みやビズ

2019年10月17日(木)
キーパーソン

アドバンス社長 柊崎庄二さん

2012/01/26

失敗を糧に成長

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新しい事業の柱として設立したアドバンス。現在は県内外で外食チェーンなど計31店舗を展開する

 飲食業と旅行業という二足のわらじを履き、一代で旅行代理店を計5店舗、飲食店計31店舗を県内外で展開する会社を築き上げた。経営者として華々しい経歴を持つが、「新しいことに挑戦する難しさは日々感じている。失敗することから学び、成長してきた」と笑う。

 創業のきっかけは、至ってシンプルで「好きなことを仕事にしたかったから」。実家は小林市内で金物屋を営んでいたが、「後を継ぐ気も、サラリーマンになる気もなかったが、会社を起こしたいという思いは昔から強かった」と振り返る。

 地元の小林高を卒業後、法政大法学部に進学。当時から旅行が好きで、大学在籍中も海外旅行資金をためるため、アルバイトに励んだ。卒業後はオーストラリアに渡り、1年間生活した後、バックパッカーとして世界各地を放浪。インドやネパール、アメリカなどを約半年かけて回り、旅行業に携わりたいという思いはさらに強くなった。「旅行関連の会社に勤めたことはないが、海外での経験や知識なら誰にも負けない」。1991年、小林市細野に15坪ほどの事務所を借り、社員数人で宮崎ツアーサービスを立ち上げた。

 会社の船出は初年度から困難の連続だった。営業ノウハウ、客先ともにゼロからのスタートで、「正月以外、毎日働いても赤字だった」。一方、92年に本県で開催された全国高校総体でスポーツ関連のつながりができたことや、正直に商売をするという姿勢から個人・団体客も次第に増え、業績も徐々に上向いた。東日本大震災の影響で旅行のキャンセルが相次ぎ、払い戻しだけで5000万円の減収となった2012年2月期の決算も、売上高は過去最高に上る見込みと、業績は堅調に推移する。

 一方で、旅行商品を取り扱うインターネットの台頭で、業界情勢は2000年ごろから変わり始めたとも。「従来通りのやり方では事業継続は難しくなる」と感じ、不特定多数の人が集まる場所への多店舗展開を決めた。05年にイオンモール宮崎、08年にはイオンモールMiELL都城駅前など、大型ショッピングセンターへ次々と営業所を開設し、顧客をつかんだ。

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 旅行代理店の多店舗展開に加え、新たな事業の柱として着目したのが外食事業だ。2年間の準備期間を経て、02年に外食事業を展開する新会社を設立。アイスクリームチェーン店のサーティワンアイスクリームを展開する会社とフランチャイズ(FC)契約を結んだ。少しずつでも前進できるようにと願いを込め、社名は「アドバンス」と付けた。

 旅行業と同様に、外食事業もゼロからの立ち上げ。同社第1号となった北九州市の店舗は立地などから客数が伸び悩み、撤退を余儀なくされた。「(旅行業と同じく)最初に失敗し、これを教訓にした」と苦笑いしつつも、「よりシビアに見ることを学んだ」。失敗を生かしながら店舗展開を進め、現在は自社ブランド店を含め、八つの外食チェーンを展開するまで成長した。

 同社の経営方針の核は人材育成だ。同社では極力経験者を採用せず、未経験者を社内外の研修で育てるという独自の方針を打ち立てる。「サービス業の従業員には、顧客ニーズを捉えるコンサルティング能力が求められる」と強調。「一通りできるまでには1年くらいかかるけれども、リピート客をつかむためには、人材育成は不可欠」とし、OJT(職場内訓練)や海外研修のほか、社員間での情報共有にも力を入れる。

 現在、アドバンスが運営する店舗数は31店。4月までには新たに4店の新規出店も決まっている。「九州で100店舗を展開するのが目標。お客さまへの感謝の気持ちを忘れず、常に新たなことにチャレンジしたい」と前進を続ける。

ここが聞きたい

-旅行業界の情勢は。

 インターネットの登場などで販売チャンネルが多様化しており、業界としては厳しい状況にある。少ないパイを奪い合うため、価格競争が起きている状況だ。一方で、格安航空会社(LCC)が就航することで、新たな旅行需要の発掘や、従来より安い旅行商品の開発などが期待できる。いずれにしても顧客満足度を上げて、リピーターを確保していく必要がある。

-アドバンスの経営方針は。

 飲食業ははやり廃りが激しい業界で、何もしなければじり貧になる。時代を見据えた経営が求められるが、(現在の消費者からは)低価格で、日常的な商品が求められていると思う。アドバンスが運営する飲食店は、客単価1000円前後のものがほとんどで、客数を増やすことが重要。お客さまと接するサービス業は、その場その場が真剣勝負で、やり直しが利かない。従業員を育てることに力を入れたい。

私のオススメ

 体を動かすのが好き。最近はもっぱらゴルフばかりだが、以前はダイビングやフルマラソンにも取り組んでいた。4月に山梨県であるマラソン大会に、仕事仲間とエントリーし、ハーフマラソンを走る予定だ。マラソンは10年ぶりで、今は少しずつトレーニングを行っており、仕事の合間のリフレッシュにもつながっている。(談)

プロフィル

 ふきざき・しょうじ 小林市出身。法政大法学部を卒業後、約1年半の海外生活を経て、1991年に小林市で宮崎ツアーサービスを設立。2002年に外食事業を展開する「アドバンス」(同市)を立ち上げ、代表取締役社長に就任する。11年から、旅行代理店を出店するイオンモール宮崎の同友店会長を務める。旅行と食べ歩きが趣味の49歳。

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