みやビズ

2018年4月23日(月)
マッチング

産地直送サービス「CHOKSEN」 デナーダ(門川町)

2017/01/04

水揚げ当日、鮮魚を東京へ


 漁師や漁港から直接仕入れた鮮度抜群の魚介類を、大都市圏へ安価で届けるデナーダ(門川町)の産地直送サービス「CHOKSEN(ちょくせん)」。水揚げしたその日に東京へ届けており、取引のある飲食店関係者から高い評価を得ている。遠く離れた産地と大消費地をつなぐ同サービスを実現したのがIT(情報技術)の力と、佐々木大樹社長(39)や社員たちの熱い思いだ。

オオニベの神経締めをする濱田真伍さん(左)。この作業で魚の価値はグッと上がる

オオニベの神経締めをする濱田真伍さん(左)。この作業で魚の価値はグッと上がる

漁業関係者も努力


 昨年12月13日午前3時ごろ、門川・庵川漁港は小雨の影響もあり、夜の闇が一層深かった。そんな中、かっぱと胴長を着込んだ地元漁師の濱田真伍さん(28)は、ライトの明かりを頼りに漁船のいけすからオオニベをすくい上げると、手際よく血抜きのための処置をし、「神経締め」を施した。東京・南麻布のイタリアンレストランへ送るためだ。

 神経締めとは、針金のような道具を使って魚の神経を抜く高度な技術で、おいしく食べる時間を長く保つことができる。習得するために濱田さんも経験と努力を重ねた。定置網漁だけのときより睡眠時間は短くなったが、「本当においしい魚を東京の人に知ってもらえるのなら、やりがいはある」と苦労をいとわない。その作業を見守りながら、佐々木社長は「漁師さんの思いと、大消費地のニーズを直接つなぐのがCHOKSENの一つの役目」と説いた。

 CHOKSENサービスでは、飲食店がスマートフォンやタブレット端末でほしい魚介を注文。それを受け、デナーダと直接契約している漁師が神経締めなどを施し、同社が徹底した温度管理のもとで発送する。朝6時に宮崎空港まで運び、航空便で午前11時には東京へ、注文した店には午後1~2時には届く。ある和食の店は「急に魚がほしいとき、翌日には手に入るのが素晴らしい。しかも魚の質も高い」と絶賛する。

 漁港からの仕入れでもデナーダは入札権を取得しており、仲卸業者や市場を介さないことでコストを削減。飲食店側には安く提供し、魚価は向上を目指す。佐々木社長は「市場や仲卸業の役割が重要なことは分かるが、流通ルートが限られていては魚価が市場の都合に左右され、漁師さんの努力が魚価に反映できない。需給をピンポイントで結ぶ新しい流通ルートを活用できれば、漁師さんのモチベーションアップにつながる」と力を込める。

広がるネットワーク


 佐々木社長は延岡市鯛名町出身。漁業の盛んな地域で祖父も漁師だった。東京でIT系企業や人材派遣会社の役員などを15年間務めてきたが、地域と、地域を支える漁業のために何かできないかという思いが強くなってきたという。

 一方で、東京でもITだけの仕事は過渡期に入っており、地方の何かしらと組むことで新しい仕事を創造する努力が求められるようになってきた。佐々木社長は東京のIT企業で成功した社長のグループに「宮崎の漁業を盛り上げたい」と起業の趣旨を説明。賛同者からの出資を受け、昨年2月に株式会社デナーダを設立し、同8月に門川町に本社事務所を構えた。

 現在、東京の飲食店約30店舗と契約。これを今年中に150~200店舗に増やす計画だ。入札に参加している漁協は土々呂、日向市、門川、庵川各漁協のほか、大分県の佐伯漁協も。直接契約する漁師は徐々に増えて約30人。佐々木社長は「今後も各地の漁師さんたちとのネットワークを拡大し、さらに多種多様な鮮魚を仕入れられるようにして、東京だけでなく大阪、名古屋、海外までのニーズに応えていきたい。漁師さん、漁協に営業の機能がないのならその役割を私たちが果たす」と話している。
(鬼束功一)

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