みやビズ

2020年2月17日(月)
マッチング

椎葉そばをブランディング よこい処しいばや(椎葉村)

2016/02/03
店内の製麺スペースでそばを打つ椎葉さん。「ゆくゆくは製粉設備を増設して、香り高いそばを提供したい」と意気込む

世界農業遺産認定を追い風に

店内の製麺スペースでそばを打つ椎葉さん。「ゆくゆくは製粉設備を増設して、香り高いそばを提供したい」と意気込む

店内の製麺スペースでそばを打つ椎葉さん。「ゆくゆくは製粉設備を増設して、香り高いそばを提供したい」と意気込む

 高千穂郷・椎葉山地域が世界農業遺産に認定され、お祝いムードが漂う椎葉村。ここでそばなどを提供している飲食店「よこい処しいばや」(椎葉昌史店主)は、椎葉そばのブランディングに乗り出した。焼き畑によるソバの自社栽培から製粉、加工品製造をワンストップで実施。認定を追い風に、そば文化が定着している関東をはじめとする県外市場の開拓を目指す。事業を軌道に乗せるため、ソバの安定した収量確保や椎葉そばの価値を理解してくれる販路拡大のパートナーとのマッチングを模索している。

焼き畑も自力で

 椎葉さんは、実家の「しいばや」が長らく営んだ薬店を縮小して飲食店を開業した2011年の翌年に帰郷した。中学卒業以来、久々に帰ってきた古里は過疎化が進行。国内で唯一、同村に残っている伝統的農法・焼き畑という文化の担い手が減少している現状も目の当たりにした。そばに関しては、焼き畑で栽培している農家は1軒のみで、後継者もいないという。収量も約5年で半減しており、しいばやで提供するそばに使うそば粉の調達も難しくなっていた。「村の伝統的な食文化を絶やしてはいけない」と昨春、耕作放棄地を利用したソバ栽培に乗り出した。

 椎葉さんは県外の大学在学中に飲食店でアルバイト経験を積み、卒業後も飲食業に従事しており、飲食業の経験は長い。しかし農業は素人。そんな若者の挑戦を後押ししようと、焼き畑農業経験者が栽培方法など教えてくれ、土地も無償で貸してくれた。1期目となる本年度は、村内2カ所計0.3ヘクタールでソバを栽培し、収穫した実は来年度にまくために備蓄。来年度は1ヘクタール増やす予定で、5年以内にしいばやで使用するそば粉すべてをまかなえるようにすることを目標に掲げた。現在は村の加工場で製粉しているが、そばは製粉すると1週間程度で風味が飛んでしまう。「香り高いそばを提供するためにも、店内に製粉設備を整えたい」と意気込む。

 ただ、収量を安定させることは並大抵のことではない。「先輩農家に聞くと黒字化するには最低でも3ヘクタール以上は必要。少なくとも3年はかかる」と椎葉さん。そこで、そば粉を使ったプリンやアイスクリームなどといった加工品の開発にも着手。今夏の商品化を目指す。事業の柱を二つにすることで、収量が安定しない中でも収益を確保できる方策を工夫した。

販路拡大パートナー求む

昨年8月、初めて焼き畑に挑戦。実ったソバは来年度の畑にまくためにストックしておく

昨年8月、初めて焼き畑に挑戦。実ったソバは来年度の畑にまくためにストックしておく

 さまざまな加工品が作られている同村においても、よく耳にするのは販路開拓の難しさ。「良いものを作っても販路を見つけきらずに終わってしまうケースは多い」(椎葉さん)。ただ、県外のスーパーと直接取引にこぎ着けた例も確かにある。売り先を見つけて商圏を広げるためにも「自分の商品の価値をきちんと説明できることが大事。理解してもらうための努力をしていきたい」と意気込む。

 販路を広げていく上で農業遺産の認定は追い風と歓迎するが「知名度は上がってPR力は増したと思うが、認定効果を生かすも殺すも自分たち次第」と冷静な見方も崩さない。「そばのブランディングと合わせて椎葉の魅力も発信していきたい」。支えてくれる村民の応援を背に奮闘している。
(西村公美)

アクセスランキング

ピックアップ