みやビズ

2018年8月19日(日)
キーパーソン

ファインテ(福岡市)社長 小浦ゆきえさん

2018/01/22
 病気や障害で食事から十分な栄養素を取るのが難しい子どものために、ビタミンやミネラルなど幼児に必要とされる栄養素をバランス良く配合したサプリメント「こどものサプリ mog(モグ)」を開発した。大学で学んだ生物化学の知識とわが子を思う母心を力に製品化への難題を克服。子どもや子育てのための環境づくりに貢献する優れた取り組みを表彰する「キッズデザイン賞」を昨年、サプリとして初めて受賞した。

「子どものために」サプリ開発


子ども向けのマルチサプリメント「こどものサプリ mog(モグ)」を開発した小浦ゆきえさん

子ども向けのマルチサプリメント「こどものサプリ mog(モグ)」を開発した小浦ゆきえさん

 病気や障害で食事から十分な栄養素を取るのが難しい子どものために、ビタミンやミネラルなど幼児に必要とされる栄養素をバランス良く配合したサプリメント「こどものサプリ mog(モグ)」を開発した。大学で学んだ生物化学の知識とわが子を思う母心を力に製品化への難題を克服。子どもや子育てのための環境づくりに貢献する優れた取り組みを表彰する「キッズデザイン賞」を昨年、サプリとして初めて受賞した。

 宮崎市高岡町出身。化学や物理が好きで、宮崎西高から九州工業大(福岡県飯塚市)の情報工学部生物化学システム工学科(現生命情報工学科)に進学した。卒業後は、関西の大手鉄鋼メーカーに就職。生産スケジュールや在庫管理を改善するためのシステム研究・開発を担う、社内コンサルタント部門に配属された。大企業の重要部門だけにやりがいはあり、「現場の話を聞き、問題解決策を一緒に考えて提案する。コンサルの基礎を学んだ」と振り返る。

 2004年、結婚するため退職し、再び福岡へ。短い充電期間の後、健康食品アナリストの活動を始めた。多くの健康食品が世に出ていたが、伝わる情報は売り手側の「売るための情報」か、研究者や医師から発信される難しいものばかり。「消費者がほしいのは、どの健康食品の何が自分のためになるのかといった情報のはず」と考え、消費者目線で生活総合情報サイトの記事執筆や雑誌の特集監修などを手掛けた。製品開発のアドバイス、薬事法(現・薬機法)に基づく広告のチェックなど企業コンサルの分野にも活動を広げ、07年にファインテの前身となる会社を立ち上げた。

「世の中には栄養補助が必要な子どもたちがいる。モグをそんな子どもたちの笑顔と、親の安心につなげたい」と話す小浦ゆきえさん

「世の中には栄養補助が必要な子どもたちがいる。モグをそんな子どもたちの笑顔と、親の安心につなげたい」と話す小浦ゆきえさん

 11年に長男、13年に次男が生まれ、ペースを落としながらも仕事は続けた。そんな中、16年に長男が治療の難しい病気であることが判明。進行を遅らせるため栄養を取らせたくても食が細く、必要な量を得られない。サプリメントを探したが納得できる製品と出合えなかったことから、自ら開発することを決意し、静岡県の医療機関専用サプリメントメーカーの協力を得て開発を始めた。苦労したのは成長や代謝に関連するビタミンB群の酸味や苦味をどうカバーするか。味覚の繊細な長男でも無理なく食べられるよう、試作を繰り返した。

 モグは業界最多クラスの22種類の栄養素を含み、食べやすいパイナップル味のチュアブル(かみ砕いて食べるタイプの錠剤)。原材料の安全性はもちろん、形状も誤飲で窒息しないよう穴あきタイプとした。栄養不足を補いながら過剰摂取の心配もなく、幼児期の体重変化や食事の状況に合わせて使用量を調整できる。これらの配慮やこだわりが評価され、キッズデザイン協議会(東京)の第11回キッズデザイン賞(子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門)に選ばれた。

 「極端に食が細い」「重度のアレルギーや先天性代謝障害による除去食」「発達障害や自閉症による重度の偏食」など、栄養素を取りにくい子どものために、モグを広めていきたいと考えている。また、親の立場へも気を配る。「健康を願い、子どもの食事に気を使うからこそ、思うように食べてくれないことに親は焦ったりイライラしたりもする。モグを活用してもらうことでそんな親たちのストレスを和らげることができれば」。直径わずか1.5センチほどの小さなサプリに優しく温かな思いが込められている。

(福岡支社・鬼束功一)

プロフィル

 こうら・ゆきえ 2016年7月に会社名をファインテに変更。それまでのコンサルティング事業にモグの開発、販売事業も加えた。社名のファインテは「ファイン(元気な・すてきな)」と「インテリジェンス(知恵)」を合わせた造語。モグのパッケージには食欲旺盛なイメージがあるアオムシのキャラクターをデザインし、子どもに大きく育ってほしいとの願いを込めた。1976(昭和51)年9月生まれの41歳。

アクセスランキング

ピックアップ