英楽(門川町)社長 池田英勝さん
自社ブランド鶏を全国へ

「夢創鶏を全国に広めたい」と意気込む池田英勝社長
商品力に加え、練り上げられた販売戦略が審査員の心を捉えた。プレゼンテーションで真っ先に伝えたのは夢創鶏の優れた肉質。魚のアラから作る独自飼料を与え、「平飼い」でストレスなく育てているため、臭みがなくて鶏本来のおいしさを味わえる。鶏肉の生ハムは豚肉に比べて流通量が少なく希少。むね肉は糖質が少なく高たんぱく。消費者の健康志向にマッチすることもアピールした。
ユッケ風やピザ風などの調理例を示し、日常の食卓はもちろん、ホームパーティーなどでも使える汎用(はんよう)性の高さも紹介。スライス済みなのでカットする手間が省け、加熱の必要もない。「衛生的なトングと皿があれば、アルバイトが盛りつけても1人前1000円程度の豪華なサラダを提供できる」。人手不足に悩む居酒屋などサービス業の労務費削減や提供時間の短縮にも貢献できると訴えた。

グランプリに輝いた「夢創鶏の燻製生ハム」の調理例
建設会社勤務から父親の死をきっかけに門川町内にある養鶏場を承継。10年余りはおいしい鶏肉づくりに没頭した。不慣れなために鶏舎の温度管理を誤り、多数の鶏を死なせたこともあった。それでも少しずつ前進。丹精した鶏肉を地元の祭りで振る舞うと、笑顔で「おいしい」と喜んでくれた。6次産業化に挑戦するため加工場や直売所を整備したが、販売ルートや在庫管理など新たな壁に突き当たった。取り込み詐欺に遭うなど「高い授業料」も払った。
現在は東京の大手居酒屋チェーンに食材を納めたり、鶏肉を生産している強みを生かして相手先ブランドによる生産(OEM)を手掛けたりしている。一人で奔走していた営業、農場管理、加工場管理には信頼できる人材を配置、自らは金融機関との話し合いなど経営に専念。社員4人、パート8人の小所帯ながら年間約3億円を売り上げるまでになった。
業務用顧客を都心で開拓する中、現場が求めているものが見えてきた。人手不足の解決策。OEMのようなアウトソーシング(外注)の時代だと強く感じる。それだけに「都市部の省力化に貢献できれば、地方にとってチャンス」と語り、養鶏場と加工規模の拡大を検討中。「夢創鶏じゃないとおいしくない。英楽の肉じゃないと駄目だ」。丁寧に育てた商材が求められ、全国の食卓や厨房(ちゅうぼう)を“飛び回る”日が来ることを夢見ている。
プロフィル
いけだ・ひでかつ 県産業開発青年隊を修了後、門川町の建設会社「松澤組」に入社。現場監督などを6年間務めた後、父親が起こした養鶏場を承継。品質向上や飼育羽数の拡大に取り組み2013年5月に自社ブランド鶏「夢創鶏」の生産、加工、販売を手掛ける「英楽」を設立。同年10月に九州農政局の6次産業化認定を受けた。1972(昭和47)年9月生まれの45歳。門川町出身。- 「鶏肉の生ハム」がグランプリ - 紙面県内経済(2017年10月24日)
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