みやビズ

2018年7月20日(金)
キーパーソン

県南部信用組合(日南市南郷町)理事長 松本健二さん

2017/09/25
現場第一で地域経済活性化を 元兵庫県警生活安全部長という異色の経営者だ。今年6月、縁もゆかりもない県南部信用組合の理事長に就任。早速、組合員である地域の中小企業や住民へのサービス充実に動き出した。

現場第一で地域経済活性化を


元警察官という異色の経歴を持つ県南部信用組合の松本健二理事長。「不安はない。いろんなことに挑戦したい」と意気込む

元警察官という異色の経歴を持つ県南部信用組合の松本健二理事長。「不安はない。いろんなことに挑戦したい」と意気込む

 元兵庫県警生活安全部長という異色の経営者だ。今年6月、縁もゆかりもない県南部信用組合の理事長に就任。早速、組合員である地域の中小企業や住民へのサービス充実に動き出した。少子高齢化や景気回復の遅れ、金融機関同士の競争激化から90年の歴史を持つ同信組は厳しい経営環境にある。新トップとして「より多くの人に存在を知ってもらい、顧客に寄り添い、一歩ずつ前進していくしかない」と意気込む。

 1969(昭和44)年4月、兵庫県警巡査を拝命。生活安全部銃器対策課長、刑事部暴力団対策第一課長、生活安全部参事官兼生活安全企画課長、神戸水上警察署長(警視正)など経て、2008年に生活安全部長に就任。10年に警視長へ昇任した。

 県警時代からアイデアマンとして知られた。生活安全企画課長時代の05年には、声掛け事案や不審電話などの情報を登録者にメール配信して注意喚起する「ひょうご防犯ネット」を立ち上げた。現在の登録者は約17万人に上る。07年の刑事部参事官兼生活安全部参事官(犯罪抑止対策統括官)時代には、ストーカー相談の内容から危険度を数値化する仕組みを考案。受け付け順より危険度優先で被害者の安全確認を行うようにし、後に優れた取り組みとして警察庁長官賞を受けた。

 定年後の11年に、同県警の職員などを対象とした職域信組「兵庫県警察信用組合」の理事長へ就任。ここでも辣腕(らつわん)を振るった。紙代と印刷代を出す代わりに、県警職員の給与明細票の裏面に住宅ローンや教育ローンの広告を掲載。家計を握る主婦層に商品をアピールして融資残高を伸ばした。上部機関である全国信用協同組合連合会(全信組連)には、営業地域の異なる信組の間で記帳できるよう求めたり、過疎地対策として移動式現金自動預払機の導入を促したりするなど、さまざまな提案をした。

「より多くの人に県南部信組の存在を知ってもらいたい」と、製作したチラシを手にする松本理事長

「より多くの人に県南部信組の存在を知ってもらいたい」と、製作したチラシを手にする松本理事長

 その行動力を買われ、全信組連から県南部信組へ出向。顧問となった今年5月以降、営業地域(日南、串間市)内の総代110人を一人ずつ訪ねた。日南と串間の両支店にも毎週顔を出す。「刑事時代と同じ。現場第一。現場で何が起きているのか。経営者はそこを見ないと駄目」。その結果、地域経済の疲弊ぶりや同信組の知名度の低さを痛感。まずは商品やサービス内容を紹介するポスターとチラシを計1100枚製作し、総代の事業所などに張らせてもらった。

 今月1日には、組合内の企業マッチングを図る「日南・串間地域経済活き活きプロジェクト」をスタートさせた。「駐車場を拡張したい」と相談に来た組合員に、工事の発注先を尋ねると非組合員だったことから生まれたアイデア。「組合員同士で仕事を受発注すれば双方が潤う」として、まずは信組側で建設業や木工品製造販売業など10社を選定。相互利用や交流のための連絡調整、融資相談に乗る専門部隊「営業企画課」を日南支店に設置し、職員3人を配した。
 
 県南地域の企業数は毎年減り続け、後継者も不足している。一方で飲食や介護分野などで創業意欲を持つ人も確実にいる。「風光明媚(めいび)な土地で、住民の人情は厚く、親切。漁業や農業など魅力的な資産もある。資金需要は必ずあるはず。時代の変化を早く読み取り、組合員に的確な助言ができるよう職員を鍛える役目も私にはあると思う。約4700人いる組合員を少しでも増やせるよう頑張りたい」と力強く語った。

ここが聞きたい

 -7月に第一勧業信用組合(東京・新宿)と連携協定を結んだ。狙いは。

 県南は焼酎やマンゴーの産地だが、人口減の現状では地産地消が難しい。だから大都市で売る「地産都消」が有効だ。第一勧信を通じてマンゴーはすでに100個以上、高級セットも8箱売れた。万能たれは1250個を10月に納品する。ほかにも宮崎へ来る前に勤めていた住宅メーカーから成約記念品として宮崎牛と焼酎のセットを採用したいという話もきている。われわれのもうけは度外視。販売ルートを広げることで、まずは取引先の中小企業が潤ってくれればいい。

 -全国的に生き残りをかけた金融機関の統合・再編の動きが活発化している。

 合併という選択肢は簡単で、安易なものだと考えている。ライバル同士で切磋琢磨(せっさたくま)するからよい商品やサービスが生まれ、消費者はその恩恵を受ける。確かに当信組の業績は芳しくない。事業数は少なく、個々の案件も小規模だが、とにかく融資残高を増やすしかない。営業地域は定款で日南・串間と決まっているが、人口の多い宮崎市への進出に意欲を持つ取引先もある。そういった要望に応えるため、将来的に営業地域を広げたいとも考えている。

プロフィル

 まつもと・けんじ 岡山県出身。高校卒業後に兵庫県警入り。兵庫県警察信用組合理事長を退任後は、姫路市の住宅メーカーで防犯や交通安全など企業のCSR活動に取り組んでいたが、全信組連の要請で現場復帰。今年5月に全信組連に入組後、県南部信組へ出向し、6月の総代会と理事会で理事長に承認された。趣味は散歩。日南市内に妻、愛犬と暮らす。66歳。

アクセスランキング

ピックアップ