みやビズ

2018年8月20日(月)
オンリーワン@WEB

ミスト噴霧装置 ウィズダム(宮崎市)

2015/08/19
左から「フユー」、開発中の携帯型、新たな粒子径のミストを発生させるシリンダー2本。フユーの大きさは幅14センチ、高さ15センチ、奥行き14センチ。新製品は一回り大きくなるという

世界最小の粒子径


 粒子の大きさが世界最小のミスト噴霧装置を5年前に開発したウィズダム(宮崎市)。昨年4月に発売したアロマオイル、消臭液の業務用ディフューザー「フユー」(税抜き5万円)は、製造した1500台が半年間で完売した。

シリンダーに独自技術


 ミストの粒子径は0.1〜0.5ミクロンで、1時間に最大50兆個を発生させる。5〜100ミクロンという従来型の業務用ディフューザーではミストが湯気のように見えるが、「フユー」が発生させるミストはあまりに微細で、目には見えない。粒子が小さくて軽いため、空気中にとどまる時間が長い上、遠くまで広がるという。アロマオイルであれば、150平方メートルの室内にまで対応できる。アロマオイルや消臭液の消費量を抑制する効果も大きい。

左から「フユー」、開発中の携帯型、新たな粒子径のミストを発生させるシリンダー2本。フユーの大きさは幅14センチ、高さ15センチ、奥行き14センチ。新製品は一回り大きくなるという

左から「フユー」、開発中の携帯型、新たな粒子径のミストを発生させるシリンダー2本。フユーの大きさは幅14センチ、高さ15センチ、奥行き14センチ。新製品は一回り大きくなるという

 同社がこれまでに開発した3製品は、国内の多数の有名ホテルや全国展開するエステサロン、病院などで使われている。

 同社は本来、電子回路の設計を手掛ける企業。川﨑清人社長(56)が11年前、友人のホテル経営者から「ホテルのリニューアルに合わせ、ロビー中にアロマが広がる装置を作ってほしい」と頼まれたのが、製品開発の始まり。6年ほど前からは、宮崎大工学部の淡野公一教授の研究室と共同研究している。

 ここまで粒子を小さく、そして安定したサイズで噴霧できる鍵はシリンダーにある。シリンダー内部ではノズルから上部に向けて噴出されたミストがキャップ内側の分離板に当たり、大きな粒子は重みで下に落ち、小さな粒子だけが内部を浮遊する。その小さな粒子は分離板とキャップとの隙間を通り、キャップ上部の噴出口から噴霧される仕組み。09年に特許を出願している。

農業、医療への活用も視野


 宮崎大との共同開発は継続しており、現在は新製品を開発中。1時間当たり、「フユー」の10倍に当たる最大500兆個の粒子を噴霧できる。用途に応じて付け替えられるよう、粒子径が(1)0.1〜0.5ミクロン(2)0.5〜5ミクロン(3)5〜10ミクロン-の3種類のシリンダーを付ける予定だ。

シリンダーの構造について説明する川﨑社長

シリンダーの構造について説明する川﨑社長

 これらの改良により、幅広い用途が見込まれる。例えば、農業用ハウス内で液肥や農薬を噴霧すれば、少ない量で葉の裏側や小さな芽にもしっかりと付着させられる。

 ピーマンを栽培しているハウス内で行った宮崎大との共同試験では、害虫を寄せ付けない忌避剤を噴霧し、大きな成果を確認した。川﨑社長は「農薬については人体に影響がないというエビデンス(証拠)を取りながらやっていく。薬品メーカーとの共同研究も視野に入れたい」と話す。

 このほか、口蹄疫などの家畜伝染病を予防するため、自然由来の消毒薬を農場の更衣室で噴霧したり、開発中の携帯型噴霧器で畜産関係の車両内を消毒したりすることも考えられるという。

 農薬と同様に安全性の確認が前提となるが、液体の吸入薬を使うネブライザー(吸入器)への利用など医療分野での活用も想定している。

 新製品は同社が設計し、複数の県内企業がパーツを製造。3〜5カ月後の発売を予定する。企画段階から携わっている「のなか」(高鍋町、山中広美社長)のほか、県外の代理店を通じて販売する。


 ウィズダム シャープと沖マイクロデザインの技術者だった川﨑清人社長が2005年に設立。高密度集積回路(LSI)をはじめ、電子回路全般の設計を手掛ける。工場用製作機械の修理も担う。宮崎市新別府町。TEL0985(25)1031。


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