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2018年6月24日(日)
オンリーワン@WEB

スギ・ヒノキ伐採 花粉症撲滅センター(小林市)

2015/04/08
「花粉症に苦しむ人を少しでも減らしていきたい」と話す永峯代表

花粉症に悩む人を減らすために


 「目がかゆい」「鼻水が止まらない」-。春の訪れとともに人々を悩ませるスギ・ヒノキ花粉症。全国で3000万人の患者がいると推計されている国民病だ。花粉症撲滅センター(永峯勝久代表)は、スギやヒノキを伐採し、跡地を自然に広葉樹が育つ環境に整える「天然更新」を進める。永峯代表は「スギやヒノキそのものが悪いのではなく、植栽する量や樹種を増やすことで花粉の飛散量は減らせる」と力を込め、活動の知名度アップや切り出した木材の付加価値化などに取り組んでいる。


「春が嫌い」な少女がきっかけに

 花粉症患者に思いを寄せるようになったのは、インターネットが普及し始めた2000年頃。林業について調べていると「花粉症」という言葉に行き着いた。重度の花粉症の娘を持つ母親がつづった文章で、「春が嫌いと言う娘に咲き誇る桜を見せてあげたい」と締めくくっていた。永峯代表は代々林業を営む永峯林業(小林市)の3代目。「我々がずっと取り組んできた仕事で苦しんでいる人がいる」とショックを受けた。しかし、「林業をなりわいにしているからこそできることがあるはずだ」と模索。9年前に花粉症撲滅センターを設立した。

「花粉症に苦しむ人を少しでも減らしていきたい」と話す永峯代表

「花粉症に苦しむ人を少しでも減らしていきたい」と話す永峯代表

 1950年代半ば以降、高度経済成長で建築資材の需要が増大。成長が早くて加工しやすいスギやヒノキなどの針葉樹の価格は高騰した。一方で、エネルギー資源が木炭から石油、ガスにシフトしたことで、薪炭に使われていたクヌギやナラなど広葉樹の需要が減った。このため国は広葉樹からなる天然林を伐採した跡地を、針葉樹中心の人工林へ置き換える「拡大造林」を実施。経済的価値が見込める針葉樹を中心に植林が進められ、2007年には森林面積の約6割にあたる26.5億立方メートルが人工林となっている。ただ、近年の木材価格の低迷で、荒れたまま放置されている山林も少なくない。

目指すのは付加価値化

 花粉症撲滅センターは当初、放置された山林の伐採を無償で請け負っていた。針葉樹が育つ40年間に掛かる費用は1ヘクタールあたり約400万円。金銭的に伐採する余力がなく、山林の処置に苦慮する所有者に伐採を打診しようと4年ほど前から1口100円以上の寄付を募るようになった。しかし、これまでに集まったのは10万円に満たない額で、活動の知名度アップを課題のひとつとして捉えている。

クヌギやクリなど10種類以上の広葉樹が自生する小林市の「花粉症撲滅の森」。向かいに見えるのはスギ林

クヌギやクリなど10種類以上の広葉樹が自生する小林市の「花粉症撲滅の森」。向かいに見えるのはスギ林

 現在は同センターの取り組みに賛同してくれる知人の山林に出向いて作業を実施。「花粉症撲滅の森」という看板を設置している。15年3月現在、花粉症撲滅の森となっているのは、小林市やえびの市の1.2ヘクタールにとどまる。

 伐採する際は同センターと所有者間で、伐採後はスギやヒノキを植えない約束を交わす。また、伐採地には何も植えない昔ながらの再生法である「天然更新」に取り組む。永峯代表が所有する小林市内の山林では、13年かけてニレやクヌギ、ヤマザクラなど10種以上の広葉樹が自生した。

 今後目指すのは、伐採した針葉樹の付加価値化だ。「花粉症撲滅の森から切り出した丸太です」などと書かれたステッカーを貼って出荷。それらを材料にした机や椅子などの加工品にも花粉症撲滅のメッセージなどを付けて販売し、利益の一部を荒廃した山林の所有者などに還元するという仕組み。「安く売られているスギやヒノキの価格を引き上げることで林業者にプラスになるだけでなく、商品を買う人にも花粉症撲滅の取り組みを知ってもらえる」と永峯代表。「花粉症は宮崎だけの問題ではないので、県外でも賛同してくれる林業者を見つけて、少しでも花粉症に苦しむ人が減るように全国的な取り組みにしていきたい」と意気込む。


 花粉症撲滅センター 2006年に永峯林業の永峯勝久代表を中心とする小林、えびの市の協力業者4社で設立。1平方メートル当たりの伐採にかかる費用は17円程度。寄付や活動についての問い合わせは電話0984(23)9137。


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