションの建設が進んでいる。小柳社長は「ハイドロブロッカーを水素ステーションでも使うことで、メンテナンスや部品交換にかかるコスト低減、作業負担の軽減につながる」と自信を見せる。

食品分野のメタルパッキンも


TOKiエンジニアリングが開発したさまざまな継手システムと小柳社長

TOKiエンジニアリングが開発したさまざまな継手システムと小柳社長

 TOKiエンジニアリングは1976(昭和51)年の創業。食品加工業者向けに産業用ポンプを販売していた。その後、ポンプと配管の接続部分のゴム製パッキンが破損して起こる異物混入のリスクを考え、耐久性に優れたステンレス製パッキンの開発に乗り出した。

 試行錯誤の末、衛生的で振動に強いステンレス製パッキンを開発。従来のゴム製パッキンと同じサイズで品ぞろえし、配管接続部のパッキンを必要としないノンパッキン・フェルール(継ぎ手)も世に出した。“殺菌する配管ジョイントシステム”として、ベリリュウム銅を使ったメタルパッキンも開発。現在は同システムの安全性テストを共同で行ってくれる酪農業者を探しているという。

 誰も挑戦しなかったメタルパッキンの開発に取り組み、食品分野だけでなく水素社会への活用も期待できる技術を生み出した。小柳社長は「究極の安心・安全を実現しようと研究開発を続けてきた。ごみの出ないメタルパッキンでイノベーションを起こし、社会に貢献していきたい」と話している。

 問い合わせは同社電話092(452)8678。
(福岡支社・鬼束功一)

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