みやビズ

2019年10月17日(木)
オンリーワン@WEB

舞花(宮崎市清武町)

2011/07/20

「開かずピンちゃん」留め具の新定番に



『安全ピンに代わる留め具の新定番に-』
 小学生の洋服の胸元、ちょうど名札を付ける辺りに複数の穴が開いているのを見かけたことはないだろうか。または、自身の小学生時代、お気に入りの服に名札の安全ピンで穴を開けることをためらった経験はないだろうか。そんな子ども共通の悩みに応えようと開発された「開かずピンちゃん」。その名の通り、服に穴を開けずに名札を装着できる留め具で、舞花(宮崎市清武町、小田島潔社長)が開発し、5年前から販売を開始。現在は全国の大手スーパーや文具店などに取り扱いが拡大し、月間平均4~5万個を出荷する人気のアイデア商品に成長した。

流通の正攻法突き崩す

「開かずピンちゃん」(右)と改良版の「まーるい開かずピンちゃん」(左)。名札の装着部分は回転式になっており防犯にも配慮している

「開かずピンちゃん」(右)と改良版の「まーるい開かずピンちゃん」(左)。名札の装着部分は回転式になっており防犯にも配慮している


 商品は、直径約5センチのプラスチック製の本体と留め具、さらに内部に取り付けられた金属製のバネからなる。本体と留め具を服の表裏から挟み込むことで、穴を開けずに固定することができる仕組みだ。

 商品の原点となるアイデアの考案とユニークな商品名の命名は、小田島社長の知人男性によるもの。現在の会社を設立する以前の2004年ごろ、ベトナムの小物などを扱う雑貨店を経営していた小田島社長の元に、知人男性が商品化について相談を持ち掛けてきたことがスタートだった。雑貨店を経営する以前に、特許関係の仕事に10年ほど従事していた経験から「アイデアを聞いて直感的にものになると感じた」と小田島社長。製品化と販売を担当することになり、市場調査や工業デザイナーによるデザインの洗い出しなどを経て06年8月の会社設立と同時に販売を始めた。「事前の市場調査では、母親らからの評判も良く需要の高さを確信していた。しかし、そこからが大変だった」(小田島社長)。

目指すは世界のスタンダード

「開かずピンちゃん」「まーるい開かずピンちゃん」の2商品を手にする小田島社長。商品の組立と包装は県内の企業や事業所に委託している

「開かずピンちゃん」「まーるい開かずピンちゃん」の2商品を手にする小田島社長。商品の組立と包装は県内の企業や事業所に委託している

 通常、商品が消費者の元に届くまでには製造元から問屋、販売店と一連の流れを経るのが一般的だ。同社もこの方法から販売をスタートした。が、すぐに壁にぶち当たる。開かずピンちゃんは、それまでほとんど市場になかったジャンルの商品。いくら丁寧に商品説明をしても、問屋のバイヤーは見向きもせず流通に乗せることさえできなかったのだ。「バイヤーのほとんどが男性で、主婦のような、日常生活における細やかな視点を持ち合わせていないかったことがさらに壁を高くしていた」と小田島社長は振り返る。次第に問屋への働き掛けよりも、まずは末端の消費者を動かすことの必要性を感じるようになり、販売開始2年目から東京や大阪など大都市部の文具店を1軒1軒飛び込みで回り、無料で設置を依頼する「どぶ板営業」を始めた。

 「設置を許してくれたのは10に1件。それまでろくな営業経験もない自分にとって辛い経験だった」と小田島社長は振り返るが、開始から半年ほどたつと次第に変化が見られるようになる。販売店から問屋への問い合わせが相次ぎ、問屋が製造元である同社に製造を発注してきたのだ。「消費者から販売店へ、そこから問屋を経て製造元へ」という正攻法を逆から突き崩した形だった。

 この手法で、販売開始から3年目には九州を中心に月間2万個を出荷するまでに販売を拡大。昨年からは、全国チェーンのスーパーや手芸店で取り扱いが始まっている。「全国の市場は九州の10倍とも言われる。現在の九州を中心にした月平均4~5万個から、20~30万個にまで増やせる」と小田島社長は市場の拡大を見据える。また、昨年6月には改良版の新商品「まーるい開かずピンちゃん」を販売開始。「分厚い布が挟めない」「装着すると服にしわが寄る」といった初代の商品が抱えていた問題点を解消し、さらなる市場の開拓を進めている。

 「『マジックテープ』や『カッター』など、特定の商品名だと意識されないほど一般に普及している商品がある。宮崎は食品では全国に名の知れた商品があるが、商品として世界のスタンダードになったものはないのでは。目指すはそこ。安全ピンに代わる地位を確立していく」と小田島社長は展望を語っている。開かずピンちゃん250円、まーるい開かずピンちゃん315円。TEL0985(85)3252。

【メモ】
 岩手県出身で航空自衛隊員だった小田島社長が、新富町の新田原基地に勤務したことをきっかけに本県への移住を決意。自衛隊退職後、特許事務所勤務、雑貨店の創業を経て2006年8月に株式会社「舞花」を設立した。「開かずピンちゃん」のほか、ベトナムで製造した自社ブランドの低価格水着を扱っている。TEL0985(85)3252。

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