みやビズ

2020年2月24日(月)
キーパーソン

県東アジア戦略局長 安田宏士さん

2013/06/10

見逃し三振はありえない

 「バットを振らなければヒットは出ない」-。4月に新設された県商工観光労働部の観光物産・東アジア戦略局。経済発展の著しい東アジアの市場に注目し、ビジネスの機会を創出するのが狙いだ。「絶好球が来ているのに、見逃し三振はあり得ない」。56人の職員にハッパを掛け続ける。

みやざき犬と大の仲良しの安田局長

みやざき犬と大の仲良しの安田局長

 かつて県には地元企業の海外進出を支援することにちゅうちょする空気があった。企業が出て行けば、県内の生産力が落ちると思っていたからだ。実際、海外進出をサポートするノウハウもなかった。しかし、状況は変わる。海外展開を求める企業は多くなった。方針が変わった。

 「元気のいいアジアの活力を取り込むことで、宮崎の経済を活性化させる。それが新たな雇用の創出につながる」。東アジアを重視する戦略を打ち出した。観光、物産、貿易を担当する部署に横串を刺し、総力で取り組む。本県が持つ潜在力を十二分に発揮するには、横断的な仕掛けが必要とみていて、そのとりまとめ役を担う。

 アジアの国々にはそれぞれの事情がある。共通でできること、個別に対応しなければならないこと。状況に応じて考える。「宮崎のためになるには何が必要で、宮崎を売り込んでいくには何をすべきなのか、しっかり見極めたい」と言う。企業には東アジアのマーケット情報などを積極的に提供していくつもりだ。

 手始めとして目を付けたのが香港。「貿易戦略上、香港は東アジアにとっても、中国にとっても窓口。ポテンシャルは高い」。今月13日には事務所を開設する。職員3人が常駐し、県産品の販路拡大や情報収集を行う。また、基本的なオフィスの機能を備えたスペースを貸し出すほか、商品のサンプルなどを保管できる倉庫も設ける。

 ただ、香港に事務所を構えるのは周回遅れ。既に各県は開設しており、危機感はある。「鹿児島、熊本との広域的な連携は必要だろうし、一方で競争も避けられない」。後発組として生き残るには海外との関係を築き、いかに深めていくかが問われる。その意味でも人脈づくりの重要性を痛感していて、「相手に合わせる柔軟な対応も大切だ」と話す。

 前職は観光交流推進局長。観光には明るいものの、貿易は門外漢。まさか、東アジア戦略局長を任されるとは思っていなかった。「本県の経済を底上げするためには重要な部署。大変だろうなと思っていた。人ごとだった」。トップとしての役割は? (1)職員が力を発揮できるようしっかりサポートする(2)1社でも多く民間企業を巻き込み一緒にやる-の2点を挙げる。

職員と打ち合わせをする安田局長(中央)

職員と打ち合わせをする安田局長(中央)

 民間企業の行政の支援に対する期待は大きい。個人的な意見と前置きしながら「役人はできない理由を考えるのが得意だけど、やるのは下手。それではいけない。三振がいいとは言わないが、バットを振らないことにはポテンヒットも生まれない」。守りの姿勢ではなく、あくまでも攻めていく-。この考えに賛同し、実践してくれる職員や企業が出てくれればうれしいと思う。

 本県の進むべき一つの方向として示された東アジア戦略。今後、戦略を推進していくため、官民挙げた「オールみやざき」で力を発揮できる仕組みづくりを目指す。最近は国内の経済情勢に敏感になった。「4月から本や新聞の読み方が変わった。以前は観光に関するものが気になっていたが、今は貿易や海外がテーマのものを手にするようになった」と笑う。新聞や本に目を通しながら、(県と)組める企業を探している。

ここが聞きたい

-県内の企業に求めるものは何か。

 自戒を込めて言えば、宮崎の人は少しおとなしいというか、積極性が足りない。少し厚かましく、もっとアピールしてもいい。海外取引についても「うち(の会社)には関係ない」と思うのではなく、チャレンジしていくことが大事だ。情報収集も同じ。アンテナを高くして、貪欲に取り組んでいってほしい。会社を伸ばしていくには、選択肢がたくさんあることに越したことはない。

-アジアにおける宮崎の認知度は。

 正直、う〜むといった感じ。例えば、観光。日本と言えば、東京や京都となる。これは自分たちが韓国の地域をあまり知らないのと同じだろう。何かのきっかけがなければ、イメージを持ってもらえない。台湾や韓国ではシーガイアやダンロップフェニックトーナメントはよく知られている。自然もきれいと言われるが、それ以上の印象はないような気がする。

わたしのオススメ

 休みの日は県内各地を回るようにしている。ドライブだったり、バスを使ったり。時にはJRも利用する。それぞれの市町村の状況が分かる。どこも、さまざまな分野で頑張っている。気に入っているものが二つある。一つは西米良村の作小屋。それにJR吉都線の都城市からえびの市までの車窓の風景。作小屋では地域の高齢者たちが生き生きと頑張っていて素晴らしい。中山間地域を元気にする方法だと思い知らされる。

プロフィル

 やすだ・ひろし 日向市出身。立命館大卒。1981(昭和56)年、県庁入り。総合交通課長補佐、経営金融課長などを歴任。観光・リゾート課誘致宣伝係長時代は、海外からの観光客の誘致に手を尽くした。「ある程度ルートができていた国内とは違い、海外は手探り状態。とにかく宮崎を知ってもらおうと懸命だった」。台湾の人脈は生きており、観光交流推進局長就任時には連絡があった。55(同30)年6月生まれの57歳。

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