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2018年4月26日(木)
マッチング

農業変革へ6次化推進

2017/06/07
20170606-1admin-image-1496746889-%281%29.jpg 農産物の生産や加工、販売を手掛ける出萌(福岡県糸島市、岩橋孝行社長)は農業のイノベーションを目標に掲げ、6次化の取り組みを推進している。加工品の販路拡大に伴い課題となっているのが、原料となる農産物の調達。安定的で継続的な仕入れを実現するため、九州の農家と新しい連携の形を模索している。

出萌(福岡県糸島市)


農家と新たな連携を模索


出萌が製造した野菜チップス。素材のおいしさをそのままに、付加価値を高めている(出萌提供)

出萌が製造した野菜チップス。素材のおいしさをそのままに、付加価値を高めている(出萌提供)

 農産物の生産や加工、販売を手掛ける出萌(福岡県糸島市、岩橋孝行社長)は農業のイノベーションを目標に掲げ、6次化の取り組みを推進している。加工品の販路拡大に伴い課題となっているのが、原料となる農産物の調達。安定的で継続的な仕入れを実現するため、九州の農家と新しい連携の形を模索している。

安定的な農家の収入に


 出萌は2004年に設立。ピーナツもやし、大豆もやしなどの生産を中心に、シイタケの生産や加工品製造、カット野菜や野菜チップスの加工など順調に事業を拡大している。5年ほど前から特に6次化へ力を入れ始めた。

 工場は福岡、佐賀、千葉、和歌山の4カ所にあり、悪天候などを理由とした主要産地の不作に備えて全国に仕入れルートを確立する。出口(売り先)のボリュームが増えるほどに入り口(仕入れ先)の安定確保も重要となってくるため、2年ほど前から熊本の農家と新しい取引のモデルを模索してきた。

 ニンジン、ジャガイモ、オクラ、ピーマン、タマネギなど野菜の種類は限定しない。農家あたりの総収量の1割からでも取引し、小規模農家や農業生産法人を自社トラックで回って集荷する。A、B品など等級にかかわらず、買い取り価格を農家と話し合って決め、年間を通じて買い取る。農家にとっては安定的な収入が見込めるため、新たな設備投資や金融機関からの融資に有利に働くことが期待される。

 企業と農家の相対取引の場合、大規模農家や農業生産法人との一括取引のケースが多く、豊作や不作によって互いにリスクも背負う。このモデルケースでは小規模農家の、しかもB品もビジネスへつなげられる点が特徴的と言える。集荷は月3回程度を想定。1回につき、熊本や宮崎、長崎などを回り、計10トンほどを集荷したい考えだ。

リスクヘッジ


カット野菜や野菜チップスを製造する福岡工場の外観(出萌提供)

カット野菜や野菜チップスを製造する福岡工場の外観(出萌提供)

 日本の農業は専業化と大型化が“両輪”となり発展してきたが、就農者の高齢化と減少が避けられない今後、6次化で農家の収益を向上させ、経営を安定化させることは喫緊の課題だ。ただ、農家単体で取り組むことは時間的、コスト的にも思い切ったことはできず、企業との連携によって道が開ける可能性はある。岩橋社長は「これまでのようにJAに出荷する分、農家が独自に販路を開拓する分に加え、企業と連携することで農家自体のリスクヘッジにもなるのではないか」と話す。

 連携できる農家や農業生産法人の情報を得るため、各県の金融機関などとも連携し、本県では宮崎太陽銀行や県福岡事務所がバックアップする。同行本業支援部の和田英孝部長代理は「出萌にとって『宮崎が第2の拠点』となるような取引先を探したい」と意気込む。

 農産物のブランド化に全国の多くの地域が取り組む時代になり、差別化が図れないものは埋もれてしまうのが現状。本県の農業生産者にとっても、県内での枠組みは大事にしながらあらゆる可能性を模索することが求められている。岩橋社長は「農業も挑戦、勉強が必要な時代。連携してビジネスチャンスへつなげていきたい」と話している。
             
 (鬼束功一)

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