みやビズ

2018年6月23日(土)
キーパーソン

九州電力執行役員宮崎支社長 新開明彦さん

2017/08/28
信頼取り戻し、顔の見える九電に 今年4月、宮崎支社長に就任した。19年ぶり3回目の本県勤務。しかも上椎葉発電所が初任地とあり、本県とは縁がある。その地に戻って最初の大仕事が宮崎支社ビル1階のリニューアル。

信頼取り戻し、顔の見える九電に


市民が集える空間に生まれ変わった宮崎支社1階に立つ新開さん。「電気だけでなく、元気も提供したい」と言う

市民が集える空間に生まれ変わった宮崎支社1階に立つ新開さん。「電気だけでなく、元気も提供したい」と言う

 今年4月、宮崎支社長に就任した。19年ぶり3回目の本県勤務。しかも上椎葉発電所が初任地とあり、本県とは縁がある。その地に戻って最初の大仕事が宮崎支社ビル1階のリニューアル。イベントスペースやカフェを備え、市民が集う空間へと生まれ変わらせた。

 このリニューアルには九電と顧客、さらには県民との距離を縮めるんだという強い思いが込められており、「福島の事故で電力会社への信頼、親近感は失墜した。また、営業活動を自粛した結果、九州電力の顔が見えにくくなっている。失ったものを取り戻す契機としたい」と語る。

 今月のオープニングセレモニーで「九州電力は変わります。電気だけでなく、元気も提供します」とあいさつした。今回のリニューアルは支社周辺の活性化も意図しており、「地域あっての九州電力。育てていただいた皆さまに恩返しするため、今後も県内の地域貢献に力を入れていく」と誓う。

 大学では効率的、安定的に電力を供給するための電力系統工学について好んで学び、それを生かすために九電へ入社。水力発電を専門とする「水力屋」としてキャリアを重ねた。この間、いくつもの転機に恵まれた。その一つが海外での経験だ。

 1994年、35歳で8カ月間の米国研修の機会を得た。電機大手のゼネラル・エレクトリック(GE)で一流の技術者から発電機の設計に対する考え方など多くを学び、電力系統工学を深めることができた。語学力の成長に加え、海外で働くことへの心理的ハードルが低くなったことも収穫だった。

19年ぶり3回目の本県勤務となった新開明彦さん。「顔の見える九電」を目指す

19年ぶり3回目の本県勤務となった新開明彦さん。「顔の見える九電」を目指す

 九電が海外での事業に取り組み始めた頃、タイで変電所19カ所を建設するプロジェクトがあり、そのコンサルタント業務を当時所属していた工務部が落札。現地責任者であるプロジェクトマネジャーを任され、2001年7月から図面承認や工程、品質管理などに当たった。考え方も文化も違うタイ人をうまく動かし、3年半で見事に完遂した。

 この仕事ぶりを発注者のタイ地方配電公社の総裁が喜び、「グッジョブ」とたたえてくれた。なぜなら他国の企業が落札した別の変電所建設プロジェクトでは4年が経過しても、遅々として作業が進んでいなかったからだ。大きな達成感を伴う、記憶に残る仕事となった。

 宮崎支社長に就任して5カ月。県内で働く社員に自らの思いを伝えるため、「皆さんにお願いしたいこと」と題した1枚紙を用意した。全員に配布するつもりで、伝えたいことは二つ。一つは安全と健康は全てに優先するということで、「あなたには大切な人はいますか。その人の幸せな様子を思うだけで、自分までうれしくなってくるような人が」と優しく語り掛けている。

 もう一つは「置かれた場所で咲く」という気持ちを持つこと。今いる職場、与えられたポジションでそれぞれが職責を果たし、成果を上げることを求め、「宮崎支社エリアの総合力を高め、今後のさらなる電力自由化という嵐の中でも花を咲かせ続けよう!」と鼓舞している。自身も「置かれた場所で咲く」努力を続けてきたから、今があると考える。

 座右の銘は「人生意気に感ず」。人は相手の心意気を感じて仕事をするものであり、金銭や名誉のためにするのではないと信じる。
(小川祐司)

ここが聞きたい

 -本県や鹿児島県では太陽光発電が進むが、太陽光は出力の変動が激しい。利用を進める上で、太陽光発電のピークを迎える昼間に余剰電力を揚水利用できる揚水発電所が存在感を増している。本県には九州最大の小丸川発電所がある。

 小丸川発電所がないと、電力の安定供給に大きな支障が出る。太陽光の電力が急増すれば、私たちは手持ちの電源の出力を絞る必要があるが、火力は一度止めてしまうと、再び起動するのに数時間を要することもある。そうすると、電力供給量が需要の変化に追いつけず、広域停電になる可能性もあるため、火力は最低出力にして、揚水で太陽光の出力変動を吸収する形をとっている。こうすれば、時間帯や天候によって太陽光の出力が下がっても、機動性が高い揚水ですぐにカバーすることができる。実に有効な設備だ。

 -九州では大規模な自然災害が相次ぎ、暮らしや経済活動に大きな影響を与えている。

 前職は電力輸送本部部長で、熊本地震では担当部長として変電や送電、水力などの復旧に当たった。地震や噴火は発生を予見できない。経験を生かし、支社の災害対応能力を向上する。支社では南海トラフ巨大地震を想定したマニュアルを整備しており、今後、県内を回り、危機管理に対する社員の意識を徹底的に高めるつもりだ。また、管内の建物6カ所のうち4カ所で耐震補強が必要であり、来年度末までに終わらせる。

プロフィル

 しんかい・あきひこ 九州大工学部卒。1983年、九州電力入社。工務部水力グループ長、佐賀電力センター副センター長、東京支社副支社長、電力輸送本部部長(設備担当)などを歴任。ゴルフ、映画・音楽鑑賞、ギターなど多趣味。酒は飲めず、「トータルすれば車が買えるほど割り勘負けしているはず」。福岡県出身。59年6月生まれの58歳。

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