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2019年7月17日(水)
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長期貯蔵酒用の洋樽 有明産業都農工場(都農町)

2015/04/22
長期貯蔵酒用の洋樽 有明産業都農工場(都農町)

蒸留酒の付加価値高める


 樽(たる)の中で歳月を重ねることで、焼酎やウイスキーなど蒸留酒が熟成されていく―。全国の酒造メーカーが自社製品の付加価値を高める手段として注目し、導入しているのが有明産業都農工場(都農町、鶴田博則工場長)で製造される長期貯蔵用の洋樽だ。北は北海道から南は石垣島まで、約500社のより良い酒造りに使われてきた。将来はこれまで積み重ねてきたノウハウを生かし、酒造メーカーを商品販売や酒造りから支えていくことも構想に描く。

色や香りを付ける

 今月中旬、同工場を訪れると、中古樽の再生処理(焼き直し)作業が行われていた。樽から大きな炎が吹き上がる様は壮観だ。

長期貯蔵酒用の洋樽 有明産業都農工場(都農町)
 北米産の木材「アメリカンホワイトオーク」で造られる樽は、内面に焼煙加工が施される。蒸留酒の熟成を促し、色や香りを付けるためで、有明産業営業企画部課長の薮下誠之さんは「その樽内で呼吸することで味も香りもまろやかになる」と説く。焼酎用の樽は450リットルが入るサイズ。酒造メーカーが使用しているうちに熟成、色つきが弱くなることから、これらの機能を回復させるために樽の内面を削り、再び焼煙加工を施す。エコとコスト抑制の観点から再生処理(リメーク)樽を導入する酒造メーカーも増えたという。

 樽の中の火源にオーク材のおがくずを入れ、エアーを送り込むと火柱が高く上がる。しかし、焦げ具合で酒類に与える機能も変わってくるため、繊細さが求められる作業でもある。焼煙加工を終えた樽は、鏡板をはめ込み、たがをきつくはめ直し、水漏れしないかを確認した後に完成となる。

 中古樽には、スペインのヘレス地方でシェリー酒造りに使われた樽や、フランスで有名なコニャックのブランデーに使われた樽などもあり、これら中古樽の特徴を生かして独特の風味に仕上げるために使われる。「焼煙の程度や貯蔵期間、使う樽によって味や風味はまったく違ってくる。樽酒は奥が深いですね」と薮下課長は工場内を見渡した。

 中古樽の輸入・販売は商社も行っているが、焼酎が漏れないように補修し、メンテナンスも継続して行うのは同工場の“売り”となっている。

メーカーの良きパートナー

 酒類小売業界は安売り店の登場で価格競争が激化し、小売店そのものの数を減らし続けている。酒造メーカーにとって影響は大きく、売り上げを伸ばすためには、消費者に注目され、メーカー自らが価格を決めることのできる商品づくりが求められるようになった。その手段として着目したのが、長期貯蔵による付加価値づくりだった。

 一方で、焼酎の長期貯蔵は少なくとも3年は貯蔵する必要があることから、酒造メーカーは計画的な製品づくりが求められた。例えば、100本の樽を一度に導入したとしても、3年に1度しか出荷できないようなら商売にはならない。鶴田工場長は「私たちは樽を売るだけでなく、長期貯蔵に関する相談にも乗っている」と、同工場が酒造メーカーの“良きパートナー”であることを強調する。また、その関係を今後拡大し、商品販売の支援やメーカーがイメージする酒造りのサポートにつなげていきたい考えだ。

 日本食の認知度が国際的に高まる中、焼酎の海外進出にも追い風が吹くことが予測される。樽貯蔵の焼酎は香りがまろやかで、白もの(無色透明)の焼酎と比べて海外の飲酒文化にも受容されやすい。鶴田工場長は「焼酎メーカーがあって私たちがいる。一緒になって焼酎文化を発信していければ」と話していた。

 有明産業都農工場 本社は有明産業(京都市、小田原伸行代表取締役社長)。工場は1983(昭和58)年に稼働。1本から数百本単位で取引し、現在、年間約5000本の樽を出荷している。ワイン樽なども輸入販売し、フランスの老舗ワイン樽メーカー・スガモロ(セガン・モロー)社と日本における総代理店契約を結ぶ。


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