みやビズ

2019年12月16日(月)
マッチング

地産地消が進まない訳

2015/12/02
ことし2月に宮崎市で開かれた「みやざきの食品産業マッチング会2015」(県中小企業団体中央会提供)

情報のミスマッチ

ことし2月に宮崎市で開かれた「みやざきの食品産業マッチング会2015」(県中小企業団体中央会提供)

ことし2月に宮崎市で開かれた「みやざきの食品産業マッチング会2015」(県中小企業団体中央会提供)

 10月に紹介した「鳥の骨付き生ハム商品化」の取材過程で、こんな話を聞いた。

 「本県の食品企業がBtoB(企業間取引)の相手を探す場合、まず意識するのは取引量が多く、高値で買ってくれる東京や大阪の企業。『県内企業は地元の食材に詳しい』との思い込みがあり、最初から取引先に想定していないケースもある。飲食店側も忙しくて、食材の仕入れは問屋任せが多い。情報のミスマッチが起きていて、整理が必要だ」

 県はフードビジネスの振興に注力しているが、飲食店や食品製造の現場には「県産品を使いたくても、どこで手に入るか分からない」という声がある。そこで始まったのが1次加工業者や生産者と、飲食店や食品製造業者を引き合わせる「みやざきの食品産業マッチング会」(県、県中小企業団体中央会主催)だ。

価格が高い

 食品産業マッチング会が始まった背景には、県が2011年に初めて行った食品関連企業実態調査がある。県内企業を中心に300社がアンケートに回答。飲食店や食品製造業者の半数が、冷凍野菜やピューレといった1次加工品を使っていた。しかし、その原産地に本県が占める割合は、1割未満が34パーセントで最多だった。

 理由のトップは「価格が高い」。「品質が一定でない」「産地の情報不足」「産地との交渉が煩雑」と続き、「ロットが合わない」「天候不順のリスクを一方的に負わされる」などの声も。県外で1次加工された本県産日向夏ミカンを使っている菓子店の例もあり、調査した県の担当者は「全国5位の農業産出額なのに、情報不足で地産地消が進んでいないことに衝撃を受けた」。

一網打尽

 県内で唯一BtoBの拡大を目的にしている食品産業マッチング会は、12年から毎年開催。ことしは2月に宮崎市であり県内30社が出展し、県外を含む食品産業や医療福祉施設関連の101社が来場した。

 宮崎観光ホテルの地産地消レストラン、「一木一草」の長濱毅チーフは「卸売業者に頼むのは簡単だが、それでは本当に欲しい素材が手に入らない。農家が素材に注いだ愛情も顧客に伝えようと調理しているから、畑や工場に出掛けて探していた。マッチング会では『一網打尽』で見つかる」と歓迎。参加企業がもっと増えることを期待している。

 出展企業同士で取引が生まれた例もある。冬虫夏草を生産する宮崎ゴールドファーム(宮崎市)は、ゴボウ茶を製造販売する情報図書館(三股町)と組んで「冬虫夏草入りごぼう茶」を5月から販売している。マッチング会場で情報図書館の持つ野菜や果物を粉末加工する技術を知り、アプローチ。ゴールドファームは14年1月創業で、「実績の少ない会社へ『取引しよう』と声を掛けてくれる企業はない。運が良かった」と話す。

営業の人手不足

 マッチング会を担当する県中小企業団体中央会の森祐一さんは、営業担当者の不足が小規模な食品企業の問題点だと指摘する。

 「社長が製造に精いっぱいで営業する時間がない。営業力がないから売り上げも伸びないし、人を雇う体力もつかない。いい商品を造っても販売、営業、サービスといった最終局面で苦戦している」

 福岡県の電機メーカーの営業マンだった森さんは、県民性も一因に感じている。「百貨店の商談会で『向こうが何も言ってこない』『忙しそう』と、バイヤーさんに話しかけようとしない。おとなしすぎる」

 来年2月には5度目のマッチング会が開かれる。出展企業は10社増え、40社になる見込み。森さんは県のフードビジネス振興構想を踏まえ「小規模事業者が、自分の力で商品開発から販路開拓まで行える力を身に付けられるよう支援したい」と話している。
(久保野剛)

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