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2020年2月22日(土)
マッチング

丸正水産(延岡市)の直営カキ小屋

2016/05/25
4月にリニューアルオープンした「牡蠣家」。地域の雇用創出の場としても期待が大きい

「浜の危機感」原動力に

4月にリニューアルオープンした「牡蠣家」。地域の雇用創出の場としても期待が大きい

4月にリニューアルオープンした「牡蠣家」。地域の雇用創出の場としても期待が大きい

 誘客の新たな観光ツールとして県北、大分県佐伯市を中心に地取れのイワガキを提供する飲食店が増えている。養殖会社の丸正水産(延岡市北浦町)が4月に本格オープンさせたカキ小屋「牡蠣家(かきや)」は、その中でも地域の水産業を支える新たな一手として注目を集めている。

強み生かし異業種参入

 同社は2012年から日向地区特産の平兵衛酢(へべす)を飼料に混ぜた「へべすブリ」の養殖を始めるなど、地域の特産品や強みを生かした事業に積極的に取り組む。

 水産資源の豊富な北浦町では、天然のイワガキが地元の味として知られる。一方、養殖物のイワガキは蠣殻(かきがら)の表面を洗浄するなど手入れすることで、天然物の2倍の早さで成長し、味も変わらないという。

 こうした養殖物の優位性に着目した同社は、イワガキの養殖を13年に開始。ブリやカンパチの養殖で培ったいけすの管理ノウハウや、潮の流れのデータを生かすことで順調に育った。稚貝の種付けから行い、年間水揚げ量は約3トン。14年から養殖を始めたマガキは約1.6トン。夏はイワガキ、冬はマガキを出荷することで通年出荷が可能となっている。

 また主力のへべすブリの出荷は9、10月から始まり翌年4月上旬まで。イワガキの水揚げは4、5月から9、10月までで、経営力強化にも頼もしい存在だ。

ブランド化で地域貢献

大ぶりの身が特徴のイワガキ(右上)。養殖会社直営なので鮮度は抜群。夏にかけて味わいが深くなる

大ぶりの身が特徴のイワガキ(右上)。養殖会社直営なので鮮度は抜群。夏にかけて味わいが深くなる

 旧北浦町や北浦漁協は「ひむか本サバ」「北浦灘アジ」をブランド化させ、地元養殖会社もへべすブリ養殖に取り組むなど、先進的な取り組みへの評価が高い。これらの背景について堀田洋社長は「過疎化や労働力の流失、消費者の魚離れなど、浜の危機感が原動力になっている」と明かす。

 カキ小屋運営についても、地場産業の振興や雇用創出が大きな目的。堀田社長は「北浦産カキもブランド化によって地域活性化へつなげたい」と話す。その実験的取り組みが13年8月から1年間、延岡市水産物消費拡大推進協議会の運営したカキ小屋だったという。同社が水揚げしたカキを提供することで北浦産カキの市場の反応を探った。運営に必要なカキの水揚げ量を調べることにも役に立った。

 協議会のカキ小屋は県内外で話題となり、来客も多く手応えがあった。そこで同社は協議会から小屋を引き継いで運営。ことし4月には約1500万円を投じて移転、リニューアルオープンさせた。客足は順調で、東九州自動車道の北浦インターチェンジ(IC)から車で約3分という好立地と、同ICが無料区間内であることも後押しとなっている。

 堀田社長は「産地間競争で本県は10年遅れている。満足せずに勉強を続けなければいけない」と慎重だ。イワガキ、マガキ共に水揚げ量の拡大も視野に入れており、今後の展開が注目される。
(巣山貴行)

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