みやビズ

2019年7月17日(水)
キーパーソン

JR九州宮崎総合鉄道事業部長 宮野原佳さん

2016/09/05
利用客でにぎわう観光特急「海幸山幸」の前で。「宮崎の魅力をもっと発信して、より多くの人を呼び込みたい」と語る

「ふるさとを元気に」が使命

利用客でにぎわう観光特急「海幸山幸」の前で。「宮崎の魅力をもっと発信して、より多くの人を呼び込みたい」と語る

利用客でにぎわう観光特急「海幸山幸」の前で。「宮崎の魅力をもっと発信して、より多くの人を呼び込みたい」と語る

 過去最年少42歳の宮崎総合鉄道事業部長として、ことし4月1日付で就任。「年齢的にまだ若く、辞令には驚いた。地元出身ということで温かく受け入れてもらい、仕事はやりやすい。JRは地域の『足』。限られた経営資源の中で通勤通学客へ交通手段をきちんと提供していく。また観光の『足』として沿線自治体や観光事業者からの期待にどう応えていくか。宮崎を元気にすることが、われわれの使命」と意気込みを語る。

 小学生まで延岡市で暮らし、宮崎市の生目中から宮崎大宮高へ進学。1989年に設置された文科情報科の1期生だった。3年間は勉強漬けの日々。高校で日本史を教えていた父の影響で、歴史学者を志した。就職先に鉄道会社を選んだきっかけは、高校時代の親友の「面白そうな会社だ」というひと言。面談した三つ年上の先輩社員から「JR九州は国鉄が破綻してできた会社で、一から出直しているところ。仕事は非常に厳しいが、自分たちの力で一緒にいい会社にしていこう」と熱く誘われ、心が揺れた。

 96年に入社し、まずは熊本駅で改札業務を担当。車掌として乗務経験も積んだ。3年目からは福岡市の本社で当時の営業本部に所属。社員管理や年間の研修計画作成、駅構内のバリアフリー化など裏方として現場を支えた。以来、主に営業企画畑を歩んできた。

 2005年には北九州市へ1年余り出向。観光スポット「門司港レトロ」の広報宣伝係長となり、これまでの「送客」から一転、「誘客」について知恵を絞る立場に。旅行会社に旅行商品を作ってもらったり、博物館などにクーポンの発行を依頼したり。「旅行会社や市職員、地元観光業者など立場の異なる人たちをまとめるのは大変。それでも地域やJRのことを客観的に見られた。人脈や視野が広がった時期」と振り返る。

 鉄道事業本部営業部販売一課課長代理だった06、07年は、JR九州発足20周年記念キャンペーンに注力した。管内の特急列車乗り放題切符と、15の駅と五つ観光列車内に置いたスタンプを集めたら記念のキーホルダーなどが当たるスタンプラリーを企画。これが鉄道ファンを中心に人気を集め、応募多数でプレゼントが足りなくなる程だった。

「宮崎を元気にすることが、われわれの使命」と語るJR九州宮崎総合鉄道事業部の宮野原佳部長

「宮崎を元気にすることが、われわれの使命」と語るJR九州宮崎総合鉄道事業部の宮野原佳部長

 さらに新幹線も含めて1万円で乗り放題の激安切符を期間限定で追加投入。大ヒットとなり売り上げを伸ばした。当時、一番考えたのが、鉄道を日常的に使っていない人へどう訴求するか。「JR九州の1日の利用客数は、九州の人口の約5パーセント。お客はまだまだいる。企画の魅力をしっかりPRし、コストパフォーマンスがよければ使ってもらえるはずだ」。採算を不安視する声が社内から挙がるなどプレッシャーは大きかったが、思い出深い仕事の一つになった。

 本県へ赴任する前にいた総合企画本部経営企画部での2年間も「刺激が多く、ものすごく勉強になった」という。企画国際室長として海外との窓口業務を担当しながら、役員が担っている経済団体の仕事をサポート。会合のあいさつ文作成や講演資料の準備などを行った。特に九州観光推進機構会長を務めるなど兼職の多い石原進相談役(71)を補佐し、財界トップの視点やリーダーとしての姿勢、議論の進め方などを間近で学んだ。

 鹿児島と大分の支社が分担していた本県の事業を一本化した宮崎総合鉄道事業部が設置されて、ことし6月で20周年を迎えた。節目の年に古里で働くことになり、「宮崎が元気にならないと、JR九州も元気にならない。幸い宮崎は陸海空の交通機関同士の連携が取れていてる。その貴重な財産の輪をもっと広げたい。旅行会社との一層の連携やトップセールスも行う。宮崎の魅力をもっと発信して、より多くの人を呼び込みたい」。多彩な経験を生かし、地元へ恩返しする覚悟だ。
(久保野剛)

ここが聞きたい

 -宮崎エリアの業況は。

 鉄道事業は一般的なビジネスモデルとして原価(固定比率)が高い。1人運ぼうが、100人運ぼうが原価は変わらない。人口の多い大都市では強みを発揮するが、少ない地域での展開は厳しいのが現実。それでも地域の足であり、観光を支えるインフラ。安全性をしっかり守りながら、固定費を少しでも下げるため効率化は避けられない。自治体や地元事業者と連携して利用者を増やし、インフラとしての鉄道を守っていく。

 -宮崎駅西口の再開発を計画している。

 2017年度中には開発の中身を固めたい。JR九州だけでなく県や市、商工会議所と一緒になり、どういったものが宮崎にとっていいのか勉強していく。開業は19年度以降になる。現在の設備を機能移転し、その上で自社用地を開発していく。時間はあるので、地域の人々としっかり議論し、駅周辺のにぎわいを創出したい。大分や鹿児島などいろんな整備例がある。うまくミックスさせ、宮崎に一番合ったものを考えたい。

プロフィル

みやのはら・けい 1973(昭和48)年4月、延岡市生まれ。大阪大経済学部卒。96年、九州旅客鉄道(JR九州)入社。東京支社副支社長、総合企画本部経営企画部企画国際室長などを経て、2016年4月から現職。

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