みやビズ

2019年11月18日(月)
キーパーソン

宮崎大教育文化学部准教授 根岸裕孝さん

2012/12/20

志ある人たちとのつながりがエネルギーに


中小企業者らに振興策などについて講演する根岸さん。地域活性化や観光振興、マネジメントなど幅広い分野で講演している

中小企業者らに振興策などについて講演する根岸さん。地域活性化や観光振興、マネジメントなど幅広い分野で講演している

 経済政策・地域経済を専門に宮崎大学で教べんを執る傍ら、観光活性化や中小企業振興など本県が抱える幅広い分野の課題に精通。複数の委員会や団体でアドバイザー的な役を務める。びっしりと詰まったスケジュールを眺めながら「課題に向き合う『志のある人たち』とつながることが、自分のエネルギーになっている。そういう人に会っている時間が、宮崎に来て良かったなあ、良い宮崎を作っていきたいなあ、と強く思える時間」と愉快そうに語る。

 栃木県壬生町の出身。「歴史があり、随所に文化の香りがする」(根岸さん)この町で、小・中学時代通してボーイスカウト活動を続け、中学では生徒会役員、高校では茶道部や弁論部の部長などとして活躍。これら活動を通して育んだ「地域への興味や愛着」が、現在の仕事の原点にもなっていると振り返る。

 福島大経済学部を経て、九州大大学院経済学研究科に進学。修士課程経済工学専攻を修了した後、経済産業省の外郭団体である財団法人日本立地センター(東京)に研究員として入所した。産業立地政策や地域産業政策といった国の政策の企画、立案に貢献する重要な責務にやりがいを感じる一方で、現場を知らない中央で地域振興の政策を示していくことに疑問や行き詰まりも感じるようになっていく。「バブルが崩壊した90年代半ば。グローバル化や経済の成熟が進む中で、大都市から地方へ、という供給の論理に基づいた政策に限界が来ていた」という時代背景もあった。

 地域に根付き直接関わる仕事の方が自分には合っている-。そんな思いを募らせた末の2001年、東京での約9年の研究員生活に終止符を打ち、“現場”である宮崎にやって来た。ところが、直後に壁に直面する。「当時専門としていた分野は製造業の立地関係。大分や熊本などに比べ製造業が弱い宮崎で研究課題を失った気持ちだった」。そんな戸惑いの中で出会ったのが、郊外型ショッピングセンターの進出に揺れる宮崎市の中心市街地の問題だった。

 国の規制緩和に伴い、全国の都市で同様の問題が指摘されるようになった頃。今ほど多忙ではなかった当時、軽い気持ちでこの問題に足を踏み入れた。そこで出会った商店主や市民活動家、商工団体の関係者たちの「街を元気にしたい!」という熱い思いに衝撃を受ける。「前職は、朝から晩まで役所の仕事ばかり。官僚の機嫌を伺うような環境にどっぷりつかっていた自分にとってその姿は非常に新鮮に映った」

 彼らの勢いに巻き込まれるように、気が付けば「まちづくり」について考えることが一つのライフワークになっていた。中心市街地でのイベント企画・運営など大学の授業にも積極的に取り入れ、学生たちの足を街に向かわせた。熱い思いを持った人たちとの関わりの中で成長していく学生たちの姿に「フィールド教育の重要性」にも気付かされた。

「志ある人たちとの会話が自分のエネルギーになっている」と語る根岸さん

「志ある人たちとの会話が自分のエネルギーになっている」と語る根岸さん

 赴任から約4年間、この問題に打ち込んだことで「自分がどう生きて、どう社会と関わっていくかを改めて考えることができた」と振り返る。これを起点に、研究の幅を広げ深めていく。「特に印象深い」と語るのは、2007年の出直し知事選に際して開催した立候補予定者公開討論会。知事の逮捕、という衝撃的な事件で県内全体が暗いムードに包まれる中で「県民が県のトップとなる人の生の声を聞き、判断する場が求められている」との思いで自ら実行委員長となり開催にこぎ着けた。「過去に感じたことがないようなやり遂げた感があった。あの時は、終了後の打ち上げでいくらお酒を飲んでも酔えないほど真剣だった」と笑顔で思い返す。

 さらに、2010年に発生した口蹄疫では「政策は数字で示さなければいけない」という信念のもと、終息宣言前にいち早く県内経済への被害状況を試算。非常事態であることを県民に示し、復興への道筋を示した。

 「さまざまな立場に立たせていただいたからこそ、横の壁を越えた宮崎のいろんなものが見えるようになった」と語る一方で「それらを踏まえた上で、そろそろ本来の専門に近い産業政策や中小企業振興の分野で宮崎の発展を後押しする時期に来たのかな」。宮崎に来てから12年目の今、そう感じている。

ここが聞きたい

 -NPO法人の理事や、中小企業団体のアドバイザーなども務めている。感じることは。

 宮崎に来て、NPO法人などの市民活動が個人だけでなく社会も変えていく力を持っているのだということに気付かされた。これまでになかった新しいものが生まれていくことが非常におもしろい。
 中小企業の方々の経営努力には学ぶところが多い。自分の会社だけでなく、社会全体を良くしていきたいという前向きな姿勢に元気をもらうとともに、自分が何のために仕事をしていきたいのかを考えさせられる。

 -学生たちと接するときに気を付けていることは。

 大学生だからこそできることがある、チャレンジすることを恐れるな、と常々言っている。何事にも積極的に取り組むこと、受け身ではいけない。中心市街地の活性化を学生たちの研究テーマの一つとして投げかけたのもその思いがあるから。さまざまな人や事と関わる中で成長し、力がついていく。10年以上続けてきて、おもしろい学生も出てきたなあ、という実感がある。

わたしのオススメ

 糖質制限ダイエットに取り組んでいる。「おやじダイエット部の奇跡~糖質制限で平均22kg減を叩き出した中年男たちの物語」(桐山秀樹著、マガジンハウス)という本を読んだことがきっかけ。現在、103キロある体重を、青島太平洋マラソンでフル完走した10年前の体重85キロまで落とすのが目標だ。(談)

プロフィル

 ねぎし・ひろたか 栃木県壬生町出身。福島大経済学部、九州大大学院経済学研究科修士課程を経て(財)日本立地センターへ入所。2001年、宮崎大教育文化学部講師として着任した。小林市出身の妻と9歳の娘の3人家族。「AKB48の大島優子と同郷」で「歌手の斉藤和義とは、あだ名で呼び合う仲だった幼なじみ。彼の活躍に勇気づけられている」という1966(昭和41)年7月生まれの46歳。

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