みやビズ

2018年11月17日(土)
キーパーソン

ローズペタル代表 竹下末利子さん

2012/12/10

花嫁の喜びを創作意欲に

ネットショップで全国の花嫁にオーダーメードのプリザーブドフラワー・ブーケを届ける竹下さん

ネットショップで全国の花嫁にオーダーメードのプリザーブドフラワー・ブーケを届ける竹下さん

 美しさを長期間保てるように生花を加工したプリザーブドフラワー。ドライフラワーと違って花弁はみずみずしく、自然界にない色も表現できる。これらの良さを生かして作り上げたオーダーメードのウエディングブーケは、関東を中心として全国の新郎新婦の門出に彩りを添えてきた。店舗「ローズペタル」(宮崎市)と、そこに拠点を置くネットショップの利点を最大限に活用して、大消費地と遠く離れた本県の地理的ハンディを克服。細やかな心配りで花嫁の気持ちに寄り添いながら、彼女たちの喜ぶ姿を創作のモチベーションへと代えている。

 シュガーピンク、シャーベットオレンジ、パウダーブルー…、ハッとするような鮮やかな色が付けられたバラのプリザーブドフラワーを、主役である花嫁を引き立たせるブーケにデザインする。ドレスの色に合わせ、手にする人のイメージを漏らさずくみ取るために、メールでのやりとりは数十回に及ぶことも。「仕事の半分は意思疎通」「人生の大舞台に『イメージと違った』では許されない」とこだわり抜く経営姿勢は、依頼主との信頼関係を生みだし、いまではブーケを届けるカップルは年間350組以上にもなった。

 フランス発祥、日本に入ってから十数年というプリザーブドフラワーとの出合いは2005年、両親が経営していた宮崎市内の喫茶店でのことだった。お客さんがプレゼントしてくれた、当時まだ珍しかったそのアレンジを見て「本物みたい。きれい」と思ったという。そこから、実際に作ってみようと思い立ったのは、喫茶店のアイドルタイム(すいている時間帯)に教室でも開けないか、というアイデアからだった。

 技術を身に付けようと教室に通い始めると「面白い」と感じ、自らの教室運営に生かそうと全国的なプリザーブドフラワー協会で指導者としての資格を取得。06年、目標だった教室を喫茶店で開講し、小さなアレンジ品の販売も始めたことが現在の事業の第一歩となった。

「花嫁さんの笑顔のために、イメージ通りのブーケを作ってあげたい」と話す竹下さん

「花嫁さんの笑顔のために、イメージ通りのブーケを作ってあげたい」と話す竹下さん

 ところが、実際に教室を開くとなるとアイドルタイムだけでは対応しきれず、休日まで削ることに。喫茶店、製作、教室での指導と走り続ける日々はいつしか負担となっていった。また、花材コストの高さを背景に、利益を確保する難しさに直面する。

 そこでインターネットの世界に活路を見いだした。ニーズが見込めるウエディングブーケに絞り、まずネットオークションに出品すると、珍しさもあって反応は上々。「東京の店舗で買うと人件費などのコストも反映される分、高価になる」という状況下で、式場相場の約半額に設定した価格も受け入れられた。

 そこを足掛かりに、自らホームページ(HP)を立ち上げ、ネットショップをオープンしたのが07年。口コミが期待できないネットショップで苦労したのは、「プリザーブドフラワー、ブーケ」と検索した際に、上位で紹介してもらうための仕掛けだ。そのために「トータルページ数を増やす」必要性があることを専門書などで学び、ネットオークションの売り上げでブーケのサンプル数を増やし、HPにアップしていった。コツコツと地道に、コストを掛けずにHPの内容を充実させていき、開設から半年後には検索エンジンの1ページ目に「ローズペタル」の名が表示されるようになった。

 元喫茶店を活用した実店舗はあるものの、ネットショップがメーンのため日常的にお客さんと顔を突き合わせることはない。だからこそ、依頼主との信頼関係を一番に考える。「ブーケは皆からすごく好評でした」、「チャペルの雰囲気とぴったりでした」と感謝が記された新郎新婦からの手紙には、花嫁たちの笑顔の写真が添えられることも。きちんと保存すれば3、4年はきれいな状態が保てるプリザーブドフラワーブーケ。“笑顔のお手伝い”ができることに喜びを感じながら、きっと新婚さんの家庭で大切に飾られているだろうブーケのことを思い描いている。


ここが聞きたい

 ―ネットショップが持つ可能性についてどう考える。

 地方でも、自宅でも開設できる点が魅力。子どもがいて活動が制限される女性でも、自分で作っている雑貨の販売などで可能性を秘めるのではないか。実際に店舗を設けようと思ったら、大変な費用や労力、時間がかかる。ネットショップはリスクも少ない。ニーズを引き込む工夫は必要だが、マニアックな品物でも、エリアを宮崎から全国、世界へと広げることができ、商機につなげられる。


 ―ネットの利点を生かし、大消費地や消費者との距離に影響がない営業を展開している。今後の展望は。

 ネットショップを立ち上げて5年ほど頑張ってやってきたが、ふと、宮崎にまったく根がないんだな、と思った。そこでフェイスブックを今年から始め、知り合った人と直接会って、クリスマスリースなどの商品をお届けするということも始めている。通常と逆だが、初めて“お店らしい”ことをやってみて楽しいと思った。フェイスブックで知り合った人たちとの関係も大事にしながら、これからの可能性を探ってみたい。


わたしのオススメ

 フェイスブックで多くの方とつながっていくことで、違う世界が広がることを実感している。話したことがない人でも、フェイスブックでつながっていると思うと、会ったことがあるような気にもなる。店舗などを広くPRしたい人にとっては、とてもいい手段になり得ると思う。基本的にネットは人同士の出会いのきっかけ。自分の世界を広げたいと思っている方には、ぜひお勧めしたい。(談)


プロフィル

 たけした・まりこ 宮崎市出身。公務員だった両親の仕事の関係で小林、都城市でも暮らした。都城西高校、鹿児島女子大(現・志學館大学)卒業後、福岡市で携帯電話関係の会社に勤務。2004年、両親が宮崎市に開いた喫茶店経営を手伝うために帰郷。06年、プリザーブドフラワースクール「ローズペタル」開講、07年にネットショップ「プリザーブドフラワー・ウエディングブーケ専門店ローズペタル」をオープン。本場フランスに花留学の経験も。「プリザーブ(preserve)」とは英語で「保存する」の意味。1972(昭和47)年8月生まれの40歳。

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