みやビズ

2018年4月23日(月)
キーパーソン

グリーンリバーグループ(福岡市)代表 長瀬勝義さん

2016/12/26

再生エネ組み合わせた農業に挑戦


 太陽光発電システムの施工などを手掛けるグリーンリバーグループ(福岡市)を立ち上げて6年が過ぎた。創業後しばらくは借金を抱えて苦しかったが、自社開発の施工技術を足掛かりに400メガワット超の実績を残すまでに成長した。近年は農業にも参入。再生可能エネルギーの分野で培った技術を応用し、収入を安定して確保できる農業の実現を目指している。

再生エネルギーを組み合わせた農業にも取り組む長瀬勝義社長

再生エネルギーを組み合わせた農業にも取り組む長瀬勝義社長

 九州産業大(同)で経営を学び、都城市にある実家の建設会社に入った。ビルの構造体工事などを主に手掛けており、現在は社長の兄が技術、自身は総務や経理を担当した。業務全体を把握しようと、営業や施工管理などの仕事も経験した。

 当時から作業の効率化を考えるのが好きで、生産性を高めるための機械を造っていたという。それが後の仕事につながった。一方で農業にも興味があり、2003年に「グリーンリバー」を設立。畑を借りて約2年間、野菜作りに汗を流した。

 実家の経営状態が厳しくなったタイミングで10年、グリーンリバーを独立。福岡県久留米市の土地を実家から買い取り、従業員3人と土木建設業をスタートした。下請け業者として北陸新幹線の橋脚建設などに携わるなどしたが、雪などの悪天候で工事が長期化。利益の出ない仕事が続いた。
 
 「工期短縮の技術などを提案して新たな仕事を確保できたが、(提案した)技術への対価がなくて収益増につながらなかった」。久留米の土地購入や設備投資による借金がさらに膨らみ、一時は3億円近くに。「自転車操業で2年ほどはどん底だった」

 転機は九電工(福岡市)から受注した佐賀県内の太陽光発電所施工工事。以前から大規模施工を想定して、架台に支柱を固定する際の作業時間や労務コストを減らす工法を考えていた。佐賀でこの工法を使い、労務費を従来の半分以下に抑えることに成功。効果が実証されると、12年に九電工が手掛ける太陽光発電所の標準工法として採用された。

グリーンリバーが発売した小規模栽培施設を紹介する長瀬勝義社長

グリーンリバーが発売した小規模栽培施設を紹介する長瀬勝義社長

 それ以来、年間100件のペースで施工を請け負うことになり、現在の事業の柱が出来上がった。これまでの施工実績は岩手県以南で約330件(約400メガワット超)。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で、九州の太陽光発電所から送電線への接続が制限されて以降は、関東での仕事が増加。東京と福岡を忙しく往復する日々だ。

 15年には新会社「グリーンラボ」を設立し、農業に再び参入した。働き手が高齢化している農業の裾野を広げようと「生産効率を高めて、安定的な収入を確保できる農業」を模索。久留米市に電力の一部を太陽光発電で賄いながら、温度、湿度、光などの生育環境を自動制御できるビニールハウスを設け、トマト栽培を始めた。

 ほかにも農業に参入する企業の研修や学生の教育施設として利用できる、高密度で多品種の水耕栽培が可能なコンテナ型小規模栽培施設を発売。来年、神奈川県にオープンする飲食店への導入が決まっている。

 大学と共同研究も行い、農業と再生可能エネルギーを組み合わせたシステムを構築し、将来的には地方のまちづくりにつなげようとしている。「これからは農業とエネルギーを使って社会性の高い事業に取り組んでいきたい」と未知への挑戦に突き進んでいる。
(高森千絵)

ここが聞きたい

 -太陽光発電所の建設は今後もまだ続くか。

 少なくともあと4、5年は続くと思う。現在は関東(千葉、群馬、茨城、埼玉)の仕事が一番多い。九州は川内原発の再稼働で、太陽光発電の接続が制限された。東京電力管内では原発事故で再稼働の見込みがなく、福島からの送電網に空きがある状態。だからまだ建設ラッシュは続く。

 -農業と再生可能エネルギーの組み合わせをなぜ考えた。

 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で、電力の買い取り価格は安くなってきている。今までは再生エネは売る物だったが、今後はいかに有効利用するかへ転換していくと思う。そうなると土地が豊富な場所でないと再生エネ設備は置けないから、地方こそエネルギーコストが安くなる。今後はコンパクトで需要に隣接する電源開発をしていくべきだ。地方の主産業である農業の高度化と、再生エネを活用した事業化を実現できないかと挑戦を始めた。

プロフィル

 ながせ・かつよし 1975(昭和50)年3月、都城市生まれ。都城泉ケ丘高-九州産業大卒。妻、子ども3人と福岡県久留米市に暮らす。仕事と家庭は区別するタイプで「自宅では一切仕事の話をしない」。時間があると、仕事に役立つビジネス書を読むことに没頭する。

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