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2018年10月16日(火)
キーパーソン

エアドライブ(福岡市)代表取締役CEO 山中勇輔さん

2017/08/21
ITで地方活性化に貢献 ソーシャルメディアやクラウドサービス、モノのインターネット(IoT)には、地方の企業が直面するさまざまな課題を解決する力がある-。そんな信念を胸にITで地方企業を支援するエアドライブ(福岡市)を経営。飲食店に予約管理アプリを提供したり、インターネットでの放送局の情報発信を支援したりしている。

ITで地方活性化に貢献


「九州の企業のIT導入促進を支援することで地域活性化に貢献したい」と話す山中さん

「九州の企業のIT導入促進を支援することで地域活性化に貢献したい」と話す山中さん

 ソーシャルメディアやクラウドサービス、モノのインターネット(IoT)には、地方の企業が直面するさまざまな課題を解決する力がある-。そんな信念を胸にITで地方企業を支援するエアドライブ(福岡市)を経営。飲食店に予約管理アプリを提供したり、インターネットでの放送局の情報発信を支援したりしている。中小企業事業推進機構(福岡市)が出版した冊子「中小企業がパートナーとして選びたい福岡の30人」に選ばれており、「地方企業を元気にすることはその地域の活性化につながる」と意気込む。

 中学生のとき、テレビの番組制作現場を描いたドキュメンタリーを見て放送業界に憧れた。中央大で学内の放送研究会に入り、横浜のFMラジオ局などで番組構成やミキシングの経験を積んだ。そのまま放送業界への就職を希望したが、大学4年生だった1995年は「就職氷河期」。卒業直前の96年2月、開局前の宮崎ケーブルテレビへの就職がようやく決まった。

 最初は機材の選定や保守管理の方針作成などに携わり、開局後は音声などの制作技術を担当。音楽番組の制作ディレクターも任された。編集作業にパソコンが導入さればかりで性能がまだ低く、トラブルも多かった。放送前日に収録データの3分の1が消え、徹夜でハードディスクからデータを拾い上げて編集し直したことも。ただ「大変だったけど充実していた」と振り返る。

 その後、当時の経営陣が番組制作を全て外注すると決定。番組制作の仕事を続けたくて98年に退職した。福岡のFMラジオ局で働き、宮崎市のコミュニティーFM局の立ち上げにも携わった。25歳で再び上京し、大手番組制作会社に契約社員として入社。しばらくしてある県域ラジオ局からヘッドハンティングの打診があり、転職するつもりだったが詳しい説明もないまま話が消滅。契約社員の仕事は終わっていたため「正直、途方にくれた」。

「ソーシャルメディアを活用することであらゆる業界に新たな価値を生み出せる」と話す山中勇輔さん

「ソーシャルメディアを活用することであらゆる業界に新たな価値を生み出せる」と話す山中勇輔さん

 しかし、この一件が転機となった。高速大容量のデータ通信が可能なADSL(非対称デジタル加入者回線)が登場し、いずれパソコンで映画やテレビ番組を見られる時代になることが分かった。「インターネットの知識がないと生き残れない」と危機感を持ち、ネット業界へ転身。複数の電子メディア企業で働き、営業力やデジタルコンテンツビジネスのノウハウを身に付けると、2005年に個人事業主として独立。IT企業で拡張現実(AR)ソフトのビジネスプロデューサーなどを務めて実績を積んだ。

 11年、東京でエアドライブを設立(14年に拠点を福岡市へ移転)。13年には宮崎ケーブルテレビ(宮崎市)と提携し、自社制作番組でソーシャルメディアと組み合わせた視聴者参加型サービスを始めた。福岡のテレビ局には課金型の動画配信ツールを提供。さまざまなノウハウを放送業界の情報発信に役立てている。「今や放送と通信の間に垣根はない。放送法で定められたエリアを越えて情報を発信できるインターネットの世界を活用しないとムーブメントは起こせない。九州の放送業界に新しい価値をつくり出す手伝いをしたい」と先を見据えている。
(福岡支社・鬼束功一)

ここが聞きたい

 -ITの導入で地方の企業にはどのようなメリットがあるのか。

 放送業界なら担当エリアを越えた情報発信力を強化できる。特にケーブルテレビの場合、自前の通信回線を放送だけでなく防犯センサーに使うなど、違う形でサービスを広げられる。業種にかかわらずメリットは多く、顧客管理やコスト計算、会計システムなど機械にできることは機械に任せる。人は人にしかできないことに特化して取り組むことで、生産性向上や作業効率化が期待できる。この考え方を多くの経営者に広めたい。

 -IoTが使える環境がどんどん整ってきている。

 IoTの導入は業種を選ばない。例えば農業でも、ビニールハウスの中にクラウドサービスを入れ、温度や湿度、二酸化炭素の濃度などを測れるセンサーを設置しておけば、ハウス内の状況が手元のスマートフォンやタブレット端末で分かる。毎日の見回りの手間を省くことで、人手をほかの業務に回せる。新しい可能性を開くツールとして、あらゆる使い方を模索すべきだと思う。

プロフィル

 やまなか・ゆうすけ 延岡市出身だが、父親の仕事の都合で子どものころは転校が多く「新しい環境に順応する力が培われた」。趣味は歴史研究。「レキドラ!」という歴史ブログを公開している。宮崎西高-中央大卒。1974年2月生まれの43歳。

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