みやビズ

2019年10月17日(木)
みやにち首都圏マガジン

元気発信 弁護士 岩崎健一さん

2012/05/28

現場体験基に小説出版

 
本県のPRキャラクター「みやざき犬」と岩崎さん。出版した小説も宮崎を舞台にするなどふるさとのPRを欠かさない(渋谷区の飲食店ディベルタで行われたイベント「ノンジョルノみやざき」で)

本県のPRキャラクター「みやざき犬」と岩崎さん。出版した小説も宮崎を舞台にするなどふるさとのPRを欠かさない(渋谷区の飲食店ディベルタで行われたイベント「ノンジョルノみやざき」で

 東京・銀座の一等地に事務所を構える宮崎市出身の弁護士岩崎健一さん(52)。刑事事件の無罪判決や民事事件の新判例を導き出したり、法律小説を出版したりと、型にはまらない活動で注目を集める。(東京支社報道部長・見山輝朗)

 「女子弁護士 葵の事件ファイル」。テレビドラマのようなタイトルだが、東京弁護士会所属の岩崎健一さんが執筆した実用書的な小説だ。

 痴漢犯人に間違われたり、リストラや架空請求に遭ったり、遺産相続でもめたり…。トラブルが発生した場合、法的な知識を持っていることで有効な対処が可能になる。

 岩崎さんは「面白くてためになる」を念頭に、新人の女性弁護士が事件を解決するまでの過程を、スリリングな小説に仕立てた。実際の法的な手続き方法や最新の法律も解説。ストーリーを楽しみながら法律知識が身に付く。

 2008年6月、翌年の裁判員制度施行を視野に双葉社から出版(1470円)。今年3月29日に改訂版が電子書籍化(735円)された。作家顔負けの文章力は、実際にくぐりぬけてきた現場体験を通して培われたともいえる。

最近は、うつ病・認知症コンソーシアムに法律家としての立場から役員に推挙されるなど活動範囲も拡大する岩崎さん(中央区の岩崎法律事務所)

最近は、うつ病・認知症コンソーシアムに法律家としての立場から役員に推挙されるなど活動範囲も拡大する岩崎さん(中央区の岩崎法律事務所)

 岩崎さんは宮崎西高理数科の1期生。医学部進学も考えたが、「生活を法律面からケアする弁護士が性格的に向いている」と慶応大法学部に入った。弁護士になってまだ1カ月の1997年、民事の労働事件を受ける。別会社に引き抜かれた男性が勤め先を辞めた後、業績悪化を理由に内定を取り消されてしまい、スカウトした社を訴えた。

 依頼者を救うための法律や判例がなかったため、独自につくった「岩崎説」を主張。東京地裁はこれを認め、「自らスカウトしておきながら経営悪化を理由に内定を取り消すことは信義則に反する。対応は誠実性に欠け、社会的相当性を欠く」と内定取り消しは無効と判断した。

 新米弁護士が勝ち取った原告全面勝訴の判決は、内定取り消しに関する新たな司法判断となり、全国紙等で報道されたり、各種の法律雑誌に相次いで取り上げられた。

「女子弁護士 葵の事件ファイル」の表紙。電子書籍化もされた

「女子弁護士 葵の事件ファイル」の表紙。電子書籍化もされた

 また、2001年に発生した強制わいせつ事件では、画期的な無罪判決を獲得した。岩崎さんとしては初の刑事裁判だったが、被告人の側から事件を語る「アナザー・ストーリー」(新たな真相)を作成。当初から一貫していた被告人供述の信用性を東京地裁は認め、検察側は控訴も断念。ユニークな刑事弁護手法として注目を集めた。

 このほか、公立病院の診療費等請求事件では、時効を5年とする実務慣習に対し、3年説を主張。地裁で敗訴した後、高裁で逆転勝訴して最高裁で3年説が採用され、時効についての新判例となった。

 岩崎さんは「事件の解決には緊急性が大切。平日も土日も夜10時ごろまで相談を受けられるような法律事務所の運営を構想している」と説く。「固定観念を持たず、柔軟に広い観点で取り組みたい」と意欲を膨らませている。

アクセスランキング

ピックアップ