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2019年9月21日(土)
みやにち首都圏マガジン

元気発信 あんどうファミリークリニック院長 安藤秀彦さん

2013/02/25

住民の安心担う家庭医


結婚式の司会など人前で話すのが得意な安藤さん。講演の依頼も多く、会場を笑いで包みながら健康づくりの知識を分かりやすく伝える=東京都世田谷区の「あんどうファミリークリニック」

結婚式の司会など人前で話すのが得意な安藤さん。講演の依頼も多く、会場を笑いで包みながら健康づくりの知識を分かりやすく伝える=東京都世田谷区の「あんどうファミリークリニック」

 「病気を診ずして、病人を診よ」。郷土の偉人、高木兼寛が掲げた理念はあまりにも有名だ。都城市出身の医師安藤秀彦さん(56)は東京都世田谷区の住宅街で「地域の家庭医」として住民に日々向き合う。(東京支社報道部長・見山輝朗)

 安藤さんは都城泉ケ丘高から1年間の浪人生活を経て、開学して間もない自治医科大(栃木県下野市)に進んだ。「小中高といい先生に恵まれた。田舎のために貢献するのもいい。そんな軽い考えだった」。都道府県が出資した医大の設立趣旨に沿い、卒業後に帰郷。椎葉、西米良村、旧北浦町、諸塚村、旧東郷町の公立病院で働いた。

 母親譲りという明るさも手伝い、地域の集まりに積極的に参加しながら勤務先に溶け込んだ。「ここでは患者さんの生活の背景が見える。医療だけでは幸せにはできない」。患者との向き合い方を肌身で感じる毎日。医師としての立ち位置が培われていった。

 その間に宮崎市出身の啓子さんと結婚。1男1女に恵まれた。地域医療への従事が義務付けられた9年間を終え、宮崎での開業を大学時代の恩師森岡恭彦さんに相談した。東大医学部付属病院長として昭和天皇の執刀医も務めた森岡さんは「まだ若い。勉強してからでも遅くはない。海外も見てはどうか」とアドバイス。安藤さんは東大大学院を新たな舞台に選んだ。

 家族を養うために、昼間はアルバイトをして、夜に研究するハードな生活。4年後にはパリ大学への留学も果たした。東大大学院に8年間籍を置いて医学博士号を取得。救急救命東京研修所教授、群馬県立循環器病センター部長を務め、さらには東大医学部付属病院に戻って大腸肛門病の診療に従事した。

「支えてくれた地域に恩返しをする練習を始めたところ」。世田谷区砧地区の「ご近所フォーラム」実行委員長を務めるなどコミュニティーづくりに熱心な安藤さん

「支えてくれた地域に恩返しをする練習を始めたところ」。世田谷区砧地区の「ご近所フォーラム」実行委員長を務めるなどコミュニティーづくりに熱心な安藤さん

 研究と臨床の経験を積み重ねながら、引っ越してばかりの家族の苦労を思い、独立を決意。土地勘を頼りに世田谷区の砧地区で2001年、内科・消化器科・小児科・肛門科の「あんどうファミリークリニック」を開業した。

 「地域のホームドクター(家庭医)」を掲げ、患者との対話を大切にした。「いま自分は元気である、という幸せ感を持つことで、初めて本物の健康であると考える」。親身になって相談に乗るかかりつけ医の姿勢は浸透していった。

 一方で、安藤さんは都会の人口密集地域でも孤独死がある現状に、「顔の見える関係づくりをしなければ」と痛感。高齢者を地域で支える環境を整えるべく、住民参加型の“砧ご近所フォーラム”の実行委員長を務めて意識の高揚を図るなど活発に動き回る。

 安藤さんが願うのは「さわやかなるもの」が地域にたくさん生まれること。それは、「ありがとう」と感謝する場面に象徴されるように、笑顔にあふれた日常生活が送れることだ。「宮崎の地域医療で教わったことが原点にある。お互いの顔を見ながら話をするのが元気のもと。繰り返しやっていくと、みんなで分かち合える」。まち全体が元気になる医療のトータルケアに今日も力を注ぐ。

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