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2019年12月9日(月)
マッチング

外科手術で患部見やすく

2017/08/02
 門川町の製造業「安井」は、プラスチック成形技術を応用し、主に外科系手術で周辺組織を引っぱって患部(術野)を見やすくする鈎(こう)と呼ばれる器具の新製品「コウプライト」を開発した。先端は透明なプラスチックで視認性が高く、内蔵のコードレス発光ダイオード(LED)照明が患部を明るく照らす。市場調査から開発、製品化まで約10年を要した同社オリジナルの医療機器第1号で、今秋にも海外市場への販売を本格化させる。

コウプライト/安井(門川町)


世界見据えたオリジナル医療機器


透明プラスチックの先端部がLEDで光る「コウプライト」

透明プラスチックの先端部がLEDで光る「コウプライト」

 門川町の製造業「安井」は、プラスチック成形技術を応用し、主に外科系手術で周辺組織を引っぱって患部(術野)を見やすくする鈎(こう)と呼ばれる器具の新製品「コウプライト」を開発した。先端は透明なプラスチックで視認性が高く、内蔵のコードレス発光ダイオード(LED)照明が患部を明るく照らす。市場調査から開発、製品化まで約10年を要した同社オリジナルの医療機器第1号で、今秋にも海外市場への販売を本格化させる。

軽量で経済的


 コウプライトは軽量のプラスチックとアルミニウム製。先端部分は五つの形があり、状況に合わせて簡単につけ替えられる。強度と優れた耐久性を実現。プラスチック製なので電気メスなどの通電によるけがを防げる。エックス線で透視しながら手術する場合でも写り込まない。洗浄や滅菌処理を施せば繰り返し使えて経済的だ。

 さまざまな種類や形がある鈎は、形成外科や脳外科などの現場で幅広く使われている。外科系手術の必需品だが、素材は金属製のみ。そのため重くて鈎の影が術野を遮るといった問題点があった。

先端部分は5種類の形状があり、手術の状況に応じて簡単につけ替えられる

先端部分は5種類の形状があり、手術の状況に応じて簡単につけ替えられる

 安井は昨年11月にドイツであった世界最大級の医療機器展示会でコウプライトを発表。欧米やアジアなど50以上の医療機器販売会社から引き合いがあった。松田哲社長は「海外には競合品がほとんどない。早く市場投入できれば売上拡大が見込める」と手応えを感じている。今年9月にはタイである国際医療機器見本市に出品する予定だ。

特区の追い風


 同社は1930(昭和5)年創業で、印刷や発泡スチロール製造など5事業を手掛ける。77年からは大手化学メーカーの人工透析用ハウジング(プラスチック製容器)を製造。クリーンルームなど医療機器を製造する設備や技術があることから、医療機器産業への本格参入を決めた。

 医療機器メーカーからの受託製造を先行させながら、オリジナル製品の開発を模索。2011年の東九州メディカルバレー構想特区指定の追い風などを受け、12年には医療機器製造業許可を取得した。

 13年に大阪であった医療機器フォーラムで、慶応大医学部の清水雄介氏(現琉球大医学部付属病院形成外科特命教授診療科長)が発表した医療用鈎の開発ニーズに注目。本人と面談して自社の技術や実績をアピールし、14年から共同研究を始めた。

「コウプライトをきっかけに、世界に通用する新製品をどんどん開発していきたい」と語る安井の松田哲社長

「コウプライトをきっかけに、世界に通用する新製品をどんどん開発していきたい」と語る安井の松田哲社長

 決め手となったのは、鈎が(1)手術現場で広く使われている(2)開発の技術的ハードルが低く、時間と費用を抑えられる(3)設計思想や価格を自社裁量できる-点だ。開発担当者は「手術器具は普段使いするものではないので、清水先生の頭の中にあるイメージを正確に引き出せるよう試作と確認を繰り返した」と語る。

 同社は今年4月にメディカル部門を新設。9月には専用工場が稼働予定だ。松田社長は「コウプライトをきっかけに、世界に通用する新たな製品をどんどん開発していきたい」と話している。 
(久保野剛)

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