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2018年12月12日(水)
オンリーワン@WEB

ドローン空撮事業部 旭建設(日向市)

2015/07/22
旭建設が空撮事業に使用しているドローン。約150メートル上空からの空撮が可能となっている=日向市・旭建設本社

先進技術に挑戦


 建設現場、太陽光パネルの点検、災害被害の確認。小型無人機(ドローン)活用の場は次第に広がりを見せている。県内企業では先駆けて4月に空撮事業部を設置し、ドローン空撮の事業化を始めた。技術の急速な進歩と法整備の端境期にあって、ドローンを現場に生かすためのノウハウや今後の事業展開に注目が集まっている。


訓練重ねリスク検証


 昨年10月に先端技術を研究する社内ベンチャー「ガレージひゅうが」を立ち上げ、ドローン1台を購入。若手社員を中心としたチーム9人が商用化に取り組んできた。黒木繁人社長は「土木、建設、物流で2、3年後には実用化されるだろう。それまでにノウハウを蓄積するという狙いもあり、早めに商用化を目指した」と説明する。

旭建設が空撮事業に使用しているドローン。約150メートル上空からの空撮が可能となっている=日向市・旭建設本社

旭建設が空撮事業に使用しているドローン。約150メートル上空からの空撮が可能となっている=日向市・旭建設本社

 先端技術に挑戦する上で力を入れたのが安全管理だ。ドローンの産業振興を目指す日本UAS産業振興協議会(東京)と県マルチコプター協会(宮崎市)に加入し、定期的に開かれる講習に社員を派遣。操縦技術のほか、ドローン飛行に関連する航空法や無線法を習得させた。この間、社有地で操縦訓練を行い、自社が受注した公共工事の施工現場を空撮することで経験を積んだ。

 「誰でも簡単に操縦できる」とされるドローンだが、同社取締役の木下哲治技術部長は「実際に飛行させることで多くの課題が見つかった」と話す。搭載するリチウムイオンバッテリーは、20分飛行可能とうたっていても、風のある日や気象条件によって実際の飛行時間は10分前後ということもあった。また、バッテリーの劣化により容量が減り、10分も飛行できなくなることも分かった。

県内河川の施工現場。空撮により立体的に工事状況を把握することができる(旭建設提供)

県内河川の施工現場。空撮により立体的に工事状況を把握することができる(旭建設提供)

 ほかにも、山間部では機体の位置を制御するための衛星利用測位システム(GPS)を受信しづらい場所もあり、防衛省関連施設付近では妨害電波により飛行できないケースもあった。木下部長は「操縦には多くの危険がともない、墜落のリスクも思った以上に大きかった。調べれば調べるほど飛行できる場所が少ないことも分かった。しかしこれが収穫だった」と話す。

飛行条件厳しく設定


 こうした経験を踏まえて作成したのが顧客と取り交わす「確認書」だ。確認書では「航行範囲」「飛行天候条件」「データの取り扱い」など9項目を設定し、契約前に依頼者との間で同意を交わすことになっている。

 航行範囲は「上空150メートル、半径250メートル以内かつ目視確認ができる範囲」「集会、イベントなどの人口密集地以外」「空港や航空自衛隊基地に設定される飛行制限以外」。飛行天候条件は降雨がなく、平均風速が3メートル以下と厳しく設定。「事故を起こして先進分野の芽をつまないようリスク管理を徹底した」(同社)という。

空撮写真を合成して作成した3Dモデリング画像。スポットを決めた上で空撮し、画像をソフトで合成することで地形を3Dで再現できる。旭建設では測量などに利用する(旭建設提供)

空撮写真を合成して作成した3Dモデリング画像。スポットを決めた上で空撮し、画像をソフトで合成することで地形を3Dで再現できる。旭建設では測量などに利用する(旭建設提供)

 空撮ではプライバシーの侵害も問題となる可能性が高い。データの取り扱いについても「インターネットなど第3者がデータを取得しうる方法を含め、原データの配布を行わない」とした。木下部長は「総務省は被撮影者の同意がないままインターネット上で公開することへの注意を呼び掛けている。洗濯物など生活を推測させる物はプライバシーの法的保護対象になる」と説明する。

 7月までに電力会社や建設会社、教育施設からの依頼で5件の空撮を行った。また自社が受注した公共工事の提出資料に空撮した画像と映像を添付したところ、「平面より立体の方が分かりやすい」との評価を受けたという。近く最新型の大型機体を導入し、撮影の幅を広げたい考えだ。
 
 黒木社長は「これから機体性能も上がる。法整備も進めば、商用の幅はさらに広がるだろう。技術の進歩は早い。乗り遅れないようにしたい」と期待を込めている。

 旭建設 1959(昭和34)年創業。2004年、異業種参入で日向市東郷町に焼酎製造会社「あくがれ蒸留所」(旧富乃露酒造)を設立。空撮料金は1フライト(約10分)3万円と、操縦オペレーター人件費(2人)2万円。日向市より40キロ以内は交通費無料。問い合わせは同社電話0982(52)1234。ホームページhttp://www.construction.co.jp/

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