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2018年5月24日(木)
マッチング

深紫外線LEDを組み込んだ簡易殺菌装置 日機装(東京)×宮崎大

2017/02/08
ウイルスなどの感染拡大を防止 宮崎市高岡町に航空機部品の新工場を建設する精密機器メーカーの日機装(東京)は、計画発表前日の2016年11月28日、宮崎大と共同研究によるイノベーション創出や人材育成を目的とした包括連携協定を締結した。

ウイルスなどの感染拡大を防止


包括連携協定の調印式で紹介された深紫外線LEDを組み込んだ簡易殺菌装置の試作品

包括連携協定の調印式で紹介された深紫外線LEDを組み込んだ簡易殺菌装置の試作品

 宮崎市高岡町に航空機部品の新工場を建設する精密機器メーカーの日機装(東京)は、計画発表前日の2016年11月28日、宮崎大と共同研究によるイノベーション創出や人材育成を目的とした包括連携協定を締結した。第1弾として「深紫外線発光ダイオード(LED)」を組み込んだ簡易殺菌装置の開発に取り組んでいる。

30年以上の付き合い


 流体の制御技術を得意とする同社は1969(昭和44)年に国産第1号の血液透析装置を開発し、国内シェアは5割を超える。宮崎大医学部の付属病院でも使用しており、透析医療の専門家である藤元昭一教授によると「30年以上の長い付き合い」という。

 血液透析装置、航空機部品、産業用特殊ポンプの三つが事業の柱である同社が、新規事業として注力しているのが深紫外線LEDだ。紫外線は人体に害を及ぼす一面もあるが、殺菌や空気洗浄、樹脂硬化といった特性を持つ。紫外線を出すのに使われてきた水銀ランプよりLEDの方が寿命が圧倒的に長く、小型化も可能。廃棄する場合に有害物質が出ない利点もあり、幅広い分野での活用と今後の需要拡大が見込める。

 ただし、波長が短くて殺菌力の強い紫外線はエネルギー量も大きく、安定的に発生させるのが難しい。そこで約10年前から天野浩博士(名古屋大教授、2014年に青色LEDの開発でノーベル物理学賞受賞)らと研究を進め、250~350ナノメートル(ナノは10億分の1)の波長を出すLEDを「深紫外線LED」として開発、量産化に成功した。

広く社会に貢献


日機装と宮崎大との共同研究包括連携協定の調印式=2016年11月28日、宮崎大

日機装と宮崎大との共同研究包括連携協定の調印式=2016年11月28日、宮崎大

 問題は用途。さまざまな特性はあるが、例えば医療現場で広く使ってもらうために、どんな機器を開発すればいいのか。新分野だけに試行錯誤していたところ、藤元教授からノロウイルスなどの院内感染対策が大きな課題になっていると聞いた。

 「深紫外線LEDで化粧室や汚物処理後の殺菌ができるのではないか」。院内感染対策のトップを務める宮崎大医学部の岡山昭彦教授に相談すると協力を快諾。想定する殺菌装置は老健施設や保育施設などでも使え、子どもによる消毒液の誤飲といった事故防止にもつながる。社会貢献度の高さも共同研究を後押しした。

 具体的には1、2年をかけて日機装が試作した機器の効果や安全性の検証などを宮崎大が医学的見地から行う。さらに臨床現場での実証実験を行い、3年以内の製品化を目指す。藤元教授は「一般的な『殺菌』ではなく、ノロウイルスなど具体的なターゲットに対して何秒間照射すれば根治する、といった医学的根拠を持った機器にしたい」と話す。

 連携協定の調印式で、日機装は試作品のモジュールを紹介。共同研究が順調に進んでいることを印象付けた。池ノ上克学長と固い握手を交わした甲斐敏彦社長は「深紫外線LEDは感染症対策以外にも、農業、水産などいろんな用途が考えられる。協定によって生まれる技術、製品が宮崎発で世界に発信されるものになることを大いに期待している」と語った。
(久保野剛)

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